ソニーから、PS4専用バーチャル・リアリティーシステムPlayStation VR(PS VR)が発表されました。
発売は2016年10月、そして気になる価格は44,980円(税抜)と、ソフトが5本ついてきてこの値段は、想定されていたより安かったという感じです。
そしてゲームニュースサイトなどの報道を見てもかなり注目度は高いようで、且つプレイした人からの評価も高いようです。今年あたりからPSVRに限らずヘッドマウント型システムが出てきている感じです。代表的な物はOculus VR、ほかにはGear VRなど。
Galaxy Gear VR S6/S6 edge対応 SM-R322NZWAXJP : by Galaxy
PSVRはこのVRシステムにおける本命といったところでしょう。
しかしながら、こういったVRシステムが今後のゲームのスタンダードになるか、というと、自分としては疑問点があります。というのは今までもこういった新しい技術が出た時にもてはやされることはすごくあっても、いざ普及の段階になると目新しさを失って失速してしまうことがあるから。それはゲームに限らず多くの分野において。
3DSの3D機能の発表直後とその後の需要
まず第一に、「VRの需要はどのくらいなのか」というところが気になります。
たしかに今回のPSVRは素晴らしい技術なのでしょう。ただ、新しい技術というのは登場時には総じて「素晴らしい」と判断されます。しかし時が経て衝撃が薄れてゆくごとに、そのメリットに慣れてしまい、飽きられるということもよくあります。それで最近で思い出すのは、Nintendo3DSの3D機能。
New ニンテンドー3DS LL メタリックブラック : 任天堂
3DS自体は普及しましたが、正直なところ名前にもなっている3D機能については初期を除いてゲームとしてあまり応用されていなかったというのが正直なところでしょう。New3DSになっていくらかましになりましたが、それでもスイッチを切ったままプレイしていた人は少なくないはずです。しかし、これも発表当初には「本当に立体的に見える、すごい」ということがあちこちのゲームニュースサイトなどに書かれていたのですよね。
別にこれらが嘘をついているとは思いませんし、実際自分で購入して初プレイをした時は、その見た目に驚いたはずです。しかし残念ながら現在は3Dが3DSのメイン機能になってるとは思えません。おそらく(ちょっと比べるには軸が違いますが)すれちがい通信などのほうが活用されているのではないでしょうか。
実は3DSの発表当時(発売前)、そういうふうにハードの3D機能への注目はそれを最大限に生かしたソフトが生まれない限りは早期になくなるんじゃないかなあと思っていましたが、まあだいたい当たっていたと思います。
あれだけプッシュされていた3Dテレビの失速
それでも今度は3DSとは違う大がかりなものだし、世界的にも注目を浴びているではないかと思われる方もいらっしゃると思います。ただ、3DSのほかにももうひとつ思い出すものがあります。それは「3Dテレビ」。
3Dテレビの3D機能は2010年から数年メーカーにプッシュされ、家電量販店のメインフロアもそれで占められるような勢いでした。しかし現在は以下のように、4Kテレビの一部機能としてこっそり残っている感じです。
どんな技術も時が経てば飽きられてしまう
つまり今回も、最初は技術のインパクトでプッシュされるものがあっても、それが飽きられてきた頃にはそれが売りにならなくなるという可能性も十分にあり得るのではないでしょうか。それはPSVRに限らず、ほかのVRシステムにおいても。
だって、人間は刺激を与えられてもたいてい順応してしまう、すなわち慣れ、飽きてしまうわけですから。今回もそうならないという保証は全くないのです。
さらに、3Dテレビの時の眼鏡同様装着に一手間かかり、且つどうしても重みが出てしまうもので、人によっては「酔い」が出る場合もあるでしょう。ですから飽きられた時にそういうデメリットが表に出てきてしまう可能性があります。
ちなみにヘッドセットでのゲームプレイってのはもうサターン時代からありましたが、それが全然普及しなかったのはそれが理由でしょうね。
スタンダードになるためにはやはりVRに最適化されたソフトが重要
しかしもちろん、このVRシステムが普及してゆく可能性もおおいにあります。それはやはり3DSの時にも語ったように、ハードの機能を生かした人を惹きつけるゲームがどれだけ出るかということが鍵でしょう。出来ればヘビーユーザーだけにとどまらない、ライトユーザーでさえ魅了するようなものを。
幸いVRについては大手ゲームメーカーも開発を進めているようですし、そのあたりは期待で透きます。ただ、常に飽きられないように期待値を超えるものを求められるので厳しくはあるでしょうが、そこを克服してゲームがそっちに発展する可能性も大いにあるでしょう。
■おまけ