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「音」はアドベンチャーゲームに残された進歩の可能性だと思う

アドベンチャーゲームと呼ばれているジャンルがあるのは説明するまでもないでしょう。これの構成要素は主に画像(立ち絵+背景、一枚絵、かまいたちタイプのシャドウ、実写全部含む)+文字(シナリオ)+音となっています。で、これの中でどれが一番重視されるかといえば、それは絵だったりシナリオだったりで、音はどうしてもその次になってしまうでしょう。

正直、アドベンチャーゲームにおいての音は、多くの作品においてかなり冷遇されてきたような気がします。というのも、絵とシナリオがなければ原則ゲームが成立しませんが、音はなくてもなんとか成立してしまう、いわば補助的な役割になってしまっているからだと思います。それは音楽でも、SEでも、そして声でも同じですね。

そして、今まで多くの作品において、これらは冷遇されてきたと思います。特に音楽とSEは。最近一番数が多いアドベンチャーはギャルゲータイプのものですが、ここでも絵とシナリオ、ボイスが話題になることがあっても、音楽が話題になることは私含むGMに関心がある人間の他は比較的少なく、SEへの注目はさらに低いでしょう。

もちろん音楽がいい作品もありますけどね(これはあとで述べます)。

しかし近年、アドベンチャー市場、特にギャルゲー市場はあまりにも数が増えすぎ、絵も、そしてシナリオもかなり飽和状態になっています。つまり、いろいろ生まれすぎて、(ユーザーに受ける範囲での)新しいところへの要素がほとんどなくなってしまったわけですね。そして絵も、色数がこれ以上増えるわけでもなく、進化はしているとは思いますが、目に見えるほどでは、それこそ16色から256あたりの変化はおそらくしばらく見られないでしょう。まあこれはアドベンチャーゲームだけではなく、ゲーム全般、いや、娯楽全般に言えますが。
そこで色々な目新しさが打ち出されてきました。それはムービー(アニメ)だったり、ポリゴン(3D)だったり、目に見えてわかるところです。しかし同時に費用もかさむ結果となっていったのです。
しかし、ここで大きな進化の可能性が残っているものがあります。それが、置き去りにされた音楽、そしてSE。
これらは、前述の通りあまり注目されることはありませんでした。しかし逆に言えば、それだからこそ、これらを伸ばすことが出来るのではないでしょうか。
ここで、「いやそんなことない、I’veとかで音楽は注目されているじゃないか!」と仰る方もいらっしゃると思います。しかし、それは主にボーカル付きのメインテーマで、作品中で多く使われるBGMにおいては、それほどではないんじゃないでしょうか。
目には見えないのでわかりにくいですが、音楽はその場面の印象をかなり左右する力があります。代表的なところでは(ボーカルありですがBGM的使われ方をしているので)、キャラが倒れる場面でいきなり『青空』(ボーカル音楽)が流れてくる『AIR』とかでしょうか。これ、音楽があるとないとでは、かなり違うと思います(第1印象と2回目の違いがあるので比較は難しいですが)。
これ以外にも、名作と呼ばれるソフトは音楽の質、そして使い方がうまいものが多いです。
ついでですので(滅多にエロゲ方面は話さないので)、私の印象に残るエロゲ曲非ボーカル系。『RED TINT』(アトラク=ナクア)、『瑠璃子』(雫)、『篠塚弥生』(White Album)、『ふれあい』(YU-NO)、『雪のように白く』(ONE)、『水月』(水月)etc(きりがないのでこのへんで)。ノリのよい曲より、美しい系の曲が好きみたいです(しかし世代がわかりやすいな)
脱線しましたが続き。
しかし、現在はギャルゲーに関して言えば、それらしいのを適当に並べておけば的な感じがあると思います。しかし、メインテーマ以外の音楽があまり注目されていない今、これらを伸ばすことがアドベンチャーゲームに残された大きな進化の道なのではないでしょうか。それは、ゲームミュージックに関心のない人でも、「演出」という形で縁の下の力持ちとなって良い印象に導いてくれるはずですから。
……と、ここで「じゃあ良い音楽を揃えよう」で締めることが出来れば美しいのですが、現実はそう簡単にはいきません。良い作曲者はたくさんいらっしゃるのでまあ問題はないのですが(費用もアニメとかよりは安いと思いますし)、それ以上に問題なのはそれを使う側。
良い音楽が揃ったとしても、それを話の適切な場所、絶妙なタイミングで出すなど、使いこなせる人間がどれだけいるかってことなのですよね。
少人数で作るゲームは別として、原則シナリオ、音楽、そしてそれらを組み合わせるスクリプタと呼ばれる人は全部別です。しかし、絵と音と話をまとめるのって、映画で言えば監督ですよね。となると、スクリプトを打つ人間というのは、単なる作業屋ではなくて、監督同然とも言えるわけです(少なくとも助監督)。
しかし、それがもしただ事務作業的に立ち絵を並べて、音楽を流すだけの人だったら、作品自体が平坦なもの、最悪ずれたものにならないでしょうか。
まあ中にはとても腕のいいスクリプタさんというのもいて、ただ音や絵を並べるだけじゃなくて極上の演出をする人もいます。ディレクターやシナリオがスクリプトやるところも少なくないです。
スタッフでもこれからはシナリオや絵師、塗り師、そして作曲家だけではなく、それらを統合して演出する役目の人間が重要になってくると思います。というか、全員が演出できるのが(特にシナリオ)一番いいのですが。ストーリーに合った音楽の発注も出来ればなおGOOD。
近い将来、スタッフロールの「演出(スクリプタ)」というところも、アニメの音響監督みたいに注目される時代が来るかもしれませんね。つか、それくらいになって欲しいんですけどね。

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