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ゲーム攻略本の歴史を振り返ってみる

今でこそゲームの攻略本というものは、ネットに押されたのか、それとも攻略本を必要とするゲームが少なくなったのかそれほど売り上げ的に目立っているわけではありませんが、かつて(だいたい2000年以前)には攻略本、とりわけRPG大作のものはすごく売れて、年間のベストセラーにも入るほどでした。でも、最初からそうだったわけではなく、攻略本にもいろいろな歴史があり、そうなっていったのです。
というわけで、今日は攻略本の歴史について、自分なりの独断と偏見的に振り返ってみようと思います。

ゲーム攻略本黎明期

ゲーム関係の書籍というものは、ファミコン以前から存在していたと思います。ただ、現在のようにゲームを攻略するための書籍というものが一般的になったのは、ファミコンが発売してそれなりに普及した後からでしょう。

この頃のファミコン攻略本では有名なものがあります。それがケイブンシャのシリーズと、ジャンプの攻略本。
ケイブンシャのシリーズというのは、出版社である啓文社が出していた攻略本で、黄色のカバーで有名なシリーズです。そしてかなり多くのファミコンのタイトルが、このシリーズで出ていました(うちにも実物があったはずなのですが、ちょっと出てきませんでした)。

ちなみにこれ以前、啓文社は子ども向けのその手の書籍(『ウルトラマン大百科』とかみたいなの)を出していたので、おそらく攻略本もその流れだと思われます。実際、ファミコンの初期、そのシリーズでも出ていました。

 

もうひとつの有名攻略本は、ジャンプの『ファミコン神拳奥義大全書』シリーズ。

ファミコン神拳奥義大全書
これは少年ジャンプから発行された攻略本で、種類としてはそんな多くないのですが(ほとんどドラクエ系ですし)、ジャンプブランドもありおそらく当時一番売れたものではないかと。
何よりも、堀井雄二氏がライターをやっていた時のものだというのが貴重でしょう。
ただ、この時代の攻略本は完全攻略と言うよりは、読み物として楽しめる要素が強い感じでした。まあ、攻略と言っても当時のゲームからしてあまり書くことがないので、そうやってスペースを埋めていた面もあるでしょうが。あと、本来は行ってはいけない裏面とかのことについて書かれていたり、かなりアバウトだったのを覚えています。まあゲーム業界がまだまだ成熟していないこの時代ならではの話ですね。

ちなみにこの時代の攻略本で注目したいのは、なんと価格が360円とか、380円とか、少年マンガ本1冊分と同じこと。つまり完全に子ども向けだったのですね。そのため私は当時、ソフトを買う値段はないので、ソフトも持っていないのにこれらの攻略本を買って読んでいたこともありました。前述のように読み物として楽しめたので、そういうこともできたのですね。

 

ゲーム攻略本発展期

『スーパーマリオブラザーズ』が大ブームとなり、ファミコンも一大ブームとなると、攻略本の数も増えてきました。
ケイブンシャ以外では、ゲーム雑誌を出していた出版社が強かったですね。特に双葉社と徳間書店が強く、ふたつのシリーズがよく売られていた感じです。

双葉社『ゼルダの伝説夢をみる島 必勝攻略法』
上のは1993年、ゲームボーイの『ゼルダの伝説夢をみる島』(初代)の攻略本。ちなみに価格は750円。この辺から微妙に攻略本の値段が上がり始めてきます。それは以前までのように子どものものだけではなくなってきたのと、ゲームが複雑になってきたためにそれだけのコストがかかるようになったことと同時に、ユーザーもその値段でも欲するようになったからでしょう。

 

ちなみに当時から一番強かったのはやはりRPG系の攻略本で、ドラクエのものなんかはかなり売れていたようです。故に本家から発売されていましたね。

エニックス『ドラゴンクエストIV』公式ガイドブック上巻

 

ゲーム攻略本最盛期

スーファミ後期から次世代機への移り変わりの時期になると、攻略本市場は最も盛り上がりを見せます。そしてこの頃になると、アルティマニアシリーズなど一部の例外を除いて、攻略本はほとんどゲーム雑誌を出している出版社(アスキー、ソフトバンク、角川書店、メディアワークスなど)が出すという形になっていましたね。それは理由がいくつもあり、それらの会社にはゲーム雑誌のブランドがあり、且つノウハウがある、何より本誌でやった攻略情報をそのまま攻略本に生かせるという強みがあったためでしょうね。昔なら攻略本のためだけに作業をすることが可能だったのに、この時代になるとゲームの複雑化、大容量化によりそれができなくなったという感じ。
ユーザーにとってもゲームの複雑化によってこの手の攻略本が必須になってゆきました。特にPS時代に入ると、この手の攻略本がないとオールクリアは難しいようなゲームが増えていった感じがあります。確かにこの頃は大容量化が可能になり、重厚長大なRPGが望まれていた時期ではありました。ただ、現在考えるとこれがゲーム離れの第一歩目だったという側面も否定できません。
ファイナルファンタジーVIIIアルティマニア (SE-MOOK)

 

ゲーム攻略本衰退期

しかし攻略本は、2000年前半ごろから失速し始めます。ひとつめは予想される人も多いでしょうが、インターネットの存在。このことになるとインターネットはやや普及し、多くのソフトではその攻略情報が無償で提供されるようになります。さらに1週間も経つとほとんどの情報が出てきてしまう速度には、攻略本どころか雑誌も追いつきません。この頃になると攻略本の値段も数千円単位になってきていたのもあり、こうなると攻略本のメリットは失われてしまいます。
いや、ネットのせいだけではありません。この時代、とりわけPS2中期~後期は明らかにゲームが売れなくなってきていたのです。それは重厚長大なゲームに疲れてしまって、コアユーザー以外が残らなくなってしまったせいなどがあるでしょう。故にその次の世代では、ゲームに別方向の工夫が必要となってきて、結果、容量は小さくても楽に遊べるようなゲームが多く出てくるようになります。しかしそういうゲームの多くは、攻略本を必要としないために、その存在意義もなくなってきたと。

 

 

現在も攻略本は売られていますが、かなり限定されたものとなっている感はあります。まああれば便利なのですが、昔ほどは必須ではないと。まあ、ゲームは本来そのソフトだけで解けるのが理想だと思うのでそれはいいのですが、攻略本というものがなくなるのはちょっと寂しい。

そこで思うのですが、いっそのこと読み物として楽しめる側面を強めても飯野ではないでしょうか。それこそファミコン時代の攻略本みたいに。だって、ゲームのデータなんてのはネットであるのだし、それと真正面から戦っても負けるのですから、そうじゃないならもっと側面から楽しんで読めるようにすればいいのではないかと。まあそれが攻略本と定義されるかは微妙なところですが。最近では20thアルティマニアもその傾向なのかな?

ファイナルファンタジー 20thアニバーサリー アルティマニア File1:キャラクター編 (SE-MOOK) (SE-MOOK) ファイナルファンタジー 20thアニバーサリー アルティマニア File2:シナリオ編 (SE-MOOK) ファイナルファンタジー 20thアニバーサリーアルティマニア File3:バトル編 (SE-MOOK)

ちなみにファミコン神拳読んでいるのですが、やっぱおもしろいなあ。なんかこういうのを見ていると、昔のゲーム雑誌を読みたくなりますね。

 

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