ゲームのテストプレイ(デバッグ)ってどういうの?

前回もちょっと書きましたが、私は数年前にテストプレイヤーをしていたことがあります。まあそれがきっかけで、ゲームの仕事に携わらせてもらったのですけどね。まあそんなわけで、なんか昨日のエントリーといい世間には軽視されがち、というかほとんど目も当てられていないデバッグ(まあ本来はデバッグはプログラマが行う修正作業なのでテストプレイとかチェックと言うべきなのですが、通りがいいのでここではデバッグをテストプレイと同意とさせていただきます)の重要性もそこそこ知っているつもりです。テスト以外の開発もやっていたのでなおさら。というわけで、今日はちょっと「ゲームにおけるデバッグってどういうの?」ということについて書いてみます。

ゲームのデバッグの定義は「発売(公表)前のものをプレイして、不具合、改善希望点がないか確認する作業」ってところでしょうか。もう一歩進めれば、品質向上のためのチェックも含みます。
ではこのデバッグっていうのはどんなものでしょうか。

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楽しいものではない

中には「発売前のゲームをプレイできて金をもらえる夢みたいな職業」なんて思う人がいるかもしれません。だけど、絶対に初日~1週間で飽きます。昔、鈴木みそさんのマンガ(おそらく『おとなのしくみ』でデバッグ会社の取材があり、半端な気持ちの人は長続きしないような
ことが書かれていましたが、まさしくその通りです。ちなみに1日目で逃げたなんて人が実際にいました。いや冗談じゃなくて本当に。
まあ、楽しくない、それどころか辛い理由は簡単で、「自分の思うとおりに進められない」からです。それについては以下に。

テストプレイは「自由に遊ぶ」ことではない

まず、テストプレイは「自由にプレイしてみて、それの結果出たバグを報告する」ことだとお思いの方、まあそういう検出方法もありますが、それが全てではありません
たとえばアクションで全く関係ない方向に走るなんてのは日常茶飯事、途中意味来なくコンフィグ画面を何度も開く、データを絶対あり得ない物に変える、カードや麻雀なら絶対ないような役のそろえ方をするといったものです。
私はやったことありませんが、レースゲームなら一日中壁に激突する、なんてことをやるとも聞いています。
そこには普通のゲームの楽しさなんて物はありません。(まあ、デバッグモードなんてものを用意してくれることもありますが、最終的にはそれも取ってしまうので地道にやるしか手はありません)
そんなプレイ方法で何十回も、全体としては何百回もやるわけです。

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バグに対する「カン」が強くないといけない

あと、これは意外と開発の人にも勘違いしている人がいるのですが、テストプレイは(たとえ上記の忍耐が備わっている人でも)向き不向きがあります。
デバッグ初期の何をやってもバグが出る状況なら比較的誰でも検出できるのですが、後半になってくるとあり得ない操作をしないとバグが出て来ないことが多くなります。それがユーザーの前でも永遠に出てこなければ、それはかまわないのですが、そういう見つけられなかったものに限って出てくる(しかも重大な物)のがバグっていうので。

だけど、なんとなくそれなりにテストプレイヤーをしていると、「こここをこうしたら出るな」というのがなんとなくわかってきます。
たとえば、ロードのタイミングで操作と全然関係ないスタートボタンを押す、セーブのOKメッセージが出た直後にメモカを引っこ抜くといったものです。
で、そういったものは何というかバグに対する「カン」みたいなものが備わっていないと発見は難しいのです。(まあ、長い間やればそなわってくると思いますが)。ちなみに今でもPS2でαROMくらいの開発度なら、高確率でフリーズか進行不能にさせる自信があります(ものによりますが)。
あと、このカンは、プログラムを経験した人のほうが持っている気がします。
まあそんなわけで、重要で(高レベルになれば)スキルもいるポジションなのに軽視されているのがテストプレイヤーだと思うのですよ。
でも、ここがないとそもそも発売が出来ないのですよ(普通は発売前にハードメーカーチェックがあり、ここを通らないと認可が下りない。ちなみにハードメーカー所属のテストプレイヤーは、検出力最高レベル)
たしかにちょっと大きめのソフトなら、のべ何十人ものデバッガーを使うのですから人件費がかかり、ここのコストを削減したいと思うのは自然でしょう。しかし、それは大変危険で、それこそ昨日取り上げたような大変なミスを引き起こす可能性があると言えます。
ただ、コストをかけたからといって必ず検出できるとは限らないのですが、それでもメーカーはやらないといけないでしょう。失った金は取り戻せますが、信用を一度失うと取り戻すのは非常に困難なのですから。

そうはいっても、何人ものテストプレイヤーに任せるよりも、有能なチェッカー1人に任せた方が検出率は高いと思うのですけどね。まあそういう人材を見つけるのは遙かに難しいですが。(長くできる職種とは思えないので人がどんどん抜けていきますしね)

まとめ

これだけ見てもまだテストプレイヤーをしてみたいという方がいらっしゃいましたら、メーカーが時々募集しています。ホームページやらフロム・エーなりを見れば載っていますので。時給は安いです。ちなみに、それ専門の会社が存在していたりします。たとえばポールトゥウインなんかでは、登録制バイトを募集していますね。ただし、前述の通り「一日中ゲームをしていられる」なんて甘い根性ではつとまりませんし、それ以上の発展性(開発に進めるとか)はほとんど無いと思った方がいいですよ。