今もなお盛り上がっている初音ミクですが、鏡音リン・レンといったVOCALOIDシリーズの続編も出てきています。そしておそらく今後このような音声合成技術を使った技術の進歩というのは他のあらゆる技術がそうであるように需要がある限り進歩し続けてゆくのでしょう。
さてここで思ったこと。もしこれから先こういった音声合成技術が進歩したとすると、やがて人間の発音に近いものが出来るでしょう(完全に同じものは無理としても)。となると、その時現在の「初音ミク」の声はそういうのを聴いた人たちにとってどうなるのでしょうか
初音ミクの音声は現在の人間の音声と比較すると、かなり不自然なところが多いです。抑揚がほとんどないところが最たるところですね。以前、「こういったボーカロイドの技術が、現在人間が担当している仕事(声優など)を食ってしまう」という話が出ましたが、現在では一部を除いてそれは不可能でしょう。いや、私個人の意見では、おそらく全部を食うことはずっと無理だと思っています。特に役者関係は。そこに至るには、人間のその場面場面で判断する空気や感情表現なども再現出来るようにならなければならないと思ってますので。ただ、電車とかバスの音声案内ならば十分出来るようになると思います。
ちょっと話が逸れましたが、現在の初音ミクで作り出せる声は人間の喋るものとは異なりますが、そのうちきっと技術の進歩によりこれがだんだん人間の発音に近くなってくるでしょう。さて、その時初音ミクの声は「昔の技術」となって捨てられてしまうのか。いいえ、私はそうは思いません。
現在の初音ミクの声ですが、全員が全員人間と同じ声を望んでいるわけではないと思います。「それ(そのやや不自然な感じ)がいいんじゃないか」と思っている人もきっと大勢いるのではないかと思えるのですが。ニコニコ動画での創作は今なお盛んですが、それは同じことを人間に近い音声、もしくは人間そのものでやっても惹かれないのかもしれません。
最近スマブラXをやった流れから、昔の任天堂音楽のサントラを引っ張り出して聴いているのですが、当時のファミコンやディスクシステムの音数もラインも少ない音声に聴き入ったりします。それと同じで仮にこれから先ボーカロイドの技術が進歩したとしても、初音ミクのあまり抑揚のない声は、今でもファミコン音源やFM音源を愛する人が多いように聴かれ続けるのではないでしょうか。そうなると初音ミクは未来から見てもボーカロイドの昔の技術ではなくて、そういう音源のひとつとしてずっと認識されるように思えるのです。となると「初音ミク」の声は永遠のものじゃないかと思うのです。(でも初音ミクを「永遠の存在」とかいうと、なんだかキャラ方面の話みたいになっちゃいますけどね)
そう考えると、初音ミクで作品を作り続ける人というのは(今ほどの盛り上がりはなくなっても)永遠に居続けるのもと思います。もしくは新しい技術とのコラボレーションとかありそうですね。技術が進化する一方で、そんな未来の初音ミクもこれから楽しみにしたいと思います。
■追記
もしかしたら進化の方向がちょっと違って「人間の声そっくりではないのだけど、なんだか聞いていていい感じの音声(もどき)」なんていうのが開発される可能性もあるかもしれないな、等と思ったりもします。まるでアニメの声では実写のドラマではとても出てこない声があるけど、それが当たり前として認識されているように。