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『デススマイルズII』の初期費用0円は中小ゲーセン&STGの救世主となるか

先日、CAVEのシューティング『デススマイルズ』の続編『デススマイルズII』にて初期費用が0円というプランが発表されたということです。

『デススマイルズII』を0円で店舗に設置!? ケイブ新作発表会で新プラン発表

これはつまり初期費用を0円にするかわりに、インカムをメーカーと店で分け合うというモデルですね。従来は店が基板を購入した後は店側の収入になるというタイプだったので、珍しい試みです。

ただ、アーケードゲーム全体においてはこういった基板を販売した後にメーカーがインカムに応じて料金を得る仕組みは自体は、すでに導入されています。セガなんかがその先駆けでしょうか。

■参考:バーチャファイターがネットゲームの観点を変える:re: Evangelist – CNET Japan ※リンク切れ

さて、何故今までの様な店が基板を購入してそのインカムを得るモデルから、このような初期費用を0円としたものが生まれたのは、ある意味現在のアーケードゲーム業界、とりわけビデオゲームにおける状況を反映したものだと思われます。

最近、アーケード業界は苦境に喘いでいるというのはよく言われています。それはアーケードにあった性能的アドバンテージが亡くなり、それより機能が上で且つ通信も出来る様になってしまったコンシューマハードに客を取られ、且つ他の娯楽とも競争を余儀なくされています。それで大型筐体など初期投資のかさむもの中心になってしまい、それを仕入れられない中小のゲーセンは時代が止まった様になっています。

もっとも数年前にはカードゲームなどの盛り上がりでそれなりには大丈夫かもと思われていた大手のゲーセンでも、その初期費用が圧迫してきたのか、とうとう不可侵といわれた「1コイン100円(×数枚)」の領域にも手を入れはじめてしまいました。

■参考:

20年前から続いているゲーセンのインカム問題とコインの束縛
このようなニュースが。 ■【ゲーセン】渋谷タイトーステーション、1プレイを100円→120円に値上げ (リンク切れ) う~ん……個人的にも「これはダメだろ」とは思います。ゲーセンのゲームってのは、100円玉を入れるだけで手軽にやれるのがよい...

 

そんな状況の中、大昔からアーケードゲームとして存在してきた普通筐体のビデオゲームはかつての格ゲーブームも遠い昔、リリース数も激減しました。出ても続編とか。理由は明白で、前述の様に家庭用都比べてのメリットが非常に薄くなってしまったからでしょう。おまけに出かける手間がかかる上、1ゲーム100円は安い買い物とは言えません。

そんな状況故、街のゲーセンは最近ビデオゲーム新作の入荷は殆どなくなってしまいました。やはり初期コストがかかるわりに(新作ならどんな安い基板でも20~30万はするし、バーチャなど有名クラスになると100万ってのも珍しくない)そのインカムが現在、客が減ったゲーセンでは回収できるかどうかがかなり怪しいからでしょう。現在の街の中小ゲーセンは、古いゲームのみが置かれているようなところが増えていますが(特に私の地元の西武沿線に多い)、そういったところでも潰れていないだけましかもしれません。

 

つまり、この「初期費用0円」は、大きなゲーセンはもちろんのこと、そういった中小の街ゲーセンに対してリスクを低下させることで、導入をしてもらおうという感じではないかと。

現在でもこのアーケードビデオゲームにはコアなファン層は多いと思うのですよね。特にシューティングは。実際秋葉原や新宿ののビデオゲームフロアには人がかなり集まっていますし、ブログなどを見る限り少ないとは思えません。しかし、最新のゲームをプレイするためにはわざわざ都市部まで行かなければいけないと。そのめんどくささ故やらなくなるとか家庭用まで待つ事が起こっているとも思えます。しかし、これにより街のゲーセンに入荷されれば、また頻繁にプレイすることが出来るのではないかと思えるのです。そしてこのモデルがうまくいけば、中小のゲーセン、はてはこういった対策ではないアーケードをゲームを造るメーカーの手助けになり、ビデオゲーム市場が多少は(大きくは、とは言えませんが)再生するのではないかと。

ついでに、これはアーケードシューティングの再生にもなるのではないかと。というのは大手のゲーセンでも今ではシューティングのビデオゲームって置かないのですよね(特に新宿とかのデートスポット系の店)。まあインカムが少ないと見なされているからなのでしょうが。しかしこれにより多くの店舗で導入されれば、いちいちリリースされるたびにシューティングゲームを探す手間がなくなるわけで。

しかもこのモデルは、どんなゲームでも売ったらそれまでというものではないので、クソゲーは生まれにくくなるのではと。そのまま良作を作ればメーカーに跳ね返ってくるのですし(もっともアーケードはコンシューマよりはその販売性質上クソゲーは生まれにくいですがクソゲー)。

 

というわけで、この試みによってちょっとでも中小のゲーセンに通う機会が増えられれば、また、シューティングゲームをドコのゲーセンでも置かれるようになればと思います。

願わくば、近所の時代が停止してしまっているゲーセンにも、これが入荷してくれることを祈ります。というわけで特に西武線沿線のゲーセンの方、お願いします。

 

◆追記

ただ、このタイプだと中古の基板は流通しないってことになるのかな? あと、どうやって金を回収するのとか、かなり興味深い点はありますね。

 

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