Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)が発売から9ヶ月経つのに今も人気が衰えておりません。品薄はだいぶ解消されていますが、クリスマス商戦ではまたかなりの売れ行きを見せることでしょう。
さて、そのNintendo Switchですが、かつてWiiやWii Uにおいてあった機能で、いまだに実装されていないものがかなりあります。代表的なところでは、インターネットWebブラウザ、音楽プレイヤー、そしてバーチャルコンソール。
最近ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンが出たことにより、スーファミなど昔のソフトに注目が集まっているので、バーチャルコンソールをNintendo Switchで遊びたいと思う人も多いでしょう。中にはスペックアップしたのだらと、ニンテンドーゲームキューブソフトのラインナップ入りをも期待している人もいるでしょう。
しかし、それだからこそ、従来のWii Uなどにあったバーチャルコンソールを、同じような形で出てくるのはまだしばらく後、もしくは出ない可能性まであると思います。
技術的には困難はあまりないはず
Nintendo Switchにバーチャルコンソールを実装するハード的、技術的な問題ですが、これはWii Uで出来たことであればほとんどないと言ってよいでしょう。チップの関係上エミュレートが出来ないスーファミの『スターフォックス』などのソフトは無理としても、それ以外の大半のソフト、すなわちWiiやWii Uで実装されていたものを動作させるのは容易なはずです。
実際、来年から提供される定額有料サービス内では「クラシックゲームセレクション」として過去の名作の配信が行われます。しかしこれはバーチャルコンソールとは違うと明言されているほか、そこでの質問でのバーチャルコンソールにおいてはどうもはっきりとした回答が得られていません。
なのですぐに実装されず、今でも実装の明言が得られていないのは、他に要因があると考えます。
新作ゲームの需要をレトロゲームが食ってしまう
マンガの話になるのですが、先日以下のようなものを書きました。
要約すると、最近増えているマンガアプリにおいては、過去の名作マンガがそこに誘導するための看板として出されることが多いが、それは新作マンガから見れば、知名度の高いそれらの作品と戦うことになっているということです。
そして、これと同じことがゲームでも言えるのではないでしょうか。すなわち、ここでバーチャルコンソールを出してしまうと、新作ソフトを、バーチャルコンソールに出てくる数々の「過去の名作」と戦わせてしまい、結果として新作の売り上げに影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。
さらにゲームの場合、一つの作品においてもマンガよりもかなり時間がかかるため、その影響は甚大になりかねません。自分でも、現在『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』や『スプラトゥーン2』『スーパーマリオオデッセイ』だけでも遊び切る時間がないのに、これ以上加わったら余計遊ぶ時間がなくなりそうです。
現在、Switchは品不足になるほどの人気であります。この状態でバーチャルコンソールという「過去の名作」を持ち出して、その新作の勢いを削いだり、遊び時間、すなわちソフトの売り上げを削る必要はない、と考えられても不思議ではありません。
最初にニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンが注目を集めていると書きましたが、それだからこそ、競合してしまうのを恐れてバーチャルコンソールの実装を避けているとも考えられるのです。
Wii&Wii Uで購入したソフトの処理をどうするか
それだけではなく、Nintendo Switchでバーチャルコンソールを実装するとなると、大きな問題が生じます。それは、今までのバーチャルコンソール、すなわちWiiやWii Uで購入したものは引き継がれるのか、ということ。
アカウントで購入物を管理しているのならその経歴は把握出来るわけで、その気になれば過去に購入した人間がNintendo Switchでもやりたい場合、引き継ぎは可能と思われます(ただ、任天堂のオンラインシステムがニンテンドーネットワークからマイニンテンドーへ変わったのもあり、その引き継ぎが容易に出来るかどうかはちょっと判断しかねるのですが)。
ただ、それをどうやってするか、という問題が生じます。
今までの売り上げは相当なものなので、販売したものを引き継いだ場合、かなりの量になります。そしてそれらを再度ダウンロード可能にしてしまうとバーチャルコンソールの売り上げを削ることになります。
しかしだからといって引き継ぎをナシにしてしまうと、「俺は過去に買ったのに、また買わせる気か!」という反発も予想されます。そもそも、ここで場チャルコンソールだけ引き継ぐと、技術的に難しくなるWii Uで購入した一般ダウンロードソフトまで引き継がれないのかという話にもなってしまいますし。
それらの反発に逆らうだけの利益がバーチャルコンソールで得られるなら別ですが、前述の競合理由に相まって、そこまでのメリットはないと判断され、配信がなされないという可能性も十分あります。
まあ、PSアーカイブスにおいてPS3からPS4への引き継ぎもなかったので(PS3では今まで通り遊べる)、こちらで引き継がれなかったとしてもそこまで反発を喰らうわけでもないとは思いますが。
やろうと思えば現在のダウンロードソフトで対応出来る
そもそも、ソフト単品を昔のソフトを販売し、遊ばせるのを可能にするということであれば、今のNintendo Switchでも出来てしまいます。
現在Nintendo Switchではパッケージのほかに、ダウンロード専用ソフトもあります。そこでは過去のアーケードゲームが遊べるハムスターのアーケードアーカイブスシリーズなど、レトロゲームも含まれています。それは新作のダウンロードゲームという扱いでバーチャルコンソールではありません(ちなみにアーケードアーカイブスシリーズでは、アーケード版の『マリオブラザーズ』が販売しているという、おもしろい現象が起きています)。しかし、昔のソフトを遊ぶということ自体は同じなわけで、バーチャルコンソールという名前にしなくてもレトロゲームを遊ばせたいだけなら出来てしまいます(販売だけではなく、無料配信なども)。それ故にバーチャルコンソールを実装する必要も薄れているのかもしれません。
3DSがある
次世代であるNintendo Switchが発売されたことで、Wii Uは1世代前のハードになってしまいましたが、携帯機では3DS(2DS)シリーズが現役です。そしてこちらにもバーチャルコンソールは存在しています。
Wii U等の据置機で配信されているバーチャルコンソールソフトと、3DSで配信されているものは同じではなく、一部ないものも存在します。しかしかなり多くのものが3DSで出来てしまう以上、前述の問題を被ってまで実装せず3DSにその需要を振ってしまうということも大いにあり得るのではないでしょうか。
全く別の形で出てくるかもしれない
このような理由で、バーチャルコンソールのNintendo Switchへの実装は、かなり後、もしくは実装されない可能性もあると思っています。だからこそ、ファミコンミニやスーパーファミコンミニが出たのかもしれません。
ただ、前述のようにダウンロードソフトとして、安価な価格で過去のソフトを出すことは可能なわけで、ここでバーチャルコンソールという形をとらずとも、このような単品のダウンロードソフトとしてそれらを販売することはあり得るのではないかと思います。
ゲームのアーカイブは可能な限り残し、さらには出来るだけ簡単にプレイ出来る環境が整っているのが理想なので、どのような形でもいいので、Nintendo Switchでもそれらが出来るようになればいいなと思います。その中に、かつてのニンテンドー64やニンテンドーゲームキューブが含まれると嬉しいです。
とりあえずは、決定している定額サービス内の「クラシックゲームセレクション」がどんなものなのかを待ちたいと思います。