最近、巷で3D製品が溢れています。そして『Nintendo 3DS』が発表され、ゲームでもその波が来るのかもしれないという感じになっていますね。
しかし、このような場合で使われている3Dというのは、当然のことながらイコール3次元ではありません。それはあくまで2次元のものを、人間に立体に見せるような技術でそうしたものを指しています。
そして、そういう「人間に立体に見せるような技術」というものは、ゲームでは今に始まったことではなく、昔から、それこそゲームが登場してから間もない頃からその試みがあったのですよね。それは「技術」と言うよりは、見せ方という「方法」の意味合いが強いですが。
というわけで、今日はかつてゲームにおいて当時「3D」と呼ばれた技術が使われたゲームについて振り返ってみたいと思います。
ちなみに選んでいるものは筆者の独断と偏見ですので「これがないぞ!」とか「これはちょっと強引だろ」という思われる点についてはご容赦。
- 『ウイザードリィ』(Sir-Tech・1981年・PC):3D迷路RPG
- 『ポールポジション』(ナムコ・1982年・アーケード):3Dスクロールレースゲーム
- 『スターウォーズ』(アタリ・1983年・アーケード):3Dシューティング
- 『パンチアウト』(任天堂・1983年・アーケード):フロントビュー対戦
- 『スターラスター』(ナムコ・1985年・ファミコン):3Dビューシューティング
- 『シルフィード』(ゲームアーツ・1986年・PC-88):3Dポリゴンシューティング
- 『スペースハリアー』(セガ・1986年・アーケード)&『アフターバーナー』(セガ・1987年・アーケード):3Dアクション
- 『とびだせ大作戦』(スクウェア・1987年・ディスクシステム):立体眼鏡付き3Dシューティング
- 『オペレーションウルフ』(タイトー・1987年・アーケード):3Dガンシューティング
- 『ウイニングラン』(ナムコ・1988年・アーケード)&『バーチャレーシング』(セガ・1992年・アーケード):ポリゴン3Dレースゲーム
- 『メタルブラック』(タイトー・1991年・アーケード):ラスタースクロール
- 『バーチャファイター』(セガ・1993年・アーケードなど):ポリゴン対戦格闘
- 『スーパーマリオ64』(任天堂・1996年・N64):自由移動アクション
- まとめ
『ウイザードリィ』(Sir-Tech・1981年・PC):3D迷路RPG
ゲームで「3D」と呼ばれたもののもとを辿ると、ここまでさかのぼると思われます。
初代はそれこそ線のみで構成された迷路を歩いてゆくものでしたが、そこにはたしかに迷路をさまようという感覚が存在していたといいます(さすがにリアルタイムプレイではないのですが)。
ちなみに筆者がはじめて3D迷路を感じたゲームは、ゲームをやりはじめて間もないころにやった『ポートピア連続殺人事件』の地下迷路でした。いやあ、奨学生の頭では迷った迷った。
『ポールポジション』(ナムコ・1982年・アーケード):3Dスクロールレースゲーム
奥に進んでゆく視点でレースを行う、現在のレースゲームの草分け的存在。この頃からこの形のレースゲームの原点は出来ていたと言えるでしょう。
『スターウォーズ』(アタリ・1983年・アーケード):3Dシューティング
大型筐体ゲームの元祖とも言える存在。アタリが出したアーケードゲーム。スペック上線と点での表現ですが、ベクタスキャンという技術が生かされ、なかなか美しい感じです。
『パンチアウト』(任天堂・1983年・アーケード):フロントビュー対戦
任天堂がまだアーケードで出していたころの作品。ファミコン版では『マイクタイソンパンチアウト』としても有名なボクシングゲームですが、アーケード版と微妙に異なります。
主人公が透明で、相手を正面にして闘うタイプ。正直、3DSでもこのタイプの対面対戦格闘ゲームは出てくるとにらんでいます。
『スターラスター』(ナムコ・1985年・ファミコン):3Dビューシューティング
コクピットから見る形の疑似3Dシューティング。こういう見せ方もありました。ファミコンの時代において、立体感を感じたゲームですが、難易度が異様に高い。当時買った小学生でコレをクリアした人はいったいどのくらいいるのやら。
『シルフィード』(ゲームアーツ・1986年・PC-88):3Dポリゴンシューティング
最近でも続編が作られたりしているゲームアーツの出した3Dシューティング(ただし操作感は2DSTGと同じ)。1990年代になって盛んに使われるポリゴンですが、この時代からすでにあったのですよね。
当時としては異例の3Dに見せる技術で、プレイヤーを引きつけました。イースと含め、88を代表する名作です。
プログラミング技術や音声再生は「神業」と呼ばれ、ゲームアーツの名を高めたといいます。
『スペースハリアー』(セガ・1986年・アーケード)&『アフターバーナー』(セガ・1987年・アーケード):3Dアクション
