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ゲーム音楽の演出 ~『斑鳩』の場合~

ゲーム音楽というものは、当然ゲームで使われます。では、どのように使われるのかというと、それは個別のゲームごとに当然異なります。
ただ、大きく分けてしまえば、だいたいはシーンの切り替わりでその曲が変化するものが多いですね。たとえば、RPGならば町に入ったときとか戦闘の時みたいに場面が変わった時、アドベンチャーなら場所を移動した時、アクションやシューティングなら面が変わった時やボス出現時、クリア時といったものです。あまり変えすぎてもくどくなる(あと、ディスク媒体だと読み込みが入ってしまう)ので、シーンが切り替わっても再生し続けることは多いですが。

だけど、残念ながら、その音楽が流れている間はだいたい再生されっぱなしで曲の終わりに来るとループ、そして切り替わりまで再生ってものが多いです。映画とかでたまに使われている「ちょうど一曲ぴったり収める」というのはあまり使われていません。
でもこれは仕方のないことかもしれません。それは、ゲームの場合はアニメや映画と違ってユーザーが操作をするもののため、その音楽が再生する時間が読めないためです。つまりRPGでα地点からβ地点まで行くのに、ある人はふらふら歩くかもしれませんし、またある人は脇目もふらずに歩くでしょう。
ですので、ループさせずに再生すると、ある人は曲がクライマックスにさしかかる前にβ地点に辿りついてしまい、またある人は曲が早く終わってしまうのです。ですのでゲーム音楽自体、(主題歌やED曲、ぶつ森の「とたけけソング」みたいに曲自体がメインとなっているものを除けば)「ループ」を前提に作られているもの、もしくは音楽を長く作って、そのシーンで最後まで絶対に再生されないようにするものが多いです。

 

だけど、そんな中、同じ曲をループさせているだけじゃないものもあります。代表的なものはトレジャーのシューティングゲーム『斑鳩』の1面。このゲーム、私が思うにゲームの中での音楽演出においてはすごいものがあると思います。

 

実際にこれらを言葉で説明するのは難しいと思っていたのですが、今は動画があるので。


※2018/5/24:切れてたので動画張り直しました。

これはスタート後の1面なのですが、1面のテーマが流れ終わることに丁度ボスが登場します。
さらに、2面以降は一部ループするのですが(曲がα→β→γと流れ、終わったら最初のαではなくβに戻る方式。これはわりと見かけますね)、曲とぴったり合わせた効果的な演出が成されています

 

このゲームは各面が始まってからしばらくすると、その面のタイトルが映る演出があるのですが、そこを境にして曲調が変わったりします。

これは2面ですが、タイトルが出るまでは敵のスピードが速い空中で、音楽のテンポもやや速いですが、それ以後はスローになり、音楽も比較的に落ち着いたものになっています。しかも、ボス戦は曲は変わるものの、テンポは同じで繋がっているという。

 

そして3面は、逆にタイトルまではスローでしたが、タイトル後は自機も曲調も早くなります

4面5面も語るところは多いのですが、長くなるのでまあこのくらいに(主にネタバレ防止が理由)。ラスボスはものすごくかっこいいです。

参考までに4面。ネタバレよい方だけ。
http://www.youtube.com/watch?v=iPx-oznzdTs
同じく5面。
http://www.youtube.com/watch?v=EGNSdcy-apU

 

このように『斑鳩』は、流れ終わったら最初に戻るだけというのが多いゲーム音楽について、斬新な演出をしているのではないかと思うわけです。

実はこのゲーム、ディレクターの井内ひろしさんが作曲まで担当されているようで、音楽と演出を融合させることが出来たためにこんなイレギュラーな技が可能だったのでしょう。

 

さらにこのゲーム、ご存じの方も多いと思いますが、完全パターンシューティングで、1ステージの時間というものがボス戦闘を除いては決まっています。ですから出来たことでもあるのですが。

なんだか『斑鳩』ベタ褒めのエントリーになってしまいましたが、ゲーム音楽である以上はこういった演出で聴かせるという手もあるということで。

今まで(PS2以前)はロード時間の関係なのでどうしても読み込み時間が出来たりとぎれたりするために、音楽の演出というものは限られていたように思います。しかし、ハードが高機能になってきた昨今、こういった音楽での演出で聴かせてくれるのもアリなんじゃないかと思います。ムービーもいいですが、次世代機の高機能はこういった地味なところでこそ本当に活きると思うのですが。

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