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曲がゲーム音楽として作られる際の音源以外の個性

前回は、現代における昔のゲーム音源を使用して個性を出す試みが行われていることを書きました。

古の音を今に生かしているゲーム音楽
ゲームの黎明期である1980年あたりでは、ゲーム音楽という概念自体がまだないに等しい時代でした。そこではゲームの音を専門に作る人がいるわけではなく、プログラマがそのハードで鳴らせる音を使って、音楽らしきものを作っていたようなことも数多くあっ...

でも、ゲーム音楽の個性は音源であり、他の個性はないのかというと、それはNOだと思います。というわけで今日はその話を。

 

前回も書いたように、最近ではゲーム音楽といっても、必ずしもコンピューターっぽい音が使われているわけではありません。生楽器を利用している例は珍しくありませんし、オーケストラを使っているものまであります。それらはたしかにゲームには使われていますが、そのまま聴いてもゲーム音楽とわからないようなものも多いです。だからといって、それらには「ゲーム音楽」としての個性がないとは言えないと思えます。何故ならそれがゲームで使われる以上、良いものであるならば、必ず「ゲームと合わせる」ということが必要になってくるため。

単品でいい音楽は世の中にいくらでもありますが、それが必ずゲーム音楽として、とりわけBGMとして良いというわけではありません。というのは、ゲーム音楽というのはその名の通りゲームにあわせる必要があるからです。それは曲の雰囲気、すなわちその曲をゲームに使って効果的な演出が出来るかのほうが優先されるからです。いくら単体でいい音楽であっても、それがゲームに合っていない場合は、ゲーム音楽としてはダメなものでしょう。

さらにゲームで使うには、その曲の「長さ」も合わせる必要があります。あまり長い曲だと、1ループ聴かれることなく途中でぶつ切りになってしまいますよね。故にそのゲームで使われるのに適した長さであることが必要になります。多くの場合は、適度な長さの曲を曲をループさせる手段がとられていますが、それはループをしても自然である必要が求められていると言えます。

中にはステージの長さにぴったりと合わせるために、一秒単位で調整が必要な場合もありますね(『斑鳩』のステージ1の音楽など)。

 

このように、「ゲーム音楽」として作られるものは、ゲームに使われるというのが大前提なので、その面で制約を受けていると思うのですよ。中には、ゲームの演出に徹するために、その曲を単体で聴いた時には地味になっているものもあります。しかしそれを使った箇所において、効果的な演出となっていれば、「ゲームを演出する」というゲーム音楽の本質を捉えている素晴らしいゲーム音楽であると言えます。

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そしてこれら制約によって生まれたものは、音源がどんなであれ、他では生み出せない、立派にゲーム音楽としての個性を持っていると思うのです。

例えば最近のものだとFF13。あれの音を部分的に捉えれば、ゲーム音楽以外のものと区別がつきません。しかしあれらの曲はゲームで使われていて、CGの雰囲気に負けない雰囲気さを保ちつつ、且つ演出を盛り上げるために効果的に使われています。特に戦闘曲においてはかなり効果を発揮していると思います。RPG全般に言えることですが、戦闘曲でノリを良くしなければ、単調な作業の繰り返しは飽きてくる場合も多いでしょうから。ここに、ゲーム音楽の個性があると思うのです。

これはある意味、映画のBGMでも言えるかもしれませんね。映画のBGMでは素晴らしいものがたくさんありますが、映画というものがなければそれらは生まれなかった可能性は大きいのですから。

 

このように、音源がコンピュータ的なものではなくても、ゲーム音楽には個性が存在します。もちろん個人的には昔ながらの音源も好きなので、前回語ったもののようにそれも生かしてほしいとは思いますが、それがなかったらゲーム音楽ではない、とは思いません。なんだかゲーム音楽の歴史は音源個性の消失と共になくなりそうなことも言われますが、少なくとも人間がものを作る限り、そこに工夫は常に加え続けられるでしょう。

■関連:ゲーム音楽の未来を考える – [プレイステーション]All About

ただ、それとは別にこれからのゲーム音楽について心配していることもあります。それは、現在のゲーム業界における編制の問題が、ゲーム音楽に影響を及ぼすのではないか、ということ。ぶっちゃけてしまえば、ゲームメーカーにおけるサウンド部門がこれから縮小してゆくのではないかという傾向が見られることから。それについてはまた日を改めて。

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