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制約されたシューティングゲームというジャンルに施された様々な創意工夫

こんな記事が。

「もえたん」のシューティングゲーム 「もえたん・しゅ~てぃんぐ」発売 – アキバBlog

私も『もえたん』の本は持っています。なんか最近ではアニメも始まったようですな。で、見てわかるようにキャラ主導型のパロ系シューティングみたいです。
しかし、なんか不穏な空気が……

「もえたんシュ~ティング」のデキが「ブロークンサンダー」並の件

見ただけでの判断ですが、少なくとも凡作かそれ以下?という感じ。まあキャラゲーってことで制約を色々受けているのは仕方ないにしても、敵の配置や弾の出し方が場当たり的に見えるのはどうかと。

で、このゲームのニコニコ動画のコメントを見ていたら、「シューティングなのに地雷~」とか書いてあったのですが、一般的に見たらシューティングはやはり作るのが簡単に見えるのでしょうか?

まあ、シューティングは自機があって敵を弾を撃てばジャンルとしての用件は成立するので、作るのは簡単です。(実際、『デザエモン』なんていうシューティング作成ソフトが出ていたくらいですしね)

なんかシューティングをそんなわかっていない人には、「とりあえず」「それにキャラが立ってて演出がちょっとあればOK」みたいなように思われているのかもしれません。しかし、私の考えではシューティングは「面白く作るには」一番難しい分野のひとつであると思います。それはさも、スパゲティカルボナーラのように(美味しんぼより)

※ここでいうシューティングはガンシューティングではなくて、縦シュー、横シューとお考えください。

 

シューティングはまずフォーマットが決まっています。それは自機を動かして敵や弾を「避け」、そして「撃つ」ことで敵を倒すこと。多くのシューティングはこれを基本としています。(例外はありますが)

しかし、これをどうするかというのは各作品毎の工夫によるもので、これ次第で作品が0にも100にもなると思うのですよ。

まあ簡単な例を取れば、「撃つ」に対してパワーアップという形で特徴を出して面白さを引き出す。例えば『グラディウス』のカプセルパワーアップなんかもそうですね。独特なところだと、『レイディアントシルバーガン』のコンボ成長システムなんかもそうかな? あと、敵を倒したときの得点の入り方なんかでも工夫が見られることがありますね。例として『斑鳩』や『レイフォース』とか。

そして、敵の攻撃をどれだけうまく「避ける」ことができるかという、一見わかりにくいところにもシューティングの面白さがあると思います。

例えば『レイフォース』にはボムがないのですが、弾に追い詰められて抜け出せなくて死ぬ、ということが少ないのですよ。そして全体を通しても避けるのが死ぬほど困難というところがありません。これは敵の配置や弾が工夫されていて、ボムがなくても進めるように作られていたからだと思います。そういえば一時期、ボムがないとクリアできない(著しく困難)ってゲームってのがいくつか出ましたが、それに対して賛否両論がありましたね。

そういえばキャラがふざけているので、出来は荒そうに見える『パロディウス』シリーズも、実はグラディウス同様かな~り作り込まれているますよね。パターン構築できたときは感動します。同人である東方Projectシリーズもキャラが前に出ている感がありますが、そういった楽しさは随所に盛り込まれていると思います。

 

あとは「演出」ですね。これは何もグラフィックの綺麗さだけで言っているではありません。例えばタイトーシューティングにあるパターンでは、ボス出てくる→苦労して倒す→次の面で背景にそのボスと同じ型のものが大量に出てくる(ガンフロンティア)とかでも、絶望感を与える立派な演出です。

最近気に入った動画なんですが、やけにシューティングが出てくるので。

一応見られない人のために。『イメージファイト』(2週目)は、救出される直線で船が爆破、『ダライアス外伝』のフウセンウナギルートは最期に自機圧壊、『エスプレイド』はクリア後公園に倒れるも助ける人おらず(※追記・コメント欄からの情報、隠しエンドみたいです)、『プロキアの嵐』はマルチエンドであこがれの女性が他人の子を妊娠、『アンダーディフィート』ではラスボスと誘爆、『斑鳩』は最期自機崩壊(まあ悲劇とは一概に言いづらい面もあるのですが)、『メタルブラック』では地球崩壊(これも話すと長くなるのですが必ずしも悲劇とは言えないかも)、『レイストーム』ではセシリア、地球とも壊滅、そして『レイフォース』では地球破壊後、プレイヤーの機体崩壊(まあこれもアフターがありますが)。

これは衝撃のラストを展開することで、ユーザーに強いインパクトを与えるといった効果があります。道中でストーリーをあまり語れないシューティングにとっては、ラストシーンがかなり重要な要素を占めていると思いますし。(先のもえたんとか例外はありますけど、アーケードではテンポが悪くなるのであまり途中で長い会話とかしませんね。東方も高速スキップできますし。あ、でもシルバーガンはセリフ入ってたけどいまく溶け込んでたなあ……)

 

まあ『メタルブラック』みたいに、演出が作品を補助するのではなく、乗っ取ってしまったくらいのものもありますが。音楽については昔、『斑鳩』を例にとってこのへんでも語りましたね。

ゲーム音楽の演出 ~『斑鳩』の場合~
ゲーム音楽というものは、当然ゲームで使われます。では、どのように使われるのかというと、それは個別のゲームごとに当然異なります。 ただ、大きく分けてしまえば、だいたいはシーンの切り替わりでその曲が変化するものが多いですね。たとえば、RPGなら...

 

そんなわけで、名作と呼ばれるものは、シューティングは見えにくいですがこのように制約のある中で様々な細かい工夫がなされているのだと思うのですよ。なので、名作も、そのまた真逆のものも生まれやすいジャンルというのがこのシューティングではないかと思うわけです。(さて、サターンの『プラネットジョーカー』というゲームを覚えている方はいるかな?)

しかし、良くできたシューティングっていうのは、そのプレイ動画(できれば極ウマのプレイヤーがしているもの)を見ているだけでも気持ちよくなりますね。

私たちが遊びたいのは「出来の良いシューティング」。そんなのを待っています。

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