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セカンドライフと袖の下の心理

前に『セカンドライフの経済は破綻する性質を持っているのか?』においてセカンドライフについて触れてから、いろいろとネット上の記事を読んでみました。

業界人が告白:Second Life「企業が続々参入」の舞台裏 (1/3) – ITmedia ニュース

Second Lifeへの空騒ぎ、そろそろやめませんか – ITmedia ニュース

金融・経済コラム:Second Lifeに3度目の正直をかける企業、従来型メディア、代理店 – ITmedia ニュース

トランスコスモス、「Second Life」の現状を説明

■『セカンドライフ』が面白くない理由

なんか私の知らないところでも企業がいっぱい参入しているみたいですけど、どれだけ今の現状を知っているんでしょうかねえ。

しっかしなあ……とりあえず自社がネットに詳しいところを見せつけるために参入ってところもあるみたいですけど、逆効果のような気が。例えればチョイワル親父を気取りたくで雑誌通りに着こなしてみたけど、全然似合ってなくて周りからは苦笑されているような感じ。(でもそこで「やっぱ自分には無理だ」とあきらめるようないい意味でのダメ人間はかえって好感持ちます。私もダメ人間だもの)

その他ネットの記事でもあまり良い評価は見あたりません。何と言っても、アクティブプレイヤーの数が少なすぎるのが問題でしょう。

そんなにプレイしていない私が言うのも何ですが、やっぱり魅力がないんですよね。金でも配れば別でしょうが、企業の島に行って映像見るだけなら、同じコトがHPで出来るのですし。

つか、1日100人で御の字なら、ブログ開設して毎日そこそこの人に4コママンガ描いてもらった方が人集まる気がするんですけど。

でも、本当に基本コンセプトだけを見てみると、『セカンドライフ』の発想、すなわちリアルマネーと互換可能な通貨で生活ができるというこの自体は面白いと思うのですよね。私もかなり初期には興味を持ちましたし。だけど、結果は度欄の通り。

 

さて、何でこうなったのかというのは前述のすでにあちこちで書かれていますが、主なところでは以下のところでしょう。

・スペック問題……あまりにも高いスペックを要求しすぎて、導入さえ出来ない。

・アバター問題……アバターがかわいくない。日本向きではない。

・何をしたらいいかわからない問題……「何でも出来る」というのはすなわち「何をしなくてもいい」のであって、遊び方がわからない人にはやることがなくなります。何も目的もなかった初心者にそれを探せ、といわれても、探す前にやめてしまうのではないかと。

・50人制限問題……ひとつの島に50人しか入れない。よって大規模イベントどころかMMORPGであるような中規模の祭りも開けない。ちなみに実際に行われているコンサートは入れ替え制だそうですが、50人ってデパートの屋上会場以下だよなあ……

まあサーバー落ち対策なんでしょうけど、このへん、アクセスが集中して初日に飛ぶけど、あとあとはアクセスが下がってゆくネットイベント(もしくはデータ配布)に似てますな。

 

しかし、ネットの掲示板で『セカンドライフ』というのを見ると、わりと高い確率で「電通」という単語がついてくることが多いです。つまり電通が大々的に仕掛けたけど失敗したという感じで。ソースもないですしそれの真偽はわかりませんが、大規模なパブリシティ展開がなされていたのは確かだと思います。

じゃあ何でそれだけ展開されていたものがうまくいっていないのか。しかしこれは全く逆のことも考えられるのではないかと。すなわち『パブリシティ展開のせいで、かえって人を減らしてしまった』とも。

 

このセカンドライフで初期から強調されていたのは「金儲けができる」みたいな部分だったと思います。というかやけに稼ぐ人がアメリカで出たとか、そこがよく言われていたような。

たしかに人を集めるにはそれは一番効果的です。少なくともMMORPGとかを全くやったことない人にとっては。(でもなあ……ブログの出始めの時も同じコト言われていたような)

しかし、それはアクセスしてしばらくすればすぐに幻想とわかります。

そもそも『セカンドライフの経済は破綻する性質を持っているのか?』で書きましたが、この世界の経済圏は現実にはほど遠く、学園祭レベルのものにしか成り得ないのですし。

セカンドライフの経済は破綻する性質を持っているのか?
何かとその周辺の方が話題の『セカンドライフ』ですが、先日、銀行が破綻したそうです。 ■『Second Life』の銀行破綻:「無法空間」での規制とは « WIRED.jp しかしこれを見て、いくつかの疑問が湧いてきました。 そもそも、銀行が...

 

それでも本来ならばしばらくプレイしていればそれなりに楽しいことも見つけられたかもしれません。そして楽しいことを提供する側に回った可能性もあるでしょう。しかし、「金儲け」という言葉につられてきた人は、それが出来なければ早々にやめてしまう可能性は高いでしょう。

そして同時にそのような金儲け行為を嫌う人は、最初から敬遠するでしょう。

 

「袖の下の心理」とでも言うのか、ある強い欲求のみで引いてきた人間は、多くの場合その要求でしか動かないと思われます。特にお金においては。

ある地方、金で当選を勝ち取ってきた政治家が代替わりした時、跡継ぎがそれまでの金ばらまきを止めた瞬間、いきなり支持者がいなくなってしまったというのはとある政治の本に書いてあった話。

つまり、セカンドライフを特徴づけたのはRMTでしたが、それを強調しすぎたためにかえって実際との差が浮き彫りになり、人を離してしまった、とも考えられるのです。もしその金もうけを強調しすぎていなければ、きっとその中にも純粋なプレイヤーがいて、定着してくれた可能性もあったかもしれませんが、それも失ってしまったと。このへん『狼少年の法則』と同じ感じですな。

 

そもそもセカンドライフ自体、開発側のコンセプトではそんなに人を集めることは想定していなかったのではないかと個人的には思います。例えれば、中規模MMORPGくらい人が集まればOKみたいな。そうするとやけにスペックが必要なシステムも、1カ所に50人という制限も理解できますし。ただ、RMTという面でやけに注目されてしまった結果、変な注目のされ方をしだしてしまったのがまずかったのかもしれません。

ですが、最初に言ったようにコンセプト自体は面白いので、前述の欠点を改良していろいろアレンジすればかなりいいものが出来る気はするのです(それでもせいぜい100円単位の経済くらいがやっとだとは思いますけどね)。

ただ、これでこのタイプのものを敬遠してしまった人が、『狼少年の法則』で、このタイプのものを未来永劫敬遠してしまわないか、それが心配です。

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