DSソフト『That’sQT(ザッツキューティ)』において、名前入力に“ユ”が無いというバグがあったそうです
さて、なんでこんな誰もが最初に気づくような間違いが製品に残ってしまったのか、と、誰もが不思議がるかもしれません。ですが、私は経験上かなり見つけにくいバグに次ぐくらい、このようにあまりにもわかりやすすぎるものも修正を忘れてしまう可能性が高いと思っています。
以前、『ゲームでよく発生するバグの種類について』においてゲームにおけるバグの種類について書きました。
これは「表示エラー」になりますね。これ、見た目にすぐわかりますが、直さなくてもフリーズバグなどとは違って一応は動作します。これがくせ者なのです。
修正の時、まずはフリーズ系を直さないといけませんし、その先のチェックも出来なくなるのでそれが優先されます。つまり、こういった文字表示系で簡単に直るだろうと思われるバグは、修正が後回しにされてしまうことがあるのですよね。しかし開発末期までそれを残しておくと、他の重大なバグ(進行不能系)を直すのに時間をとられつぃまい、そちらを直すことを忘れてしまうことがあるのです。これが、簡単なところだからこそ見落としてしまうというミス。
しかしいくらなんでも、ゲームにはチェック(テストプレイ)をする人間がいるので、その人が見落とすか? と思う方もいるでしょう。しかしここにも罠があります。
もちろんこんなのは早々に気づいて、すぐにバグ報告をあげるでしょう。しかし、1度ならまだしも同じバグがそのまま残っていると、「相手はとっくに気づいているけどまだ修正に手をつけていない」と勝手に思って、気づいていてもそのままスルーしてしまうことがあるのです。まあ実際そうであることは多いのですが、そのうち誰もが修正することを忘れてしまう感じ。
チェックする人も人間です。実社会で「あの件まだ?」と何回も聞くと、もしかして作業中かもしれないのに失礼だと思う心理ってありますよね。それと同じで、相手が知っているのにそれを報告すると失礼と思う心理が働いてしまうのですよね。
実際私も、制作方面でエラーを指摘された時、本来ならばありがたい意見なのに「直そうと思ってるのにしつこく言うな! 他に重要なのがいくつもあるんだよ!」と思ってしまうことがありました。開発末期はみんな気が立ってますからね。ただ、それを直しておかないと、いわば、野球でフライをお見合いして地面に落としてしまうような感じでエラーを見逃してしまうと。
また、このような露骨にエラーではない場合、例えばゲームバランスに関するところなどは、「何か意図があってわざと残しているのでは?」と勘違いしてしまい、本当は残していてはまずいのに、そのまま報告されなくなるというすれ違いが起きてしまうこともあるのです。
このように、テストする人間がいたとしても、開発側が直す体制が整っていなければ、こういったものが残ってしまう可能性は大きいと思います(今回の例がそうだとは限りませんが)。そういった意味で、制作者とテストをする人間達の間に立つ連絡役(もしくはチェックをまとめる人)、及びその工程はかなり重要だと考えます。
しかしこういった、難しいところは修正したのに、誰でもわかるようなところを見落としてしまうというミス、ゲームだけではなくほかのシステムの修正、もしくはコンピュータ以外での最終確認作業でもやってしまうことではないでしょうか。
また、コンピューター関連に限らなくても、例えば難しい文章表現を書いたけど簡単な誤字を残していたとか、テストで難しい問題を解いたのに、名前を書き忘れたとか、意外と単純だけど重大なところを落としてしまうということはあり得ることですよね。
ま、「テストプレイを甘く見るな」と再三書いていることを〆として、今日はこれまで。