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限定版はシリーズ全体を殺すか

前回『宝物(コレクション)が紙切れになる瞬間とその原因』というエントリーを書きましたが、それと関連した話題です。

コレクションという宝が紙切れになる瞬間とその原因
私は小さい頃、「ビックリマン」やキンケシ(キン肉マン消しゴム)を集めていました。おそらく同じことをした同年代の方もいらっしゃることでしょう。 しかし、それらは今、両方とも見あたる範囲にはありません。おそらく捨てたかあげたと思います。 ...

 

最近は発売予定表を見ればほぼ必ず「限定版」が存在します。それは完全限定だったり初回限定だったり形は様々ですが、要は「売る数、もしくは時期が決まっている商品」ですね。
売る側にとっての限定版のメリットというのは、一般的にいわれているところならば

・ユーザーにその時点でなければ買えないという印象が出て、通常の商品より購買欲が高まる=よく売れる
・注目が集まりやすい。

逆にデメリットは、

・例え予想以上に人気があっても、「限定版」の手前再生産が出来ない。
・「通常版」と2種類作る場合、その分の製造の手間、コストが余計にかかる。

といったところではないでしょうか。

ついでにユーザーにとってのメリットはやはり「プレミア意識」が主だと思います。そしてデメリットは「入手困難性」でしょう。

ちなみに中古屋で値がつくという価格的プレミアもありますが、あれは自己満足なだけで、商業的にはほとんどうまみがないことを付け加えておきます。(まあ希にそれを利用する例もありますが)

 

このように、一見売る側にとっては予想以上に売れたときには機会損失が生まれてしまうものの、多くの場合は損をしない、とお考えの方が多いと思います。

しかし、これ以外にも実は逆に限定をすることで見えない損をしているのではないかと考えます。特に、前回のエントリーで扱ったようなコレクション性の高い商品にとっては。

以前、『何故、初回特典にはゲームサントラが多いのか(後編)』のエントリーで以下のような文章を書きました。

何故、初回特典にはゲームサントラが多いのか(後編)
前回の続きになります。まだ読んでいない方は、こちら『何故、初回特典にはゲームサントラが多いのか(前編) - ゲームミュージックなブログ』からどうぞ。 __________________ 何故初回限定版(サントラ)が...

 

初回特典というものは、初回の勢いを増す分、その後の(いわゆる通常版の)勢いを殺してしまうという欠点があります。そりゃ、買う時期が違うだけで値段の大差ないものなのに、片方にはついていないものがあれば、中古の初回版に手を伸ばしたくなりますね。

つまり、限定版という存在があるのに、わざわざ付加価値のない通常版を買うのは損だという心理が働いてしまうのです。

 

こんな話があります。日本人の心理として、高機能でちょっと高いものと、低機能で少し安いものだと、高い方を選ぶことのほうが多いそうです。ロースカツ定食と特上ロースカツ定食の差が300円程度だったら、後者を選ぶ人が圧倒的に多いとか。

それに昔任天堂がファミコン前に出した「カラーTVゲーム6」「カラーTVゲーム15」というゲーム機では、6のほうは実際には15の基盤からゲーム9個を潰しただけですが、これを廉価版として最初に出しておいて本命の15を売る戦略だったとかいうことです。

最近では、PS3ですね。これも今聞くところだと、やはりフル機能の60Gのほうが売れているらしいです。

 

そんなわけで、価値の高い方を選ぶことにより通常版が売れなくなってしまうというマイナスが起きかねないわけです。
そして、もしこれが前回扱ったようなコレクション性の強い商品……例えばトレカやコミックスやアニメの巻揃いの場合、中途半端だと気持ち悪いので完全に集めることを目的としている人は少なからずいると思います。

しかし、もし限定を逃して1つ欠けただけでも、それはコンプリートじゃなくなります。その結果、中古で限定版を購入すればいい方で、挫折した次の段階からは買わない、なんて可能性も出てきます。

実際、エヴァのトレカでは通常カードの他に応募抽選でもらえるスペシャルカード(カヲル・レイ)というものがありましたが、これがとんでもなく値段がついてしまった時期があります(たしか1枚4万いってたかな?)。で、それを見て「もうコンプリート出来ない」といって購入意欲が薄れてそれ以降のカードの収集をやめてしまった人がいます。というか私の友人ですが。

 

ここで「じゃあシリーズもの、コレクションものでなければ限定版でも大丈夫だ」と思ったら、そうとも言えません。実はユーザーにとっては、「作者(アーティスト)全コンプ」とか「メーカー全コンプ」なんて形でまとめて集めている人もいるからです。同人誌で言えば「サークル全コンプ」なんて人もいるでしょうか。
限定版じゃありませんが「今まで創刊以来買ってきた雑誌だけど、買い逃したからやめよう」なんてのも同じような心理ですね。(ディアゴスティーニのシリーズものなんてまさにそのもの)

もちろん、購入意欲が限定商品の価値より勝っていれば何としてでも手に入れてコレクションを続けるでしょうが、もし、その商品の魅力が購入意欲を下回っていた場合、最悪コレクションをやめてしまう場合も考えられます。

 

そんなわけで、限定版には売り手にとって必ずしもメリットばかりではないと思うのです。
私の意見としては、一度逃したら入手困難だった昔と違い、今ではヤフオクなどもありますし、もう近いうちには限定版と聞いてもユーザーが慣れきってしまってほとんどプレミア価値がなくなりそうですから、よほど値のはる物(生産にリスクのあるもの)でなければ、そろそろ限定版っていう方式やめたほうがいいと思うのですけど。

とはいえ、流通とか製造の都合での限定(早めにマスターアップしないと費用がかさむ、自社通販などはあまり長く売るとコストがかかるなど)もあるでしょうから、そううまくはいかないでしょうが。

ま、最近では限定版と名のつくものでも余ることが多いのですけどね。これがまた限定というものの話をややこしくしているのですが、それはまたの機会に。

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