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横井軍平さんはある意味コンシューマギャルゲーの祖でもあるという話

最近、横井軍平さんを知らないと思われるコメントが散見されます。ゲーマーの間ではこの人の功績は常識のように感じていたのですが(もちろんコメントがネタかもしれませんが)。だけど考えてみると横井さんが亡くなったのが1997年ですので、今20歳の人も当時9歳。今ゲーマーでも功績を知らない、というか体験していない人がいてもそんなおかしくはないのですよね。私が王、長島時代のことなんて全然わからないように。

というわけで、今回このブログはじめ他のブログでも、横井軍平さんのキャンペーンをはってみたいと思います。

 

先日、『 大手コンシューマゲームメーカーから発売されたギャルゲー的ゲーム』において、『中山美穂のときめきハイスクール』について触れました。そしてこれの開発者として、横井軍平氏は名を連ねているのです。おまけにスタッフロールの筆頭として。

大手コンシューマゲームメーカーから発売されたギャルゲー的ゲーム
現在、コンシューマでのギャルゲーはほとんど移植作品となり、オリジナルはかなり少なくなっています。たしかに昔からオリジナルのギャルゲーを出す会社は少なかったので、そのうち有力なインターチャネル、キッドが(事業は別会社で受け継がれてはいるけど)...

 

これの発売された1987年、コンシューマでギャルゲーというものは影も形もないに等しい状況でした。というかコマンド選択式のアドベンチャーゲームというものも一般的ではなかった時代です。ただ、堀井雄二氏の作成した『ポートピア連続殺人事件』のファミコン版がスマッシュヒットをしていたので、確実にその土壌はあったでしょう(『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』はこれと同年)。

『ポートピア連続殺人事件』において当時キーボードでコマンドを打ち込んでいくアドベンチャーから、家庭用にコマンド選択式のものにしたことでコンシューマにおけるアドベンチャーの土壌は出来ていましたが、コンシューマのゲーム機で恋愛の要素を中心にするということは思いつかない、というか思いついても誰も実行できないものでした。

 

たしかに「女の子」と「アドベンチャー」を絡ませたものは、当時パソコンゲームでは生まれていました。しかしそれの市場規模は非常に小さく、一部のパソコンショップで売られいるだけというものであり、開発元もそのソフトを売るパソコンショップだったりしました(例:九十九電機、パソコンショップ高知)。今のエロゲーに詳しい人にわかりやすいように言うと、業界古参と言われるアリスソフトがまだ誕生していない時代です(前身のチャンピオンソフトは存在していた)。おまけに当時のパソゲーは恋愛というよりも「エロ」に重点が置かれ、心情まで踏み込んだものは少数派だったように思われます(もしくはエロのおまけ)。まあそれでもパソゲー市場ではそれなりのものはあったけど、コンシューマではそのようなものは皆無といっていい状態でした。

 

コンシューマでこのようなゲームが存在していなかったのはハードメーカーの倫理と言うよりは、当時子供向けと思われていたファミコン市場で恋愛を主体にしたものの需要があるかどうかなんて誰にもわからなかったからでしょう。

しかし、そのハードメーカーである任天堂が自ら、「恋愛」という概念を組み込んだゲームを発売したというのは、今思えばすごく衝撃的な出来事でした。しかし、「ラブテスター」の開発動機が「女性と気兼ねなく手を繋げる」なんてあたり、横井さんはこのあたりの需要にも気付いていたのかもしれませんね。

たしかにこのソフトを厳密に見れば『芸能人もの』になるので、今で言うギャルゲーとは違うでしょう。しかし、ここでこれが作られたことで、コンシューマにおける恋愛アドベンチャーという形式の土台が出来たといっても過言ではないでしょう。横井さんが意図していたかいないかにかかわらず、この土台がなければ、恋愛シミュレーションはエロ目的止まりのもので、ときメモ以来の恋愛だけを目的にしたコンシューマでも出せるものが生まれていなかった、または全く別の形になっていた可能性はありますし。そう考えると、任天堂とは全く無縁のようにも見えるコンシューマギャルゲーにおいても、横井氏は影響を与えていたのかも、なんてことを思ってしまいます。

 

■参考:横井軍平 – Wikipedia

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横井軍平さんの開発したものは『ドラえもん』にも影響を与えていた - 空中の杜
任天堂の横井軍平さんの開発したものは、『ドラえもん』に出てくるひみつ道具にも影響を与えていたと思う。
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