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かつて、ゲームのSEはBGMと同質だった

 『ゲームミュージックの歴史を動かした作品』は、第2回を「バルーンファイト」にするか「スーパーマリオ」にするかで悩んでいるのでちょっとお休み(たぶん両方やりますが)。
 さて、最近仕事中にちょいと古いゲームサントラばかり聴いています。さて、これらを聴いていて最近のサントラの多くの違うところを感じます。音源が違うのはもちろんですが、サントラの構成的にも違うところがあります。それは「SE」、つまりゲーム効果音の存在。
 昔のサントラ(旧サイトロン時代のとか)を聴いていると、BGMのほかにSEが収録されていることは全然珍しくありません。サントラの一番最後にSEがまとめて入っていて、エンディング音楽の後なので流してきているとちょっと脱力することもありますが。それだけではなく、さらに昔のサントラには、音楽とあわせてSEがリミックスされている例が多いですね。前回紹介した世界初のゲームサントラ『ビデオ・ゲーム・ミュージック』もそうですし、『ドラゴンクエストIII』の頃も生音で収録されていたのはSE込みのものでした。
 しかしこれ、今だからこそ違和感を抱くかもしれませんが、考えてみれば当然なのですよね。だってもともとゲームの音楽ってものは、SEから生まれたのですから。
 『スペースインベーダー』以来数年間、ゲームはSEのみでした。しかし1980年代になると、そのSEを繋げる形で「ゲーム音楽」という概念が登場してきます。つまり、この時代においてはある意味音楽はSEとも言えたわけですよね。ちなみにこの当時のSE聴いていると、音楽聴いている並に感動することも多いです(『スーパーマリオ』とか『ゼルダの伝説』あたりで同じように思う人はきっと多いはず)。
 そしてハードのスペックが上がってゆき、それが音楽らしくなってくるにつれて、「ゲーム音楽」は「SE」から分離していったと。しかし同じハードから流れるもの、その時代のサントラはそれ故にSEもBGMと同質のものと扱われていたが故に、サントラにも収録されていることが多かったのではないかと。まあもちろん当時のSEは容量の制約上数が少なかったということもありますが。
 ちなみにその伝統が一番強かったのは、やはりアーケードゲームではないかと。このころのアーケード基板は原則メーカーごとに違いましたから、そこから出される効果音にも個性がありましたしね。
 では、そのBGMとSEが切れたのはどこか。個人的には音源がそのハードに依存するものから脱却した時、すなわちCD媒体へと移行したPS、SS時代ではないかと思います。つまりハードから出される音ではなく、外部からの音が主流になるにつれて、その関係性が途切れたのではないかと。
 そして現代では、サントラにSEが収録されることもあまりなくなりました。せいぜいアーケードゲームのサントラで容量が余ったら、ボイスと一緒にってくらいでしょうか。
 ただ、SEってのはある意味においてはBGMよりも重要な役割を果たす場合も多いのですよね。それはハードから音を出していた昔から今まで変わりません。そして『スーパーマリオ』なんかではそのSEが20年間印象に残り続けたりしています。あと個人的には『メタルブラック』や『ダライアス外伝』なんかの個性的な効果音が好きです。そして最近のゲームでも、『リズム天国ゴールド』とかおもしろい音使ってるなあとか思ったりしますしね。
 というわけで、ゲーム音楽が好きな人は、その効果音にも注目してみると新しい発見が得られるかもしれません。

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