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ゲームにおける曲数の増加とサントラ収録のジレンマ

今まで限定通販や映画版サントラでしか出ていなかった『どうぶつの森』シリーズのサントラでしたが、Wiiの『街へいこうよどうぶつの森』ではサントラが4月に出るようです。

街へ行こうよどうぶつの森 オリジナル・サウンドトラック「街へいこうよ どうぶつの森 ~森の音楽会~」

「けけソング」のリクエストもしているみたいなので、好きなのがある方は投票してみてはいかがでしょうか。ちなみにけけソングもいいですが、今までクラブニンテンドーのポイント特典サントラくらいにしか収録されていなかったフィールドBGMのほうにかなり期待しています。

しかしこの値段ということは、1枚なのでしょうね(型番も1つだし)。正直、名曲が多いので全部収録して欲しいところなのですが。ただ、これをまともに収録すると確実のBOX仕様になるほどの曲数となってしまいます。そこまで高価になるとさすがに買う人も限られてくるでしょうから、このようなリクエストで選抜という形なのでしょうね。

しかしこの問題、何も『どうぶつの森』だけが抱えているのではなく、近年のゲーム、そしてこれからのゲーム(特に大作)すべてが持ち得る問題だと思えます。


最近の据置機の大作だと、サントラがすぐに3枚組、4枚組になります。特にRPGは顕著で、FFシリーズなんかではそれが当たり前ですね。『トラスティベル~ショパンの夢~オリジナルスコア』も4枚組など、このクラスは珍しいものではなくなっています。

しかしながら、CDサントラとして普通に売るには、これが限界なのではないでしょうか。これ以上増えると1ケースに収まらず、もうCD-BOX仕様に近いものになってしまうのですから。

 

ただ、今後据置機においてさらに容量が大きくなると、音楽がまだ増え続けるという可能性も否定は出来ません。となると、もしCC4枚分に収録できる量を超えたゲームの音楽は、次のうちどれかの選択をしなければならないのではないかと。

 A・曲を一部カットして売る
B・CD-BOXとして売る
C・分割して売る
D・限定受注生産
E・売らない

Aは今回のどうぶつの森と同じ方法。しかしこれはニュースを聞いて感じた人も多いと思いますが「せっかく出るのに好きな曲が収録されない可能性がある」というリスクを背負います。それにゲームサントラの場合、どうしても全曲収録されることで、自分がゲームでプレイした「流れ」を掴んで楽しむという聴き方もあるので、それが不完全になり不満が残る可能性もあり得るのではないでしょうか。

BはたしかにAの不満を払拭できますが、さすがにコスト及び価格も上昇するでしょう。となると、買い手も熱烈なファンのみに絞られる可能性が出てきます。しかしもともとゲームサントラ市場はあまり広くはないので、採算を保てるほど売れるかどうかがわからなくなります。そしてさらに原価が上がってしまう可能性もあるでしょう。

Cは、そのCDを何回かに分けて売る方法。かつては『グランディア』などでとられましたね。こう見るとAを何回か出すようにも見えますが、それとは違います。というのはAは人気のあるものを選抜すればいいですが、こちらはどの商品も均等に質を保たなくてはいけない。となると、1つあたりのクオリティが下がってしまうという可能性もあります。勿論全部集めれば問題ないのですが、そこまでついてくるファンはBくらい、いや満足面からしてBよりも少ないかもしれません。

Dは完全受注生産。たまにコナミスタイルなどでもやっている「一定枚数予約で生産」も同じ感じですね。これは商品の余りを出さない確実な方法ではありますが、反面手間がかかりすぎるでしょう。あと、現在の通販という性質上、どうしても数はさばけないこととなります。おまけに送料がかかるのでその分負担を買い手にかけてしまうことにもなります。

E。文字通り出さない。実はこれの可能性が高いと思われます。というのは前述のように、ゲームサントラはよほどの有名なものではないと利益にならないというところがあるでしょう。つまり手間のわりに採算がとれないとなると、出さない方がまし、と判断されると。任天堂がサントラリリースに余り積極的ではなく、クラブニンテンドー製になってしまっているのも、これが原因のひとつとしてあるみたいです。

 

こんな感じで、曲数が多くなればそれだけ価格と売り上げとのバランスを考えなくてはいけなくなるというジレンマがあるのではないかと。さらに言えば、「ゲームサントラは安いもの」という概念が1500シリーズ以来市場に定着している感もあるので(そういえば1500当時ってのは、1枚のCDに2つとか3つのゲームの曲が入っていたよなあ……)。

これから先のゲームにおいては、このうちどの選択をするか、販売側からすると頭の痛いところでしょうね。

ただ、この問題のうち「市場の規模が小さい」という問題は、曲数が少ないゲームでも抱えている問題でもあります。さらに最近はCDのセールスが減少しているというのもありますし、かなり目立つタイトルでないと売り上げがあまりないという可能性もあります。

つまり結局は市場が広くなればいいのですが、なかなかそうはいかないのですよね。ということで、ニコニコ動画とかで音楽を聴いている人は、せめてその音楽を気に入ったらそれよりはるかに音質の良いサントラを市場にあるうちに買って欲しいと思います(どこでもいいので)。この手のサントラはいつまでもあるわけではないので。そしてニコニコのそれも。

 

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