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ゲームは左方向キー+右押ボタンという操作系から脱却できるか

 最近、PS3のMoveとか、X360のキネクトとか、ゲームにおける新しい操作系が出てきましたね。
 PlayStation Move スターターパック Xbox 360 Kinect センサー
 もちろん空間的な操作ができるものは今に始まったことではなく、先にはWiiがあります。
 さらにこういった空間系の操作法だけではなくDSやiPhoneなどのタッチパネルなども出てきており、それらは今までゲームのコントロールに使われてきた左手で方向キー(十字キーやアナログキー)を動かし、右手でボタンを押すという仕組みから別の形への変化を遂げたように見えます。
 最近、ゲームメディアの記事ではこれらのデバイスが新しくすばらしいもので、今までのゲームに取って代わるみたいに書かれることがあります(とりわけiPhoneとか)。では、本当にこれらの新しい操作系は、既存の左方向キー+右押しボタンの操作法にとってかわるものになるのでしょうか。
 最初に私の考えから言ってしまうと、答えは「NO」だと思います。少なくとも今後数年においては。というのは、この左方向キー+右押ボタンという仕組みがほとんど完璧なものであり、同時に今までのこの操作系に最適化する形で発展してきたからと思うから。

30年以上の歴史がある左方向キー+右押しボタン

 さて、左方向キー+右押しボタンの始祖というと、ファミコンのコントローラを思い出しますが、実際はそれより古いということが出来るでしょう。十字キーが最初に搭載されたのは、ゲーム&ウォッチの『ドンキーコング』ですが、あれもすでに左十字キー+右押しボタンとなっていましたし。いや、それよりも歴史は古く、アーケードゲームのコントロールパネルも右がレバー状の方向キー+左ボタンでした。つまり、もうからこの形の操作系は誕生していたのですよね。コンパネの歴史はちょっと調べていないのでわかりませんが、少なくとも『スペースインベーダー』の登場した1978年には存在していましたから、この左方向キー+右押ボタン操作系は30年以上の歴史があるわけです(ちなみに初期のコンパネには、左右どっちが利き腕の人にも有効なように、中央にレバーがあり、両サイドにボタンが配置してあるタイプも存在しました)。
 さて、それから操作系はLRボタンがついたり、アナログスティックがついたり傾きの感知をしたりしてきましたが、実は根本的な左方向キー+右押しボタンという仕組みのまま続いてきました。それはタッチパネルを搭載したDSにも使われています。さらに、一見そのようなインターフェイスから脱却したように見えるWiiのコントローラでさえ、その仕組みを色濃く受け継いでいるのです。

WiiやiPhoneゲームでの操作も左方向キー+右押しボタンタイプが多い

 たとえばWiiのリモコンは横にしてプレイすることがありますが、その状態はまさにそのものですよね。そしてクラシックコントローラはいうまでもなく。そしてヌンチャクコントローラをつけるものでは、左手で方向移動をして、右手でボタンを使ってますよね。たしかに振ったりポインティングもしますが、それは左方向キー+右押しボタンに付加している動作とも言えるわけです(Wiiの代表的なソフトである『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』や『スーパーマリオギャラクシー』もそんな感じかと)。
 さらに、新しいデバイスとされているiPhoneでさえ、それまでの左方向キー+右押しボタンをタッチパネルで模しているものが多く見受けられます。とりわけ昔のアーケードや既存ゲームの移植作品なんか特にそんな感じですし。

左方向キー+右押しボタンの歴史とゲームノウハウ蓄積の歴史

 たしかに今までも左方向キー+右押しボタンから離れようとしたものはありました。たとえば光線銃シリーズとかファミリートレーナーとか。もっと古くはパドル(『アルカノイド』とかで使うつまみのようなもの)とか。でもそれは主流にはなりませんでした。最近だとWii fit用のがありますが、あれも売り上げは大きい方ですが、全体からすれば一部のゲームに使われているに過ぎません。そもそも誕生から数年しか経っていませんから。
 思うにこの左方向キー+右押しボタンというデバイスは、ゲームというものにおいてほとんど完成されたものであったのではないでしょうか。それが故に今までLRボタンみたいなプラスアルファはあれど、根本的な部分は変えようがなかったと。いや、逆からも言えるかもしれません。つまり今までのゲームというものが、左方向キー+右押しボタンというデバイスを基本として作られているので、ゲームというものがそこから離れるのが著しく難しくなっているという感じ。まあおそらく、完璧な物であったからそれに依存して、そして歴史を積み重ねたという感じしょうか。
 同じ事はパソコンにおけるキーボード&マウスにも言えるかもしれません。あんな場所をとるデバイスなのに、いまだに必須のアイテムとなっているのですから。
 ともあれ左方向キー+右押しボタンというデバイスは完璧なものであり、それに尚ゲームが最適化したという歴史が30年以上詰まっていると言えるのではないかと。

これからの操作系独自の技術は蓄積されるか

 となると、これから先の新しいデバイスは、この左方向キー+右押しボタンから抜け出せるのかということになりますが、私は最初に語ったように、今後数年というスパンで見るなら「NO」だと思います。だって、新しいデバイスには(タッチパネルにせよPS3ムーブにせよキネクトにせよ)それだけの歴史がないから。そしてそれに最適化したゲームもそれだけの期間しか生まれておらず、ノウハウが蓄積されていないので。それが故にWiiやiPhoneでも左方向キー+右押しボタンを内包しているゲームが多いと感じます。
 ただ、数年経ち、空間系の操作方法におけるゲームのノウハウが詰まってきたら、もしかしたら左方向キー+右押しボタンというものを超えて、操作系の新しい標準となるものが出てくる可能性もあります。故に、どんな操作系が未来の標準となるかは、数年間見ないといけないのではないかと。今だとWiiやDSが誕生したての頃のようなものめずらしさが人気を牽引すると思いますが、それが飽きられて来た頃が第一のポイントだと思います。過去、周辺機器で大量にあったように、一時的に人気が出るけど、対応ソフトが数本で止まってしまうのか、それとも独自のおもしろさを引き出すソフトが出て、それにノウハウが積み重なってゆくようになり発展してゆくのか。そしてタッチパネルにおけるゲームの操作法も同じく、左方向キー+右押しボタンの押した感覚のない代用が占めるのか、それともそれ独自のゲームが増えてゆくのか、注目したいものです。
 理想なのはどっちかだけってのではなく、左方向キー+右押しボタンに加えて新しい操作系も同時に発展してゆくことなのでしょうけどね。
 さて、次回は書ききれなかった左方向キー+右押しボタンの大きな長所について書こうと思います。

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