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クソゲーの生まれる原因のひとつは、ゲームにおいて完成の定義が定められないことではないか

『クソゲーオブザイヤー』というものがここ最近毎年家庭用ゲーム板で決められているようです。

■参考:このソフトは危険? 「クソゲーオブザイヤー2008」がまとまる

そして、これの今年および昨年までの候補作や受賞作を見てみたのですが、ここ最近わりと多いクソゲー候補作が「未完成ゲーム」。つまり、発売されたものが未完成で、プレイに何らかの支障があり、快適に遊ぶために障害が出るもの。つまり進行不能なバグが大量に残っていたり、デバッグすればすぐにわかるようなバグが残っていたりする感じ。そしてこのパターンが最近のクソゲーと呼ばれるものの中で一番多いような気がします。まあ、ユーザーにとっては一番不満が溜まるものですしね。
しかし、これをよく考えてみると、非常に根の深い問題なのではないかと思わされました。それは「ゲームの完成の定義」ってものがそのゲーム毎に違うからなのですよね。

たとえば、とあるゲームはもうバグもなく、一通り完全に動くにもかかわらず、開発者がこだわりまくって細かいチューニングをしまくっている間は、その開発者にとっては「未完成」になります。まあそれでかなり良い結果を残すこともあれば、営業的な圧迫だけしてユーザーには対して変わりない場合もありますが(どこで思い切るかが重要ですね)。

しかし反面、ユーザーにとっては未完成に見えても、開発者が「完成している」と言い切ってしまうと、それはその開発者、もしくは開発会社の見解としては完成していることになってしまうのですよね(本心でそう思っているかどうかはまた別問題ですが)。そしてそれを発売してユーザーの間で「未完成だ」と言われたとしても、その会社からしてみれば、それが「仕様」となると。

 

この問題、おそらくはゲーム黎明期から受け継がれているのですよね。というのは、こういったプログラム創作物においては、「完成」の基準というものを定めるのが非常に難しいので。それはシステム開発などにも言えますが、こちらは契約などである程度双方にとっての「完成」の定義を決めることが出来ます(それでもこういった場合、金を払う方の立場が強いので、最初の取り決めにないことを要求してくることもあったりするようですが。全国のSE、PG涙)。

しかしながら、そういった取り決めの出来ないゲームの場合、開発側が「これは完成したもので仕様」と言ってしまったら、本体に重大な欠陥を及ぼすなどよほどのことがない限り、どんなつまらなくても「バグだろ?」と思っても、対抗することが出来ないのですよね。せいぜいその次の製品から同じメーカーのソフトを警戒するくらい(その影響で名作なのに売れなかった悲しいソフトというのもゲームの歴史にはあったりしますが。『たけしの挑戦状』の次に出た『たけしの戦国風雲児』って、タイトーボードゲームの元祖で意外といい出来だったのに売れなかったみたいです)。

 

というわけで、最低限の動作、つまり本体に影響を及ぼさないで、ある程度進行することが出来てしまえば、たとえ挙動不審でも「完成品」となってしまうというプログラムにおける商売の仕組みが、クソゲーを生み出す大きな原因となってしまっているのではないかと。

ただ、だからといってこの基準をユーザー側で厳しくして、おもしろくないものをすべて未完成とするなら、逆にゲームの幅を狭めてしまうこともあり得ます。たとえばプレイ時間は短いけどおもしろさを凝縮したゲームが低価格で販売されたとしても、ある人にとっては「短い」というだけでクソゲーとみなされる場合もあります。そう、開発側で完成の基準が違うとなると、ユーザーの側でも完成の基準、クソゲーの基準は違うのですよね。そこの問題が、またかなりややこしいことになっていると思います。

この「仕様です」問題をどうにかしないといけないというのは、ゲーム界において長年の懸案だと思うのですよ。もうちょっと幅を広げれば、粗造濫発におけるゲームの衰退の防止ということで言われていますね。そしてN64におけるサードパーティーの絞り込みとか(これがいいとは言いませんが)いろいろな試みがなされましたが、いまだに解決には至らず、未完成とユーザーの多くが思うソフトが出てしまうと。最初の話題に戻って、その意味でクソゲー対象というのはその一定の基準をユーザー側で決める場でもあるのかなと。

 

たしかに、このようなものが生まれるのは費用的問題、時間的問題などやむを得ない場合もあるでしょうが、その開発工程が構築できなかったというリスクは背負わないといけないと思います。

ただ、その現悪を開発者個人に向けると、実はとんでもない的外れになることもあり得ますので、注意が必要でしょう。たとえばプログラムは時間があればプログラマーが直せるのに、上が強行する場合も有るし、逆にプログラマーが逃げる場合も有ったりして、外部からは誰が原因かというのを定めることは危険だと思われます。ですので、クソゲーを憎んで、まあ会社を憎むまではともかく、個人を憎むのはやめておいたほうがいいかと。

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