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ゲームは今でもある意味文字の制限を受けているという話

『ドラクエに隠された創意工夫』で、初代ドラゴンクエストには使える文字でさえ制限があったとか、『ポートピア連続殺人事件』では文字を削ったというエピソードを引用しました。

ドラクエに隠された創意工夫
先日『ゲーム攻略サイトはゲームの面白さを損なうのか』において、『おとなのしくみ』に掲載された堀井雄二さんのインタビューについてちょっと触れましたが、それが非常に興味深いものだったので、今日はそれについて取り上げたいと思います。 おとなのしく...

そして当時から容量が格段に増加した現在は、文字はひらがな、カタカナ、そして漢字や記号、果てはフォント違いのものまで(登録してある限り)好きなものを使えるといって良いでしょう。

ですが、それとはちょっと別の意味では、文字の制限は昔と大差なく制限を受けているとも言えます。それは文字の種類ではなく、一度に表示できる文字の量。

 

文字が表示される代表的なジャンルは、アドベンチャーゲーム、そしてRPGでしょう。そしてそれらの会話シーンなどではウインドウが使われますが(フキダシも一種のウインドウですよね)、それはスペースが限られている以上、当然文字の制限があります。実は、そういったところの文章を考える作り手の人は、今も昔も変わらず苦労をしているのではないのでしょうか。

実例を挙げてみると、例えば普通の小説の台詞では数行に渡るような台詞を、一文で言ってしまうこともありますよね。ですが、それはゲームでは前述のスペース制約により、全く同じことは出来ません(ちなみに、ギャルゲータイプのアドベンチャーは、おそらく画面いっぱいでも横25文字くらいが限界だと思います)。

たしかにボタン押しやクリックを挟んで次のウインドウに表示するというこも出来ますが、それはひとつの文章を2つに区切ってしまうことになります。そうなると読みにくくなりますよね。

なら文字を多く表示させるために、ウインドウを大きくすればいいのではないか、と仰る方もいるでしょうが、そうするとグラフィックの部分が隠れてしまい、ゲームの進行に支障を来す場合があります。ですので、ウインドウは一定以上は大きくできないでしょう。まあ、ウインドウの中でスクロールってのも出来なくはないでしょうが、見にくいですよね。

 

つまり、小説の文章の書き方と、こういったゲームの文章の書き方というのは、最も適当な形で読ませようとすると、方法が変わってきてしまうのです。

これは映画とかアニメにも言えて、こっちは一応台詞が長くても、表示するスペースの制約を受けません(別の問題は後述)。しかしゲームだと「文字を表示する」という必要がある場合、スペースの都合で制約を受けてしまいます。

そんなわけで、ゲームの台詞を作る場合は、インターフェイスを考えると完全自由に作れるわけじゃない、ってことですね。

 

これの回避法は、ウインドウをはみ出すほど長くなりそうな文章を削る、もしくは2文に分けるというものがあります。ま、どのみちあんまり長い名前はスペースを使ってしまうので、多用は出来ないのではないかと思います。

ただ、映画でも字幕の場合はその制約がありますよね(字幕はまず3行以上になることはない)。これも翻訳の人が、長い台詞の時は字数制限と戦っているのだと思います。あと台詞じゃありませんが、書籍の文章も紙のスペースが決まっている分、制約を科されている場合は多いでしょう。

でも、ゲームでもその制限を回避して、小説のような長文を書けるようにする方法はいくつか編み出されてきました。それの最たるものが、『かまいたちの夜』のようなサウンドノベル型。あれは絵を下に隠して(ある意味犠牲にして)その上から文字を表示するので、比較的長文が出せます。これはある意味小説的な書き方に最適化しているものだと言えるのではないかと(もちろんそれでも限界はありますが)。

あと『風のリグレット』みたいなのも、ある意味その台詞の枷をゲームから外していたのではないかと思ったり。

とはいえ、あまり台詞が長いと美しくない場合がありますから、制約のない小説や映画、アニメでも長台詞や文章は多用されないでしょうが。それはゲームでも同じで、あまり長くても今度は読みにくくなるので、たとえスペースがあっても、これ以上長くなることはあまりないような気がします。

 

ま、こんな微妙なところでいろいろ調整してるんだなあというのを普段気にする必要はないと思いますけど、知っていただければちょっとだけウインドウに表示される文字の見方を変えて見ることが出来るかもしれませんよ。

 

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