初音ミクの勢いはまだまだ留まるところを知らないようで。まあもともとひとつの作品ではなくてDTMソフトというツールなので、それにより作品が作られる限り注目され続けるとは思います。
しかしここまで初音ミクが発展した理由は、やはりキャラクター……もありますが、「声」だというのは間違いないと思います。つまりそれまでDTMが入手出来なかった「声」というものを手に入れたから、その分作れる作品の範囲が拡大したと。
さて、今日はその「声」をゲーム音楽などのBGM的に考えてみました。すると、「声」というのはおそらく一番員インパクトがある、しかし使い方も一番難しい素材なのではないかと思えたのです。
インパクトの面ですが、具体的にはゲーム中で使われるボーカル曲を連想していただければわかりやすいでしょう。声つきの曲が使われているのって、だいたいクライマックスとか強い場面、すなわちインパクトを出す必要があるところなのですよね。
例えば『CROSS✝CHANNEL』では重要な場面で「ラララララララララ……」という声が流れるのですが、それが話の展開と相まってかなりの感動的な効果を生み出しています。
あと、『風のクロノア2』なんかでもステージ中にボーカル曲(ただし言語がクロノア語)が使われることがありますが、これもかなり印象に残りやすいです。
アニメでもOP・ED曲意外にありますね。有名なのは『風の谷のナウシカ』のクライマックスの「ランランララ……」という女の子の声、それに『天空の城ラピュタ』でもバルスの前に「ルルルル……」の声つき曲が流れます。
このように、BGMにおいて「声」というのは、その場のインパクトを増す素材としては、最高クラスのものなのではないでしょうか。まあ劇中挿入歌のインパクトがあるのと同じようなものですね。
これは、やはり人間である以上、多くの人間には人間の声が届きやすいように出来ているからではないかと思うわけです。
ただ、いくらインパクトがあると言ってもそればかりを多用することはできません。というのは、『アドベンチャーゲームを作る際、音楽について心得ておいた方がよさげなこと』でも書いたのですが、強い曲ばっかり使っていると、その作品の緩急がとれずに、インパクトを出すシーンでも盛り上げられないということがあるからです。ですので前述のようにインパクトのあるシーンで「声」つきの曲が使われるのでしょう。
ただ、例外的に『ダライアス外伝』のように、声を使っている曲が通常ステージ、それこそ1面からあるのに、全体として落としていないというものもあります。これは「声ナシでもインパクトを上げたままでいられる」という自信がないとできないすごい技だと思うのですが。
初音ミクがあれほどまでのインパクトを与えたのは、言い換えるとそれまでにないインパクトのある楽器を開発したから、とも言えるかもしれません。ま、そうはいってもこれは慣れの問題、つまり現在のBGMが声なしが多いからそう感じるのであって、そっちが多数になるとまた変わるかも。ただそうなるともはやバックグラウンドミュージックとしては作品を邪魔してしまい、機能するかどうか微妙ですけどね。