拍手コメントで、このようなコメントを頂きました。
今のSTGを語る上で同人は避けて通れないとおもうんですがここの人は興味ないの?
今まであまり同人に触れていませんでしたが、私も実は同人ゲームはわりとやっています。東方Project作品は一通り持ってますし(始めたのは妖々夢のころ)、『月姫』は初代PlusDisc発売前にやりましたし。他にもちょこちょこやってます。さらに、このブログでも同人音楽を扱うかどうか考えていた時期もありました(結局系列ブログに移転した上、まだ機会が無くてあまり扱ってないんですけど)。
にもかかわらず、同人を扱っていなかったのは、単純に「同人を入れるときりがなくなるから」という理由でありました。あと「一応別個にしておいたほうがいいかなあ」というところもありました。これは別に深い理由はなく、なんとなくなのですが。
しかし、今、よ~く考えてみると「同人ゲームと商業ゲームの違いって何」という考えが出てきました。
同人といえば「二次創作」、つまり原作のあるもののファン活動の一環として行うもの、ちょっと死語になりかけている言葉を使えば「ファンジン」が目立っていましたが、近年では前述の東方Projectや、『ひぐらしのなく頃に』のような完全オリジナルのものも目立ってきました。まあ正確に言えばそれ以前、かなり昔からオリジナルはあったのですが(パソコミなんてのがありましたね。あと本ならコミティアか)、売り上げが商業ものにに匹敵するくらいになってきたというのは最近ですね。
で、二次創作ならば著作権の都合上ごくごく一部の例外を除いて(自分の権利がある同人とか)商業には成り得ないので、「同人」と明確に個別化できます。ですが、一次創作の場合、少なくとも著作権においてはクリアしています。
そもそも昔ならば、同人と商業を分けていた要素というのはたくさんあると思うのですね。それは流通などの外的要素ではなくて、ゲーム内容における内的要素でも。
ちょっとここで整理のために、一次制作同人と商業作品の違いで主なところを挙げてみます。
■流通過程
■対応機種
■広告媒体
■技術的要素
■審査
■サポート
『流通過程』とは、売られる場所ですね。コンシューマゲームならおもちゃ屋やソフト屋、家電量販店など。そして同人は主にイベント売り、そして同人ショップってところですね。
『対応機種』。これは家庭用ゲーム機の場合、ライセンスを受けているものは商業ソフトとなります。
『広告媒体』とは、それが取り上げられるものの違いですね。今までならゲーム雑誌に載るのは商業ソフトのみで、同人はあっても1、2ページだけでした。
『技術的要素』とは、つまりそのゲームにおける技術、グラフィックなどの差ですね。やはり会社規模で行っているものと、原則個人(サークル)単位のものでは、差が出来てしまっていましたので。
ほか『審査』は倫理団体での審査。『サポート』はそのソフトに対するサポートの体制が整っているかということです。
昔はこれらのどれにでも差があり、同人は商業ソフトとは成り得ませんでした。しかし、近年の状況を見てみると、ソフトを出すことがイコール商業となってしまう家庭用ゲーム機はともかくとして、原則それが自由なパソコンにおいてだったら、かなり両者の差が昔よりなくなってきていると思うのです。
まず、『流通過程』においては、同人ショップの他、インターネットが普及したことによる通販が全国から可能となっていますので、昔より入手難易度は下がっています。
さらに『広告媒体』も、同人ソフトが雑誌の表紙になったり、専門の書籍が出る時代ですし。さらに、インターネットという存在は商業、同人という違いはほとんど目立たないので(家庭用専門サイトもあれば、同人専門サイトもある)、広報展開に差がつきにくいと思われます。
そして『技術的要素』。今まではこれが同人ソフトと商業ソフトを分けていた一番わかりやすい要素だったと思います。同人ソフトにおいては商業ソフトにはいろいろな面でかなわなかったのですね。それは主に見た目において。
しかしながら現在、それの差はほとんどなくなってきています。その理由はいくもありますが、明確にわかるレベルではオンラインゲームなどの一部例外を除けば商業ソフトはすでに限界に行ってしまったのではないかと。だいいちこれ以上綺麗にしたところで、スペックが対応しているとは限りませんし。
あと、WiiがPS3に販売面で勝っている要因として言われる「ゲームの面白さにグラフィックはあまり関係ないと思っている」ことが、こちらにも影響しているのかもしれません。
それに、フォーマットが決まっているゲーム、すなわちアドベンチャーゲームみたいなのってのは、すでに同人でも作り方次第でプロ並みにいける開発用ツール(『吉里吉里』『NScripter』など)が出来てしまっているのですね。
となると、商業ゲームと同人の差というのは、かなりの勢いで埋まってきているのではないかと思えるわけです。
とはいっても、東方やひぐらしみたいなのが例外で、ほとんどの同人作品の規模はマイナーなコンシューマゲーム程度というかそれ以下のものでしょう(あくまで規模の話で、面白さの差ではないので念のため)。今回のも同人のMAX値で比較しているため、実際は同人ものが商業ものにジャンルとして匹敵するのにはまだまだ時間がかかると思います。
それに、やっぱり最後の砦である『責任』『サポート』は、個人では出来ない面があると思うのですね。ちなみに、成人もの(つまりエロ同人ゲー)の場合は、「その製品に対する倫理的責任」が違うと思います。つまりは「倫理団体の存在」ですね。つまり何か起こったとき、それを個人で処理できるかという点だと思ってます。
ま、問題は商業に所属してもたまに責任をとらないところがあることなんですけどね。そういうのってますます商業全体のメリットをなくすだけなのに。ですのでこの前も書きましたが、ちゃんとミスしても回収するソフトは責務を果たしている点で良いと思っています。
しかしそれでも商業ソフトにおいて何かしらの差別化が必要になる時代が来るかもしれません。
一昔前から今までパソコンにおいてネットゲーが大規模小規模リリースされているのは、同人にはオンラインはまだ踏み込みにくい領域だからかもしれません。
ま、いろいろ書いていきましたが、同人はこういった商業的面を考えないで、自分たちの作りたいものを作るのが一番だと思います。それが同人だと思っていますので。