セガが大型筐体でリリースした作品。自由に移動しながらスピード感を持って奥に移動してゆく見た目は、当時としては激しく動く筐体と相まってプレイヤーに強い立体感、爽快感を与えました。
当時からフロントビューで立体感を表現しているゲームはいくつかありましたが、これらは代表的な存在となりました。
このあと、このタイプの流れは『ナイトストライカー』『ギャラクシーフォース』などの名機を生み出します。
『とびだせ大作戦』(スクウェア・1987年・ディスクシステム):立体眼鏡付き3Dシューティング
まだスクウェアが小さなソフトハウスだった頃、DOGブランドで出した3Dシューティング。どことなくコミカルな音楽は、植松伸夫氏の作曲。
ゲーム自体はスペースハリアータイプのものですが、このゲームには赤青セロファンの眼鏡がついていて、立体で見られるモードがあったのですよね。おそらくファミコンではじめて3Dを感じたかも。
ちなみに続編の『JJ』では、ファミコンの周辺機器「ファミコン3Dシステム」が使われていましたが、これ、あまり普及しませんでしたね。
『オペレーションウルフ』(タイトー・1987年・アーケード):3Dガンシューティング
ガンシューティングは後にポリゴンで構成された『バーチャコップ』や『タイムクライシス』『ガンパレット』『デスクリムゾン』が有名になりますが(ひとつ余計なのが混じってたけどまあよし)、それ以前に非ポリゴンで奥行きを表現していたのがこの作品。方法は筐体の奥に画面があるのですが、それを鏡で映す感じで奥行きを作っていたというもの。
ちなみにタイトーは『ダライアス』シリーズなど、鏡を使った筐体で名作を出していますね。
『ウイニングラン』(ナムコ・1988年・アーケード)&『バーチャレーシング』(セガ・1992年・アーケード):ポリゴン3Dレースゲーム
それまでは長い間ドットでの表現だったレースゲームにおいて、ポリゴンを使ったものとして現れたのが『ウイニングラン』。ただ、当時はテクスチャがなかったのでポリポリの画面でした。
そしてナムコに対抗するようにもうひとつの大型筐体の雄、セガも『バーチャレーシング』で処理速度の速いMODEL1で爽快感のあるドライブゲームを開発。
この後90年代のナムコとセガのアーケードレースゲームの争いはかなりのものでした。そしてそれが『リッジレーサー』シリーズや『デイトナUSA』などの名作を生み出すことにつながります。
『メタルブラック』(タイトー・1991年・アーケード):ラスタースクロール
このタイトルで『レイストーム』ならともかく、何で『メタルブラック』なんだ、とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、このゲームにも立体的に見せる技術が使われています。それはラスタースクロールというもの。
これは手前の横スクロールと違う早さのスクロールを画面奥の方で見せることにより、立体感を出すという仕組み。『メタルブラック』などタイトーシューティングのほか、格闘ゲームの背景などでも使われました。
ちなみに『レイフォース』『ダライアス外伝』といった、これ以降のタイトーシューティングでも使われ、美しい画面を表現しています。
『バーチャファイター』(セガ・1993年・アーケードなど):ポリゴン対戦格闘
1993年といえば2D格闘の全盛期でしたが、そこに登場した全く新しい対戦格闘ゲーム『バーチャファイター』はプレイヤーに衝撃を与えました。初代はテクスチャなしのポリポリキャラだったにもかかわらず、その動きや見せ方、そして操作の仕方などにプレイヤーは「リアル」を強く感じました。そしてこの3D対戦格闘は1990年代のアーケードゲームを代表するジャンルになります。
『スーパーマリオ64』(任天堂・1996年・N64):自由移動アクション
そしてマリオ。今まで2Dゲームだったマリオが立体になった衝撃は大きいものでした。それだけなら他のシリーズゲームでもそうなのですが、3Dとはいえ決められたコースを辿っているものが多かった時、これは「自由にその世界を動き回れる」という点において、非常に革新的なものでした。
まとめ
1995年以降は主にポリゴンでの立体表現が当たり前になり、あちこちで応用される感じですね。ここから先は多すぎるので割愛します。
このように、人間に立体に見せるための技術というものは、すでに昔からあったのですよね。たしかに技術的には今より劣るかもしれませんが、当時は「立体的に見える!」と、プレイヤーを驚かせたものです。自分が実際に体感したのは『バーチャファイター』が登場した時の衝撃ですかね。あれを初めて見た時は、「これが未来のゲームか」と思うような衝撃がありました。
Nintendo3DSにおける立体の画面も、見た目の衝撃については多くのプレイヤーはそのうち慣れてしまい、3Dをあまり意識しないようになると考えます。しかしそこからが3DSの本領発揮で、物珍しさの一過性のものではなく、それこそ今まで紹介してきたもののように当たり前の技術となり、ゲームのおもしろさを発展させるための仕組みになればいいと思います。