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ゲーム操作におけるボタンという究極とも言えるデバイス

数ヶ月前にiPhone4を購入しました。そしていろいろなアプリをダウンロードしており、もちろんゲームも有料の物や無料のものをいろいろとダウンロードして楽しんでおります。

その中には過去にコンシューマなりアーケードで出たゲームをiPhone用に移植したものもあるのですが、どうも違和感が。それはもともとこそれぞれのハードに、特にコントローラでの操作に最適化されているものを、iPhoneのタッチパネルという全く別のデバイスに移しているわけだからだということに気づきました。そのことについては前回書きました。

■参考:ゲームは左方向キー+右押ボタンという操作系から脱却できるか 

とはいえそれらはタッチパネルでも操作できるようにがんばってはいるのですが、そうしても超えられない壁があります。それは「ボタン」の存在。もっと言い換えると、「ボタンを押すことによる反応」。

ボタンを押すことにより得られる触覚のすばらしさ

今までのコントローラというものは、前回書いたように左方向キー+右ボタンというのが基本の形でした。しかしタッチパネルというのはそこから脱却して、どこでも押せたり操作できるようになりました。そしてそれは方向キー+ボタンのようにタッチパネルの操作系を配置すれば、同じような操作もできる事になります。

たとえばアーケードものが移植された時、画面下に左方向キー+右ボタンに見立てたものが表示され、そこに触れるとコントローラと同じように反応するというものが多く見られますし、人気アプリのひとつである『ストリートファイターIV』のiPhone版でも、タッチパネルで方向キーを動かすように指を動かせば技が出るという仕組みになっています。

これらはたしかにiPhoneという全く別の操作系に移植した中で頑張っているとは思います。ただ、どうしても違和感や操作のしにくさを覚えてしまうのです。というのは、ボタンを押したときの触覚での反応がまるでないから。

 

さて、ゲームのコントローラーですが、ボタンを押せばへこみます。そしてボタンから指を離すともとにもどります。これはすごく当たり前のことです。しかし、同時にこれはとてつもなくすごいことであるとも言えるのです。なぜなら、ボタンというものは視覚や聴覚に頼らなくても、触覚だけでそのボタンを押したと認識できるのですから。

ゲーム中は画面を見るわけですから、コントローラを見ることはあまりありません。しかし触覚での反応があれば、それを押したという動作が見ずともわかるわけです。ちなみに十字キーは横井軍平さんが発明したものとして有名ですが、あれの画期的なところは上を押せば下が、右を押せば左が持ち上がることで、どこを押しているかがわかることでもあります。

たしかにボタンを押せばある程度の場合画面に何らかの反応がなされますから、ボタンの跳ね返る反応がなくても押したかどうかわかるようになっています。ただ、視覚での反応より、指に直接伝わってくる触覚の方が、より強く、そしてより早くわかるのですよね。

あと、押したときの感覚とその反応って気持ちいいのですよね。人間工学とかはよくわかりませんが、本能的に。これとか。

ムゲンプチプチ ブルー
ムゲンプチプチ ブルー

あと、子供がバスの停止ボタンを押したがるという光景がありますが、あれも押した時の感触とその反応が嬉しいのかなと。

そんな押したことで画面の中で何かが反応する喜びというのが、ゲームの原始的な楽しみのひとつであるとも思います。『スーパーマリオブラザーズ』は、「ボタンを押して楽しいゲーム」として作られたという話もありますし。

あらゆるもので長い歴史があるボタンというデバイス

考えてみると、ゲーム以外のボタンもそうです。たとえば私が今打っているキーボード、スペース的に言えば平べったくしてしまえばいいし、そういうキーボード(折りたためるのものとか)もあります。しかし主流は押して反応のあるキーボードです。iPadにはキーボードのような表示もありますが、オプションとしてワイヤレスのキーボードも売っています。

さらに、ゲームハードやこういったガジェットだけではありません。各種製品のボタンもそうです。たとえばテレビのリモコンなんかも、ボタンがないような平べったい感じにしてしまえるでしょうし、そうしたほうが収納的には便利です(ちなみに大昔のテレビのリモコンでは、そんなふうにテレビにしまいこめるものもありましたけど)。しかし、テレビのリモコンも電灯のスイッチも、みんな押したときに指でわかるようなでっぱりのあるものが大半になっているのですよね。

つまり、この触覚でわかるデバイスが便利なことと同時に、長い歴史の中でこのように触覚で入力装置の反応を確認するという仕組みへの慣れが、人間の中に出来てしまったのではないでしょうか。

押した時の触覚的反応がないというデメリット

そしてタッチパネルの話に戻ると、たしかにボタンと同じ操作はできるのですが、それを押したときの感覚がないため、どうも違和感を生じるのですよね。そしてたまには押したつもりが押してなくてミスることもあります(これはそのゲームのインターフェイスの問題もあるでしょうか)。

故に前回も語りました通り、タッチパネルで既存ゲームをそのまま移植しようとすると、そのボタンの反応という大きな利点がなくなるので、どうしても劣ってしまう感じなのですよね。

触覚での反応というと、デュアルショックなどの振動を思い浮かべますが、それ以前にボタンを押したときの指に感じる反応というのは、とても大きなものであるのだと思います。

 

既存の文法ではない、新しい操作法に期待

とはいっても、既存のゲームではできなくて、タッチパネルだから出来るというゲームも存在するでしょうし、必ずしもボタンが絶対ではないかもしれません。ただ、それらは既存の操作系の文法から抜け出さないと、ボタンという高度に洗練されたデバイスにかなわないかもしれません。

これかiPhoneやキネクト、PS MOVEを使ったゲームは、そういった新しいデバイスに最適化したゲームが出るかどうかがカギになるのではないでしょうか。ただ、それらにはボタンのように「反応」の楽しさがあればよいなと思います。

 

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