以前『限定版はシリーズ全体を殺すか』でも触れたこととちょっと被るのですが、それについて書こうと思います。
限定版の訴求力が低下した原因
ゲーム及びゲーム関連グッズでも、限定版は相変わらず数を増していますね。しかし、あくまで体感ですが、その「限定版」という言葉の持つ力、というか商品訴求力は明らかに昔より下がっている気がします。これはゲームのことなのですが、どうも考えてみるとゲームに限らないような気もして。それの理由についてちょっと考えてみました。
原因としては、
・『限定版』が増えすぎた故、飽きられた。
・『限定版』が販売的に嘘になっている。
・『限定版』の価格差。
・2次流通ルートの構築により、限定版の限定的要素が薄くなっている。
が挙げられると思います。
『限定版』が増えすぎた故、飽きられた
1はどういうことかというと、昔、それこそ商品のごく1部であった『限定版』というものの存在が、現在ではそれ自体の数が多くなっています。どんなマニアの人でも、全体の買うものからすれば限定版は一部だったでしょう。それ故の希少価値だったと思います。しかし現在はゲーム内ではもちろんのこと、コミックやらCDやら、あらゆるもので「限定版」が存在してますね。となるともう限定版というものの言葉には目新しさはなくなってきたのではないかと。
『限定版』が販売的に嘘になっている
2は、特にゲームで起こることですが、本来は通常版も売るものなのに、限定版しか出荷していない商品が存在する、ってことですね。これは特に初回限定版でよくありがちですが、初回発注主義で事実上リピートがほとんど行われていない現状のゲーム業界では(参考『ゲームにおけるリピート生産の幻想』)、通常版が作られない可能性もある=限定版のみということになってしまうのですね。
限定は限定であるが故にレアなので、これでは通常版と変わらず、限定版としての価値も下がると思います。
『限定版』の価格差
そして3はやや前の2つを受けてのことになりますが、限定版はその性質上たいていは価格が通常版より高めのものが多いです。しかし、あまり価値を見いださないものによりお金を払うのもばかばかしいとおもう人も出てきたのではないでしょうか。
2次流通ルートの構築により、限定版の限定的要素が薄くなっている
そして最後の4ですが、これが一番限定版というもののレア度を下げたものだと思います。
2次流通ルートとは、つまるところその限定版を買ってからの品物の流れです。つまり中古屋に売られたものやヤフオクなどからの購入方法となります。10年前なら、こういったものを扱うのは(品物にもよりますが)一部のショップだけでした。しかし、ネットの普及により、それらの売買が可能になると、「別に今買わなくても(多少金を払えば)いつでも手に入れられる」というシステム、及びその心理状態が確立してしまったと思います。
ちなみに昔はこれを使って転売をして儲けを出していた人がいましたが、今は一部の商品を除けば、「限定版」といってもだいたい定価割れしているんですよね。これはあまりにも買い手<売り手になってしまっているからだと思われます。
そういえばヤフオクで「限定」とかのワードでざっと見てみると、いろんなものが出てきますが、ドリーミング自分価格を初期設定にして、回転寿司(落札されずに自動再出品になって延々と出品状態のものの通称)になっているものが多数ありますね。ま、最近ではメーカーも転売を見越して出してるから、本当に欲しい人のわりに商品が出回って、こうなるってのも不自然でもなんでもないんですけどね。こういった転売は今はハイリスクローリターンなので、やめておいたほうがいいと思いますけどね。そういえばPS3買い込んだ人とか、ときメモ3の限定版買い込んだ人ってどうしたのかなあ……。
まとめ
以上のように、限定版という言葉の価値ってのは昔と違ってかなり下がっていると思うのですね。なのでこれからは、通常版と同じだけど、限定とつけとけばちょっとプラスになるだろう程度の扱いになってしまうものも多くなるのではないかと思います。
とはいえこれは「限定版」という名前自体の訴求力がなくなったってことであって、限定版の商品自体が魅力的なものであれば相変わらず売れているのですけどね。「サントラ付き」だとつい買ってしまうのは私。そういえば一時期はいきつくところまで行っていたショップ特典とかあったなあ……B全ポスターとか、POPとか、大型目覚まし時計とか。採算取れてたのかなあ……
ただ、フィギュアとかをつけただけじゃあ売れなくなってワゴン行きってのもあるので、単に限定版ってだけではなくて、どうすればそれが売れるかの企画力がいるようになってきたのではないでしょうか。