スポンサーリンク

ゲーム規制は『ゲームは子供のするもの』という固定概念から来るのか

こんなニュースが。

■性暴力ゲーム規制強化へ、与党が流通歯止め検討チーム : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2012/12/11リンク切れ確認)

この問題を分析すると非常に長くなるので(海外の抗議は女性人権問題としての抗議だとか)、今日は気になった一箇所を採りあげます。
さて、この手の問題があるときに「子供への影響が」と言われることがよくあります。上のニュースでも「子どもを守るバリアが日本ではきわめてルーズだ」と言われています。しかし、流通規制の問題としてはこれは変です。というのは現状の成年ゲームはほぼ全てゾーニング、つまり年齢による販売規制が行われているから。つまり、現状流通においては子供はこういった成年ゲームを手には入れられないはずなのです。つまり、アダルトビデオや成年本などと同じく、大人のみを対象としているものなのです。にもかかわらず、「子どもを守るバリアが日本ではきわめてルーズだ」から、そのまま流通の規制になるのは、何か矛盾していると感じたのです。

 

現在ではこういった成年ゲームのみにかかわらず、コンシューマソフトでもレーティングがあり、推奨年齢が定められています。そしてX指定(18歳未満購入禁止)は、ハードでも出せませんね。そのほか、成年コミック等も「成年コミック」マークがついています。

こんな感じで「大人だけのもの」とされているのに、ゲームやマンガ、アニメがとりわけ規制されるというのは、思うにいまだに「ゲームは子供(だけ)のもの」「漫画は子供(だけ)のもの」という固定概念というか、心理的な束縛があるように思えてならないのです。

繰り返しますが、これらの成年ものは規制されていて、18歳未満の入手は出来ないことになっています。なのに「子どもを守る~」という言葉が使われているのは、何故でしょうか。そうなると一番考えやすいのはやっぱりその概念があり、こういったものも子供がするもの、子供が読むものという心理が働いているからではないかと。

でも、ゲームもマンガももう私の生まれた時にはあったのですし、そして大人も読むもの、するものとなっているのですから。たしかに両者とも黎明期は子供向けとして売り出された側面が強いのでそう思いがちですが、ゲームは子供だけのものではなく、そしてマンガやアニメも子供だけのものではないのです。

ちなみに夏目漱石の時代、小説は女子供の読むものであり、小説家になることどころか、小説を読むことでさえなげかわしいと言われていたそうです(二葉亭四迷が親に小説家になると言ったら「くたばってしまえ」と言われて、それをペンネームにしたという逸話がありますね)。その当時小説にもたれていた概念を、ゲームやマンガが引き継いでいるのではないかとも思えます。

 

どうもこの手の法規制問題というのは色々問題がありますが、前提としてすでに「ゲーム(アニメ、マンガ)は子供のもの」というところから始まり、そしてその思考的束縛から抜けきれていないところに最初の問題があると思われます。同じように陵辱的な描写はAVや小説にもあるのに、ゲームなどが規制になるあたり特にそう感じます(当然ですが、AVや小説を規制するのも反対ですので。まあ某バッキー事件みたいに本当に暴力がふるわれれば問題ですが)。そのずれをまず最初に解消しないと、この手の議論はすれ違いになってしまうような気がします。

 

私は1990年代の有害コミック騒動の時に、子供でした。しかし、その騒動をふまえてこのような見解を持っています。

1990年代の有害コミック運動はそれからどうなったのか : Timesteps
1990年代のマンガに対する表現規制運動である、有害コミック運動はそれからどうなったのか。

ファミコンが登場した1983年から25年経ち、テレビ(約半世紀)のほぼ半分の歴史を辿る様になってきました。そろそろこの固定概念を捨て、「子供」というものを盾にとらずに議論をしなければいけないのではないでしょうか。
ついでにこの問題に関して言えば、「陵辱」の定義は何か、ということ。すべてのものは、概念が違います。つまり、人により概念が違うものを誰が定義づけるのか、ということ。極論、99人が緑辱と思えないもの、もしくは演技としか思えないものでも、規制する立場の人がそ判断すれば、そうなってしまうと。

そして何より、今まで触れられてこなかった文化の内容に関して規制が入るという前例となるので、他の媒体も他人事ではなくなる可能性もあります。

 

 

ついでなので、こんな小咄で締めたいと。

 ある時代、ある国では規制が強くなり、子供に悪影響を与える番組がどんどん規制された。で、その規制条件には以下のものがあった。
・子供が真似すると悪影響を及ぼすもの
・やたらに騒ぎまくるもの
・暴力行為、及びそれに準ずる行為が見られるもの
その結果、その定義に当てはまり、まず真っ先に中止された番組があった。その番組の名前は……
『国会中継』

タイトルとURLをコピーしました