”ZAP”
英語に詳しくない方でも、ゲーム好きな方ならこの英単語を見てあるものが思い浮かぶのではないでしょうか。それはナムコの名作『ドルアーガの塔』における、59階、もしくは60階でしてはいけない行為(順番を間違えて倒す、刺してはいけないものを刺すなど)をした時に表示される文字。そしてそのあとアイテムを失いつつ階下に飛ばされるという現象。英単語を知っている方でも「ZAP」と聞くとこっちのほうを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。
ちなみにこのZAPの時に流れる短いBGMは、ファミコン版『ドラゴンクエストIII』のぼうけんのしょ消滅時のBGM(まあ本来呪いの音楽なんだけど、あまりのインパクトにそっちのほうに定着してしまった感じがする)に次ぐトラウマBGMだと思います。まあZAPの場合はとりかえしがきく上、廃人ゲーマーだとわざとZAP起こしていたっていう話も聞きますからドラクエ程じゃないかな。
しかし、今までゲーム用語として何となく使ってきた「ZAP」という単語、コレの本来の意味は何なのでしょうか。そしてどうしてあの場面で表示されるのでしょうか。ちょっと調べてみたくなりました。
ちなみに今回調べていて気づいたのですが、ニコニコ動画やgoogleで調べてみると、ファミコン版では「YOU ZAP TO…」なのに対して、アーケード版ではどうやら「YOU ZAPPED TO…」と表示が違うみたいなのですな。私はずっと前者共通だと思っていたのでびっくりしました。それと同時によけい意味を訳すのに苦労しそうな気がします。
ではまずエキサイト翻訳。
あなたは急に動きます(した)。
……とりあえず、あてにならないことはわかりました。
じゃあ、Goo辞書。
zap
━━ vt. (-pp-) 〔俗〕 打つ; 打ち殺す; 襲う; (リモコンで)チャンネルをかえる, (ビデオで早送りにしてテレビコマーシャルを)飛ばす; 電子レンジで調理する; 【コンピュータ】(ファイルなどを)ついうっかり削除する.
━━ vi. 素早く動く; リモコンでチャンネルをかえる, ビデオのコマーシャルを早送りする ((through)).
━━ n. 活力, 元気; 【コンピュータ】完全に削除すること; 急激な一撃, 電気などの衝撃; ビデオのコマーシャルの早送り; 政治的な直接行動(主義).
━━ int. さっ, ばしっ, あっ ((急激な動作・驚きを表す)).
たしかにチャンネルをガチャガチャやることを「ザッピング」とか言ったりしますよね。だけど、ドルアーガの場合に当てはまりそうな文章があるかなあ……
私はあまり英語に強くないのですが、この中で使えるのは当然動詞ですよね。単語を並べただけなら効果音の意味合いもあるでしょうが、それならtoがある意味がないし。
そして動詞で意味合い的に使えそうなのは、「打つ; 打ち殺す; 襲う」系ですかねえ……でも「YOU ZAP TO」だと、自分が打つ意味になって、なんだか通じません。「YOU ZAPPED TO」で「ZAPPED」が受動態のものだとしても、それなら「YOU ARE ZAPPED TO」となるはずですし……
ちなみに「YOU ARE ZAPPED TO」で考えれば、「あなたは(強い衝撃に)打たれた」転じて「あなたは飛ばされた」みたいになる可能性はあるかなと。
でも、そうなると相変わらずファミコン版ではなんでああなったかが謎なんですよね。逆ならば修正されたと考えることもできるのですけど。
それに、いろいろ調べてみるとこの「ZAP」という単語、かなり意味合いが広いみたいなのですよね。”To erase or reset.”なんて書いてあるところもありましたし。ですので、上で書いていない意味でドルアーガの塔で使ってぴったりくるものもあるかもしれません。
でも、すでに日本でのZAPの意味は、このドルアーガの塔からのものが有名になっているので、そのままこの現象を差すものになっちゃってるかもと思わなくもないです。
ちなみに同じナムコの名作『ゼビウス』の対空要武器の名称は「ザッパー」でしたが、これとの関連が気になります(でもこっちの意味は「打つもの」「撃ち殺すもの」だと思う)。
そして、上の文章を書いた後、幾つかコメントを頂きまして、ドルアーガより前に存在した、ゲームブック「ソーサリー」シリーズでZAPという魔法が登場し、「指先から輝く稲妻を放ち、邪魔な敵や障害物を蹴散らす」という魔法ということですが、これを遠藤さんが知っていて、魔法としてドルアーガの塔にも使った、という考え方も出来るかもしれません。
また、擬音でZAP!というものもあるそうなので、,魔法とか文法とか関係なくそのニュアンスかも。
あと、ニコニコ大百科でも触れている項目がありました。
■ZAPとは (ザップとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
でも結局のところ、ドルアーガに関してはどうだったかというのは、制作者の意図次第ってことになるので、聞かないと最終的なところはわかりそうにないですね。
2008年に書いたものを2014年の今掘り起こしたのも、うまくいけばネットの海を流れて事情を知る誰かに届いて、いつか回答が得られるかもしれないと思ったので(まあもし届くならかの方のような気もするけど)。
※この記事は、2008年1月23日に書かれたものを、2014年5月21日に加筆、訂正しました。