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シルバーガンのメッセージと、現在の状況を照らし合わせて思うこと

昨日紹介したメッセージから。というか出来れば昨日のエントリー『レイディアントシルバーガン』ラストステージのメッセージ』を読んでください。

『レイディアントシルバーガン』ラストステージのメッセージ
ちょっと前に『『源平討魔伝』の隠れた開発者メッセージ』のエントリーで、『源平討魔伝』に隠されたエンディングメッセージがあるというお話をしました。 今日はそれの最後で予告した、もうひとつの作品。それはトレジャーのサターン最後の名作シューティン...

このメッセージが流れたのはサターン末期の1997年、今から10年以上前。そんな当時の状況は前のエントリー通り。そんな状況でのメッセージでした。

しかしこれと同じ趣旨のことは、実は現在でも言えるのではないでしょうか。しかもゲーム業界だけではなく、ほかの業種でも。

 

このメッセージの構図はその業界に対して希望を持っているクリエイター(「私的代弁者」「正しき主観を持つ者」「道理を理解する者」)と、経営者(「無知な商売人」「視野の狭い商売人」)にあると思います。

商売人は金を取ることを目的とする。その作品にかかわっているといっても、必ずしも作品を愛しているわけではない(愛している場合もありますけどね。クリエイターに近い商売人もいるわけですし。実際銀銃の発売元トレジャーなんかはそうだと思う)。

反面、クリエイターは作品を愛し、良い物を作りたいと思う(こっちも例外あり)。しかし、コスト、時間などを商売人から削られてしまい、自分でも不満だらけの中途半端なものを作らざるを得ない。

クリエイターはこんなものを作りたくはない。しかし、いくら情熱があろうが、正しき主観があろうが、道理を理解しようが、クリエイターは商売人の下にならなければその作品でさえ作れない現状。ついでに言えば、その商売人がわかったつもりになって作品に口を出してきて、よけいひどいものになるという最悪な現象も。そして、そんな業界に失望し「去りし者」がいる。

この現状が存在するという意味では、基本的に何ら変わっていないと思うのです。

もちろんコストを考えなければ経営的には成り立ちません。しかし、全くその作品に対して愛がないまま作られても、良い作品が出来るはずはありません。しかし、出来の良さであとに評判を得るより、コストを下げて金を取る、みたいな方法がなされている気がしてならないのです。いわゆる粗製濫造ですね。

 

例えば近年、アニメは歴代最大規模の金が投入されているという話です。

■2006年 アニメ産業規模は2584億円 デジタルコンテンツ白書 ※リンク切れ

しかし、どうもその資金はいいものを作るために行き渡っているのか、となると全部が全部そうではないよなあとなるわけです。私はアニメそんな見ないですけど、ネットでよく作画が間に合わなかったとことか話題になりますよね。

それの代表的な「ヤシガニ」みたいにネタになるほど出来の悪いものっていうのはアニメでもゲームでもあります。しかしそれはクリエイターの望むところでは決してないでしょう。まがりにもなにも自ら志願して入った業界なのですから。

 

ゲームも同じです。クソゲーなんて誰も作りたくありません。しかし資金、時間、納期、進捗の問題などでそうせざるを得ない場合が多々存在します。

ちなみにそういう事情があっても表に出ることはほとんどなく(弁明の機会なんて滅多にないですからね。それに自分から言うのも恥ずかしいとか、禁止されているっていうこともありますし)、名前が出ているクリエイターが責任を負わなければならないのが現状。それじゃあ失望して去る者も出ますね。

 

あくまで個人的な意見ですが、ゲームみたいなものの作成は、一人で作って広報して売ったものでもない限りは、ひとりの人間に功を、もしくは逆に罪を与えるのは非常に危険だと思います。共同作業である以上、見えないところで活動している人もいるわけですから。

さて、以前『ゲームのというか娯楽の相対的価値は昔より下がっているのかもという話』のエントリーでも触れましたが、現在、娯楽があまりにも多く出過ぎて、ひとつひとつの価値が下がっているように思えます。

ゲームのというか娯楽の相対的価値は昔より下がっているのかもという話
『忙しくてゲームをやる時間がない』 なんてセリフは、おそらくほとんどの人が耳にした、もしくは自分で感じていることだと思います。 私と同じ世代の昭和50年代生まれの方なら、特にそれを実感していると思います。すなわち、忙しくてゲームをする時間が...

そんな状況でこそ本来は質を上げていかなければ他の娯楽に負け、業界自体衰退してゆく可能性があるのに、それが行われているとは思えません。ただ粗製濫造が行われ続けます。

 

おそらくは、誰にも止める事は出来ないのでしょう。進むよりも止める方が勇気がいりますから。

しかし、わたしの座右の銘……ってほどでもありませんが、心に留めている言葉が思い出されます。『発展は誰にでもわかるように急速にやってくる。しかし衰退は誰にも気づかれないようにゆっくりとやってくる』。

そしてもうひとつ。『国立博物館物語』という漫画で言われていた環境問題に対して言われていたセリフ。

「こわいってことに気づかないのが怖いのさ。いや……もっと怖いのは知っていても気づかないフリをすることなんだよ」

これを思い出させます。

 

『レイディアントシルバーガン』では、「わたしのこと、愛してる?」のあとに石のような物体が爆発を起こします。それは全てを消し去り、人類をやり直させるためのもの……おそらく業界に対して、「一度で消し去るような爆発」はないでしょう。しかし、「誰にも気づかれない、緩やかな衰退」は存在すると思うのです。

今、私たちは10年前のシルバーガンの文章をこのような形で見ております。そして、次の10年後、この文章をどのような形で見るのでしょうか……

出来れば「悲観過ぎだよお前は」「そうでしたねえ、ははは」と笑って見られることを……祈りたい……。

 

※2015/12/25追記

この文章は2007年に書かれたもの。さて、今のゲーム業界を振り返って、どう思いますか?

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