現在、3DS向けのスーパーマリオシリーズが開発中とのことです。
■任天堂、3DS向け「スーパーマリオ」開発明らかに – ITmedia News
ロンチの勢いも落ち着いてきた昨今、ゼルダ、そしてキラーソフトであるマリオの存在は注目されるところでしょう(まあ自分はリッジ3Dをひたすらやっていたりするけど)。
さて、その3DSマリオについて、ちょっとした続報がありました。
■3DS『スーパーマリオ』も「すれちがい通信」は不採用? | インサイド
3DSのマリオには、現状の予定ではすれちがい通信を採用する予定はないようです(今後よいアイディアが出て来れば別とのことですが)。
さて、すれちがい通信はDSの時から『おいでよどうぶつの森』や『nintendogs』、それに『ドラゴンクエストIX』などで活用され、それぞれで「すれちがった人とのデータ交換」という面白さを提供してきました。そして3DSにおいてもリッジレーサー3Dなどで他人の走行データが入ってきたりするのは、それだけでもコレクション的におもしろいものがあります。
しかし、このすれちがい通信はその仕様的に大きな弱点があります。それはすれちがい通信が成立するには、『同じゲームをしている人』と『すれ違う必要がある』ということ。
ソフトのプレイ人数が多くないとすれちがい通信は成立しない
現在、すれちがい通信が使われ、それのおもしろさが目立ったゲームというのは、殆どの場合前述の『おいでよどうぶつの森』なり『nintendogs』なり『マリオカートDS』なり『ポケモンダイヤ&パール』なり、そして『DQIX』なり、かなり売れているゲームです。これだけ売れているゲームでありすれちがい通信に魅力があれば、DSを外に持ち出してすれちがい通信をしようという人も増えるでしょう。そうすればすれちがい通信は盛んになります。
しかしこれを逆から捉えると、万が一ソフトの売り上げが少なかった場合、すれちがい通信をすることの出来る人口が必然的に減ってしまいます。それに売れたとしても、そのすれちがい通信がたいして面白くないものであった場合、わざわざDSを持ち出してそれをするプレイヤーの数も減るでしょう。
すなわち、すれちがい通信が成立するためには、それなりに多くの売り上げがあり、且つすれちがい通信の参加者も多くないといけないという、わりと高めの敷居があると言えるでしょう。しかもこの業界、売れると言われたソフトでもいざ蓋を開けると売れないなんてこともよくあります。ましてやすれちがい通信の参加者なんて読めません。ですのですれちがい通信自体が殆ど成立しなくなる可能性も高いのです。
人が少ない地域で起こる不公平
それでも、マリオクラスになればさすがにミリオン単位で売れる可能性は高いでしょうし、入れても(それに面白さが伴っていれば)参加人数的には問題はないかもしれません。ただ、すれちがい通信にはもう一つ欠点があります。それは「すれ違えない人」の問題。
私は東京住まいなので、ソフト発売以降数ヶ月の間はすれちがい通信をセットして電車に乗れば、かなりの数引っかかりました(ぶつ森なんて1年くらいあったし)。ただ、これはあくまで都市部だからであって、もし人口が少ない地方では、このように頻繁にすれちがい通信を行なうことは出来ないのではないでしょうか。
もし出来たとしても、人口比は絶対的に存在しますので、住んでいる場所ですれ違い通信を出来る量が違ってくるという、デジタルデバイドならぬ、すれちがい通信デバイドが起きてしまうのではないでしょうか。
たしかにその対策として任天堂はすれちがい通信の中継所を設置してはいます。ただしこれも置かれたのは都市部の駅などであり、すれちがい通信できる人が本質的に足りないさらに地方に在住の人には効果が無いことになります。移動出来る大人ならまだしも、生活範囲が限られる子供だとさらに出来ないでしょう。
こう考えると、すれちがい通信はたとえどんなにおもしろいシステムであったとしても、使うのにはリスクを伴うと思えます。それよりもまだWi-fiを使ったマッチングとかのほうが出来る環境が広がる分可能性があるのかもしれません(こちらももちろんサーバの問題や個人におけるネット環境の問題などがあるのですが)。ちなみに携帯やスマホのゲームというのは、最初から通信機能が備わっている分、かなりの強みなのだなあと改めて思いますね。
ともあれ、すれちがい通信は、ある程度のゲームの売り上げが保証されているソフトで、不公平を生まないように極論できなくてもいいくらいのおまけ的なものに限られているのではないでしょうか。それが故に、3DSのマリオでも他のゲームでも、よほどのアイディアがなければ積極的に組み込まれないと推測することが出来ます。
新しい使われ方への期待
このように制約が多そうなすれちがい通信ですが、すれちがい通信が全く使われなくなるというわけではなく、それこそ制約を飛び越える未知のアイディアが出てくる可能性はありますし、また3DSに最初から入っている無料の「すれちがいMii広場」などなら、ソフトの売り上げ的な面では克服出来るでしょう(地方格差の面は残りますが)。
旧DSの発売時も無線通信がこのようにすれちがいで使われるとは思っていなかったので、この通信機能の進化、もしくは他の新機能&既存機能の新しい使われ方に期待したいところです。