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竹本泉マンガは何故ゲーマーに好かれるのか

今日もマンガの話から。

私は『空気を読まずにマンガを読む』なんてブログも運営しているように、ゲームと同時にマンガも好きです。で、学生時代にはいろいろなマンガを読みふけりました。そして学校の帰りに新宿に寄って、ゲーセンでプレイした後、当時存在した『まんがの森 新宿店』に通うのが生活パターンとなっていました(今考えると、すげー黴臭い店舗だった)。


その当時あらゆるジャンルのものを買っていましたが、何人かの作家のものは、発見するとすぐに買っていました。その中の1人が「竹本泉」。

竹本先生の名前、そして絵柄をご存じの方は非常に多いでしょう。それも80年代から少女マンガで活躍した上、現在でもあらゆる雑誌で描いておられるベテランです。しかも竹本先生はゲーム雑誌にも連載を持つことが多く、『セガサーンマガジン』の時代から『ドリームキャストマガジン』『ドリマガ』を経て『ゲーマガ』でもマンガの連載をしておられました。

さらにはキャラデザを担当されている絵も多くあります。古くは『ゆみみみっくす』『だいな・あいらん』、あとPCエンジンCDROM2超末期のソフト「てきぱきワーキン・ラブ」など。最近ではDSで『ルプ・さらだ』が出ましたね(『ついんくいっくす』を知っている人は通)。

 

ちなみにこれだけの実績がある上、絵もアニメ向きなのに、オリジナルのアニメ化作品がないのは、業界七不思議と言われているとかいないとか。

で、私は竹本先生の作品(とモンスターメーカー)が目的で、相当マイナーな『アスキーコミック』(『コミックビーム』以前にアスキーから出ていたマンガ雑誌)を定期購読していたくらいですし。ただ、やはり当時(90年代後半)は少女マンガ系の単行本が多く、自分はゲーマーとしてはマイナーな存在だなと思っていました。

 

しかし社会人になり、いろいろありながらゲームなどと関連するところにも携わるようになりました。そしてゲームに深く関わりのある人、ゲームの好きな人とも出会うようになったのですが、そういう人たちと話していると、以外と竹本泉が好き、という人が多い野ですよね。1人や2人ならそういうこともあるでしょうが、意外と多い。堂々とは好きと語らない人も、話の節々の引用で「竹本泉のあのシーンが~」とかが出てきたり。つまり、以外と知られているし、好かれている度合いも高いのですよね。あと、ゲーム系のほかのマンガで竹本マンガがネタにされることがあると。

 

もしかしたらこれらは私の身の回りだけの偶然かもしません。しかし、考えてみると竹本泉先生がゲーマー、とりわけ80~90年代のヘビーユーザーに好かれる理由というのは思い当たるのですよね。それをちょっと書いてゆきましょう。

 

本人が超コアゲーマー

竹本先生のマンガには、かなり多くのシーンでゲームをプレイしているところが登場します。それはなんと80年代後半の少女マンガまで。当時、マンガでゲームが描かれるというのはあり得ないことではありませんでしたが、少女マンガで描かれることはほとんどなかったと言ってよいでしょう。しかし、当時から先生はゲーム好きを公言していたのですよね。
90年代初めに出た本にこんなのがあります。

白夜書房『100万本の徹夜ソフト』
これは1993年に発行された、ゲーム好きマンガ家などのオムニバス。つまり、スーファミ中期~後期くらいですね。竹本先生の他、上田信舟さんなども描かれています。私も10年くらい前古本屋で偶然見つけたものなので、おそらく竹本ファンでも持っている人は珍しいかと。さて、ここには竹本先生のゲーム経験話マンガとして、主にファイアイエムブレム(初代)とドラクエIIIのことが描いてあるのですが、ここでも本当にゲーム好きというのが伝わってきます。
さらに1990年代半ばの、『セガサターンマガジン』や『覇王』などの連載によって、先生のゲーム好きががどれだけ深いものかというのを知っている人は多いでしょう(特にFEの話はかなり熱い)。

ゲームの漫画を描いている人の中にも、ゲームをまあやってはいるけど、そんな深くはやりこんでいないという人は多いです(逆に一定の距離を置かないと、「マンガ家仕事」としては向いていないってのもあるかもしれませんが)。その中で、楽しく読ませつつ、ゲーム好きだとわかる先生の作品は、その当時のゲーマーにとって好感を持たれたのではないでしょうか。

 

SFがゲーマー好み

竹本先生の作風というと、見ただけで「ああ、竹本泉だ」とわかるコミカルな絵柄が目立ちますが、実はマンガのストーリーはライトなSFが多かったりします(本人曰く「変な話」)。
で、ゲーマーってわりとSF設定が好きな人が多いのですよね。なんというか80~90年代のゲームのストーリーでは、ファンタジーとSFが二本柱だったようなところがありますし。シューティングなんて、まさにSF世界観が多いですしね(特にタイトー系)。その意味で、好みが合致したのかなと。

 

ゲーム開発者として見ている

竹本泉先生の参加したゲームで主なものは前述のように
・『ゆみみみっくす』(メガCD・ゲームアーツ)
・『だいな・あいらん』(セガサターン・ゲームアーツ)
・『てきぱきわーきん・ラブ』(PCエンジンCDRMO2・NECホームエレクトロニクス)
があります。

これら、すごい目立ったわけではないですが、かなり評判のよい作品として有名です。特に上二つはゲームアーツなので、セガのコアユーザーでも知る人が多いでしょう。

しかしそれらはマンガのゲーム化ではなく、純粋にゲームとして作られたものなのですよね。つまり竹本先生は作り手として参加していたと(『てきぱきわーきん・ラブ』は同時進行だったけど、ゲームの遅れからコミックが先発してしまったという感じ)。故に、作り手としてゲームファンに好まれている点があるのかもしれません。

ついでに言うと、どれもトップハードではないことから、コアユーザーを掴んだというのもあるのかも(とはいえ『ルプ・さらだ』のようにPSやDSで作成された作品もあるのですが、これはまるまるコミックのゲーム化ですし)。

 

まとめ

そんなわけで、竹本先生がゲーマーに好まれるというのは不思議ではないのかなと。個人的には『ゆみみみっくす』や『だいな・あいらん』のようなゲームにもう一度参加して欲しいなと思ったりします。

ちなみに、『ゆみみみっくす』や『だいな・あいらん』のようなアニメーションでのアドベンチャーって、この後ほとんどなくなってしまいましたね。なんというか、すべてウインドウ+立ち絵方式のアドベンチャーにいってしまった感じで。現在こっちの進化も壁に当たっている感じがあるので、ここまで戻ってみてもよいなんてことをちょっと思ったりしましたが、その話は別の機会に。

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