最近個別のゲーム音楽にスポットを当てた機会も少なかったので、過去から現在までのゲームの中で、それの音楽がゲーム音楽の歴史を動かしたと思うものをピックアップしてみようかと。
ではまず、1980年代前半アーケードレトロゲーム全般。というかこれはゲームミュージックの歴史の大成作品と言ってもよいでしょうね。
1970年代後半、『スペースインベーダー』が社会的話題になる程の大ヒットを起こします。このゲームは日本のゲームの夜明け的作品ではありますが、この頃にはゲームにおける音はまだ「効果音(SE)」であり、「ゲーム音楽」という概念は存在しなかったように思えます。そして『スペースインベーダー』の後、アーケードゲームを中心として日本のゲームが隆盛してゆきますが、その時にもゲームから発せられる音を「音楽」としてとらえた人はごくごく一部だったと思います。
しかし、1980年代になると、部分的に「音楽のようなもの」が生まれます。まず最初は、SEの羅列で作った疑似音楽のようなものでしたが、それが発展し、ステージの始めや合間などで、短い音楽と呼べるものが生まれます。代表的なものは『パックマン』のステージ始め&ステージ合間の音楽でしょうか。
そのうち、ゲーム中はSEのみで無音が当たり前だったゲームに、ゲームの最中も音が鳴り続けるというものが存在してきます。代表的なものは『マッピー』、それと『ニューラリーX』ではないでしょうか。これらは当時の基板の性能を生かした(というかそれしか音の選択肢がなかったのですが)すばらしい音の流れを生まれさせ、プレイヤーに「ゲームの音楽」という概念を生まれさせます。
この当時、ナムコはアーケードゲームにおいてトップ人気を誇る存在でしたが、これにはゲーム性はもちろんのこと、音楽演出におけるすばらしさも一因にあると思います。
そして、「ゲーム音楽」という概念を大成させたのは、当時大人気だったテクノポップグループYMOのメンバー、細野晴臣氏が監修をした『ナムコ・ビデオ・ゲーム・ミュージック』の発売でしょう。これは文字通り、ナムコのアーケードゲームを収録したサントラになりますが、これが日本はもちろん、世界で初となるゲームミュージックサントラとなります。ちなみに当時はまだレコード全盛の時代でしたので、この初回版もLPレコードでした(下はCD復刻版)。
この最初のサントラは完成度が高く、さらに増え始めていたゲームファンにも受け入れられ、さらに細野氏のネームバリューもあったために一部で話題となります(ちなみに小学生の頃、近所の図書館にもこのレコードがあったので、借りてきた記憶があります)。ここに「ゲーム内の音楽」というものが広く認知された、と言っても過言ではないでしょう。今聞いてもノスタルジー以外に音の使い方などに非常に工夫がなされており、とても良く聴けます。
このサントラの成功で、GMOというゲームサントラレーベルが誕生し、初期のゲームサントラ販売のメインブランドとなります。
さらに当時、ナムコの作曲を多く手がけていたのが大野木宣幸氏はその後サイトロン(旧サイトロン)を設立し、多くのゲームサントラのリリースにかかわります。
1983年、家庭用コンシューマゲーム機として初の大ヒットとなるファミリーコンピュータが誕生し、ここでも初期にナムコのこれらのアーケード移植ゲームは任天堂のゲームと並んでヒット作を連発します。これらはどれも移植度が高く、そこからさらにゲーム音楽が広まったと言えるでしょう。
そして、ファミコンが広まってきて、ソフトも充実してくると、こちらでも数々のゲームの中に音楽的なものが生まれてきます。次回はその時代のものを紹介したいと思います。
☆追記(2017/3/8):書きました。