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バーチャルボーイを再評価してみる

任天堂のハズレハードとしてネタになりやすいバーチャルボーイ。たしかに色数が少ないとか、携帯機にしては何処でも出来るわけじゃないけど、家庭用としては物足りないなどいろいろマイナス点と言われている部分はありました。しかし、本当にこれがダメハードだったか、と言われると、そうは思えないんですよね。

持ってはいませんでしたが、これを試遊台で何回も遊んでいると、けっこう独特の立体感が楽しくて、わりと遊べるのですよね(たしか『マリオクラッシュ』)。これは全く新規のシステムであるハードとしてはたいしたものだと思います。

横井軍平展09_バーチャルボーイ

しかし当時は次世代機戦争の真っ最中で、スーファミからの大幅な画像の進化がアピールされていた時期でもありましたので、そんな2色のものはアピール力に欠けます。たしかに実際にやれば面白いのですが、大人数にそこまでさせることは出来ませんし、雑誌でも見劣りしますし。

あとは、台数が伸びないとソフトが出ないというスパイラルで、このハードを生かしたソフトが出る前に、市場から姿を消してしまいました。まあたしかに当時のPS、SS優勢の情勢だと、売れそうになかったですけど。

 

しかし、売れなかったのはライバルの存在だけではないと思います。すなわち任天堂的にこれを「スーファミの後継(関連)機だ」みたいに見られてしまったのが致命的だったと思います。つまり、「スーファミより(見た目)ショボい」という感じで。それならばわざわざ買わなくてもスーファミのソフト買うし……と思われたのが致命的だったと思います。

だけど、バーチャルボーイというのは、別に携帯機の系譜でも据置機のラインでもなく、任天堂の全く新しい製品のラインにあるものだと思うのですね。今で言うDSみたいな(まあこれも今では携帯機の系譜に組み込まれちゃってますけど)。

だから、もしこれを任天堂が「これは全く新しいゲームで、スーファミやゲームボーイとは別に考えて欲しい」と説明しユーザーに納得させれば、携帯ゲーム機や据置機また違った道が開けていた可能性があったのではないかと思ってしまうわけです。まあそんなにユーザーを納得させられれば苦労はいりませんが。

 

でも、次世代機戦争の熱がある当時、この企画が通っただけでも任天堂はわりとすごいと思います。それは任天堂を支えてきた横井軍平氏の発案だったからかもしれませんが。

ただ、横井氏にしても、それより10年前と違って、任天堂がこういった実験的なハードを出すことが難しくなってきたというのを感じていたのかもしれません。それは会社の体質が変わったというより、売れなければ大勢の人(社員だけではなくて、問屋や店まで)に迷惑がかかってしまうというほどに会社が大きくなってしまったのですから。勝手な想像ですが、それが横井氏が会社を辞められる一因となったとも思えるのです(バーチャルボーイの失敗が原因という風説が出ていますが、あれだけ成功した人を一発で切るはずはないかと。社長自身がホテルやタクシー会社で鬼のように失敗してますし)。

 

歴史にifはありませんが、それでももし、このバーチャルボーイのコンセプトで、カラーにして(技術的には可能らしい)、且つ任天堂の総力を尽くしてソフトを揃えれば、意外といいものが出来るのではないかと思ってしまうのです。つか、税金対策でもいいので、任天堂にはこういったチャレンジ的なことをしてほしいなと思います。

 

P.S.

ちなみに昔のセガもいろいろチャレンジブルで好きでした。SCEも「ゲームやろうぜ」みたいな動きが好きでした。あの頃までのゲーム業界ってけっこうワクワク感があったなあと思うのは、懐古趣味から来るものなのでしょうか……?

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