Pスーファミの名作アクション『海腹川背』から連なるシリーズのPSP版にバグが大量に出ており、ちょっとした騒ぎになっています。
初代はスーファミなのにラバーの動きを再現した素晴らしいものとして、根強いファンを集め、PSで続編も作られました(今回はそのPS版の移植)。それ故に、期待していたファンの失望も大きかったものと思われます。(追記:コメントでご指摘を受けたので部分修正しました)。
これは私の勘ですが、おそらくリンク先のようなキャラの動きでバグが起きるということは、根本プログラムがそれなんで、もう修正不可能(そこを直したら全体がプログラム的にもゲームバランス敵にも狂う可能性が高い)な状態なので、このまま出さざるを得なかったのではないでしょうか。あと、この前『ゲーム制作と決算の非常に微妙な関係~年度末のソフト発売ラッシュに思うこと』で書きましたが、今は3月末で決算前の企業はどんなことをしても売り上げを立てないといけないという事情もあるかもしれません。
でも、今不買運動とかになっても、発注終わっているだろうし一番迷惑するのは小売店なんですよね……
これ、この前書かなかったですけどこういうことがあると、『3月発売=クソ・バブゲー』が定着しないかっていう心配です。今年も3月に出るけどいいソフトってのはちゃんとあるのに。
でも、最近こういったバグ騒ぎってのが多くなってきている気がします。でもこれはある意味においては自然かもしれません。
というのは、現在のゲームは10年前に比べて確実にいろいろな面が進化しています。しかしそれは別の面から見ると、バグの出る要素をその進化に比例して増やしているとも言えるのです。バグの要素にはいろいろなものがありますが、プログラムだけとってみても、1万ステップのプログラムと2万ステップのプログラムだとバグの要素は倍になります(実際はそう単純ではなく、それより増えることもあります)。
ちなみにプログラマが書いた時点でバグのないソースというとは絶対にない、と言われています(逆に開発工程では、全くバグがないと、チェックに問題があると思われます)。それはプログラムを打ったのが人間である以上、間違いは絶対に生じるので仕方ないことです。しかしそれを消すために、デバッグをするわけです。そしてそれを完璧にこなしたものが、問題のない製品として世に出るわけです。
つまり本来ならその開発工程の拡大に比例して、チェック行程も大きくしなければならないはず。しかし、それが出来ているか、というと甚だ疑問です。それどころかどうも人件費の高騰対策で、こういったテストプレイ部分が削られているのではないかと思えもします。それはどうしてもこういった裏方の部分は見えないからでしょう。丁寧にチェックしてバグを消しても、その発注自体に影響を与えないのですから。
そもそもゲームに限らずこういったプログラミング製品というのはどこまでが仕様として保障されているかという客観的な基準がないのですよね。確かにプレイできなければ問題でしょう。でも、プレイできればつまらなかろうが、機能が足りなかろうが「仕様」で言い切れてしまうのですよね。ですので、ハードメーカーチェックを通らないようなものでなければ、ゲームに支障をきたしていても時間や費用がかかるような修正なら通してしまうという感じ。そしてこれはプログラマの責任というより、開発工程の無茶による影響が強いと考えます。
この前、ゲームの評価についての話をしました。
こういったバグがないっていうのも評価に加えるべきかも、と思う時があります。そうすれば真面目にバグ取りをやっている良心的な(ある意味当たり前の)メーカーが損をしないわけですし。
本来ならバグがないのがあたりまえだったので、そういったものまで評価に加えないと悲しいと思う方も多いでしょう。でも、ゲームがこれだけ複雑になっていて、そういった面を軽視するところも現れている昨今、そういった見えない面に気を遣っているか、気を遣っていないかも判断する必要があるのではないでしょうか。