現在は私同様『大乱闘スマッシュブラザーズX』にハマっている方は多いのではないでしょうか。そしてプレイキャラクターやフィギュアなどでていろいろ出てくる歴代任天堂キャラクターに懐かしさを覚えている人も少なくはないでしょう。
しかし、私と同じくあるマイナーなキャラクターを探している人もいるのではないでしょうか。そのキャラクターの名前は『ブラッキー』。
『レッキングクルー』に登場する敵、ブラッキー
ブラッキーといっても、ポケモンではありません。これはかつての任天堂のゲーム『レッキングクルー』に登場するマリオの敵となるお邪魔キャラです。ファミコン時代のためか、そのドットで描かれた姿はマリオに似ていて、クッパやドン金コングのような敵とは違ったマリオのライバルキャラとしては初めて登場したキャラといっても言い過ぎではないでしょう。
さて、このキャラを有名にしたのはゲームだけではありません。ブラッキーが一部で有名になったのは、昔ファミ通で連載されていた鈴木みそ氏の『あんたっちゃぶる』及び『おとなのしくみ』でこのキャラにスポットが当たったためです。
鈴木みそマンガにブラッキー登場
その話はゲームキャラの舞台裏のような話になっており、そこでブラッキーは「マリオになれなかった男」として、アパートで暮らす大部屋役者のような設定になっていました。
初出は『あんたっちゃぶる』4巻の「ゲーム同窓会」。
ここで(当時の)ファミコンなつかしキャラが登場し、語り合うという話。結局自分でも存在感のないことを自覚していたブラッキーは、想像だけして同窓会に行かなかったというオチ。ちなみにメーカーの垣根を越えてますが細かいことは気にせず。
しかしこれは『おとなのしくみ』時代にも続きます。次の登場は「ゲーム同窓会II」。ここでは昔の同僚であったドンキーコングがすっかり出世してしまったのを尻目に、まだアパート住まいで大部屋役者をしているところからスタート。
しかし同窓会でルイージとドンキーに企画された「ウイアーザ任天堂 懐かしゲーム総出演」の話をブラッキーは一蹴します。
曰く、そこに集まったメンツは最近のゲームなんてやっていない。最近のビルのようなゲームに対抗してほったて小屋を造ってどうすると。それルイージも認めます。しかしその時の言葉。「高層ビルみたいなゲームだけがゲームじゃねえだろ」「まだ俺たちみたいな役者バカを喜んでくれる客もいるんじゃないのか」「単純だけど味のあるゲームをよ」。
その言葉に「ルイージよ、お前はものすごく有名だぞ」とルイージよりはるかにマイナーなブラッキーは言って去ります。そして最後の母親との電話での言葉「この仕事がさ、好きなんだよ」。
ブラッキー続編
さて、このまま漫画でもゲームでも消えるかと思われたブラッキーですが、なんと新作で登場します。その名も『レッキングクルー’98』(漫画タイトルは『ブラッキーのしくみ』)。
ここでは久々の大舞台に緊張しながらも、仲間のサポートもあって晴れ舞台をこなすブラッキーが描かれています。
しかしここでは、ルイージがマリオを引っ張り出してこの企画を立案したことが裏で明らかになります。その理由をクッパが尋ねると、今の大容量化したゲームのこと、そして昔のゲームのことを語ります。そしてブラッキーに関しても触れ、「あいつはさ、まだ(昔のゲームのような)終わりのないループした世界にいるんだ」「当時の連中がビックになって次のステージに行ってもやめていってまっとうな職についても、あいつは一人で戦っていた。単純な繰り返しの世界でな」。
そんな彼をルイージは「バカ野郎だよ」と言います。
しかし続けて言います。「ゲーム性ってのはもっと単純なところにあるんじゃねえか」「あのバカを見てると思うんだよ」と。そしてそんなルイージの考えは知らずにブラッキーはただ役者を頑張ります。
ちなみに『レッキングクルー’98』の出来は元祖に比べると……いや、ここで語るのはやめておきましょう。
さらに続編ブラッキーマンガ
さすがに次はないだろうと思ったら、なんとあったのですね。それは『マリオゴルフ』シリーズの『モバイルゴルフ』でのDL専用キャラとして(たぶんスタッフの人、この漫画見てたんじゃないかなあ……)。
そこでまだブラッキーが登場します。彼はまだ役者を続けていましたが、当然出演はなくて、バイトで日銭を稼いでいました。しかし元キノピオ結婚して子供もいたり。しかしある時、ゲーム雑誌社の編集長に拾われ、その雑誌で今までの経験と知識を生かして大活躍します。そしてそこで編集長が正社員として迎え入れたいと提案した時、上のゲームの出演話が出てきます。しかし不器用なので両立は出来ないということで、その役を断ろうとするブラッキー。それを見て、奥さんのキノピオは私がいるから役者の邪魔になると家出しようとします。
結局はその思いを受け入れて、正社員の話を断るブラッキー。そしてゴルフに出演します。
『おとなのしくみ』は基本ゲーム業界のルポ漫画が多いのですが、このブラッキーシリーズはどれも読んだ後なんだかしんみりする話です。そしてブラッキーが好きになれると思います。
ブラッキーは今どうしているのかと思う
この後は鈴木みそ氏がファミ通で描かなくなったので続きはありません。しかしゲームでの新作出演もないですから……ただ、GBAのファミコンミニシリーズでは過去作そのまま復帰しましたけどね。
ブラッキーはまだ、このゲーム業界にいるのでしょうか、それとも引退して幸せな家庭を築いているのでしょうか……と思わせるほど上記の漫画は当時の読者にとってインパクトがあったのではないかと思われます。
スマブラには『レッキングクルー』の音楽、そしてゴールデンハンマーもありますが、ブラッキーが(今のところ)新キャラでもフィギュアでもシールでも出てきてはいません。おそらくはワリオのみならず名称もポケモンの「ブラッキー」と被ってしまうからかも。
でも、2月5日よりWiiのバーチャルコンソールで『レッキングクルー』が配信されました。
■VC レッキングクルー
彼の昔の勇姿を見たい方は、是非やってみてください。ゲームは難しめですけど、わりと楽しいですよ。音楽がなかなかいいですしね。