国民的人気のマリオやカービィをはじめとしてかわいらしく家族みんなが安心なゲームを出している任天堂ですが、ファミコン時代にはゼルダなどとはまた違う方向にチャレンジ的なソフトを出すこともありました。それのひとつが『ファミコン探偵倶楽部』シリーズ。まあ名作ですし、ファミコンミニでも出ていたのでご存じの方は多いと思います。あとそのうちバーチャルコンソールに出てきそうですし。
これのすごかったところはストーリーの面白さだけではありません。それは子ども達にトラウマを抱かせるクラスの死体ドット絵。
それまでも殺人事件ものでもエニックスが『ポートピア連続殺人事件』を出していました。ただ、死体シーンはそれはただの人型で怖さは感じませんでした(ちなみに『オホーツクに消ゆ』もそれほど怖い絵ではなかった)。しかしこの『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は、ドット絵にしてはリアルな死体が出てきたのです。
具体的には首をつって青ざめつつ死んでいる男や、胸を刺されて目を開いたまま死んでいる男(ちなみにドサエモンと墓の下の死体はさすがに簡略した人型でしたが)。正直今でも一瞬引きます。
しかも刺殺体のドット絵は当時のCMで流れたんですから(あれは正直トラウマです)。
でも、今になって思うのですが、このゲーム、もしかしたら出したこと自体が超英断だったのではないでしょうか。それはこれを任天堂が出したことによって、「ここまでしてもいいんだ」とサードパーティーのクリエイターに思わせ、自由なゲームを生み出した可能性があるからです。とはいってもファミコン、スーファミ通してこれ以上の表現をしたのって、続編の『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』くらいだったかも。まあ時代がゲーム弾圧傾向になってきてたせいもあるかも。
ちなみにこれはPSでも同じようなことが起きています。それが『リンダキューブアゲイン』。
もともとPCエンジンで作られたソフトの移植なわけですが、これのために赤三角マークが作られたらしいですし。もっとも最初の適用は『バイオハザード』になりましたが(どうでもいいけどATOKで”バイオハザード”と打つと”☣”というバイオハザードサインが出てきた……)。
聞くところ、これ以前と以後でSCE内部の倫理基準が変わったって話もありますし。
まあやっぱりサードパーティーは作ったソフトをハードメーカーに差し止められるのが怖いので、ハードメーカーの出したソフトを見ないとってところがあると思います。ですからこのようにその時代の基準をブチやぶるソフトが必要だと思うのですね。それによって「ああ、やっていいんだ」って範囲が増えて、ゲームに多様性を持たせることが出来ると思うのです。
そんなわけで、ここはまた任天堂自ら『ファミコン探偵倶楽部』のようなゲームを出して欲しいと思います。そうしたらその後に(前でもいいけど)コナミには『スナッチャー』とか『ポリスノーツ』みたないゲームを出して欲しいなと思います。
◆おまけ
例の『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』のCMをこっそりと。
■ファミコン探偵倶楽部 ~消えた後継者~CM – YouTube
今だったらクレームついたかも。