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「枯れた技術の水平思考」はブルー・オーシャン戦略の先駆けだったのではないか

Timestepsで、『横井軍平氏が設立した株式会社コトは今どうなっているのか』というのを書いたのですが、その時横井さんのことをいろいろ調べていて思ったことがあります。それは、横井さんはブルーオーシャン戦略の先駆けとなった人ではないかと。

 

ブルー・オーシャン戦略というのは、競争の激しい既存市場(レッド・オーシャン)ではなく、競争のない未開拓市場である市場、すなわちブルー・オーシャンを切り開くべきだという企業戦略の提案です。

ブルー・オーシャン戦略 – Wikipedia
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)

この本では、1000円頭髪カットのQBハウス、そしてWiiの例があげられているようです。

■参考・任天堂「Wii」を生んだ「ブルー・オーシャン戦略」とは?

 

しかし、ここで挙げられたWiiは任天堂の岩田社長が、横井氏の哲学である「枯れた技術の水平思考」の原則にのっとっているものだと話しています。

■参考・任天堂 岩田聡社長インタビュー(1)

こう考えると、すでに20年前、ブルーオーシャン戦略という言葉が生まれる前から、横井氏の作品、すなわちゲーム&ウォッチやゲームボーイはこの戦略を実行していたのではないでしょうか。

 

横井さんは、以下のような言葉を残されています。

「私はものを考えるときに、世界にひとつしかない、世界で初めてというものを作るのが、私の哲学です。それはどうしてかというと、競合がない、競争がないからです」
「横井軍平ゲーム館」より

 

たしかに横井さんの製品、ゲーム&ウォッチやゲームボーイなどは、「枯れた技術」が使われていますが、それの生かし方は激しい市場で既存のものと同じ立場で挑んでいるのではありません。そんなことをしてもただの「古い技術」であり、最新式のものに勝てないのは当然です。それを生かした方法は、競争相手が全く、もしくはほとんどいない場所、今ならブルーオーシャン市場と言えるものでしょう。

 

ただ、新しいものを出したからといって、そこに需要があるのかはわかりません。しかし、ゲーム&ウォッチもゲームボーイも、見事に需要があったのですよね(逆にそれがなかったのがバーチャルボーイなのでしょうが)。

おそらく、今もこのような「需要のある」ブルー・オーシャンと、需要がないブルーオーシャンの2種類があり、後者を選んで撃沈した人もいるでしょう。しかし、そこにはいってみないとわからないのです。そこで、「枯れた技術」を使い、コストを抑えることで、採算分岐点を低くしたのかもと思われます(実際、バーチャルボーイも任天堂の業績にはあまり影響がなかったようです)。

とはいえ、横井氏もソニーのウォークマンについて触れていますし、このような例は任天堂以外にもあったと思います。ただ、そこに「枯れた技術」を使ったのは、大きなところではないかと。
こう考えると、開発者としてだけではなく、経営的な面でも横井軍平さんはすごい人だったのではないか、と思えます。

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横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力

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