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ゲーム音楽の幕開けとなったサントラ『ビデオ・ゲーム・ミュージック』

「ゲーム音楽の歴史はどこから始まったか」。

この問いの答えは、ゲーム音楽をそれなりに知っている人でも(むしろ知っていればかえって)かなり難しいと思われます。というのは、「どこからゲームの効果音(SE)が音楽に変わったのか」というものの答えが人によって意見が分かれる為でしょう。故に事実上始点を一作品に定めるのは不可能だと思っています。『スペースインベーダー』の音もすでにそれかもしれない、いや、それ以前にあったかも知れない等々(それについてはそのうち改めて書きたいと思ってます)。

しかし、明らかにゲーム音楽を観念的、商業的に大成させたと言える存在があります。それは1984年に登場した一枚のサウンドトラック。その名は『ビデオ・ゲーム・ミュージック』。

ビデオ・ゲーム・ミュージック ナムコ(※ジャケは再版版)

 

ゲームの音が音楽と認識される前

1970年代末期の『スペースインベーダー』は日本のビデオゲームの幕開けとも言えるものでした。そこからアーケードゲームが人気を博すのですが、80年代前半、その市場を牽引した大きな存在がナムコのゲーム。『ゼビウス』『パックマン』『マッピー』『リブルラブル』『ギャラガ』といったゲームは人気を集め、ゲームユーザーを増やしてゆきます。

そしてその後の多くのゲームやゲーム業界、ゲーム開発者にも影響を与えます。

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この時代にもゲームには音が流れましたし、それが旋律を奏でているものもありました。そしてそれは作り手側には「音楽」として認識されていたものでした。

http://www.redbull.com/jp/ja/music/stories/1331676401833/diggin-in-the-carts-episode-1

しかしながらそれは人によって「効果音(SE)」であるのか「音楽」であるのか分かれ、「音楽」として完全には認知されていなかった状態であったと思われます。

 

初のゲーム音楽サウンドトラック

しかし1984年、開発者の遠藤雅伸氏との対談をきっかけとして、当時Y.M.O.のメンバーでもあり一般的な知名度の非常に高かった細野晴臣氏が監修となった『ビデオ・ゲーム・ミュージック』がリリースされます。

これは前述のようなナムコの人気アーケードゲームタイトルで流れている音楽を収録したもの。収録曲はゼビウス、ボスコニアン、パックマン、フォゾン、マッピー、リブルラブル、ポールポジション、 ニューラリーX、ディグダグ、ギャラガ。作曲者は大野木宣幸氏、慶野由利子氏、甲斐敏夫氏。媒体はまだCDが普及しておらず、LPレコードとカセットでの発売。発売元はY.M.O.のレーべルでもあったアルファレコード。価格は1885円でした。

広く認知されているゲーム音楽のサウンドトラックとしては、これが初のものと言ってよいでしょう。そして同時にSEの連続であったゲームの音が「ゲーム音楽」として認知されることとなった決定的なきっかけとも言えます。これはやはり作曲家として有名だった細野晴臣氏が関わったことが大きいと思われます(少なくとも音楽として認知される時間を早めた)。

このサントラの価値は初のサントラというだけではなく、完成度が非常に高いこと。どの曲ももともとのレベルが高く、さらにそれを一番聴かせる形にしてあります。前例がない時代でこれだけの聴かせ方をしたのは、後に続くものの指針となったことでしょう(まあ黎明期はけっこう模索していたものもありましたが。SEとかループの数とか)。先にナムコのゲームが後に影響力を与えたように、この音楽もまた影響力が大きかったと思われます。

今聴いても音源的ノスタルジーももちろんありますが、それを差し引いても非常に心地よいサウンドで、自分も定期的に聴いています。

 

ここから発展するゲーム音楽の歴史

またこのアルバムが出たアルファレコードから、他のゲームサントラも続々と出るようになります。代表的なものはナムコ・ゲーム・ミュージックシリーズ(下は2000年代に新サイトロンから出た再版のCD)。
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さらには90年代にかけて多数のサントラを出すサイトロンレーベルにも繋がります。つまり商業的なスタートもここが起点と言えるでしょう。

余談ですが、私がこのレコードに出会ったのは、発売語しばらく経ってからの練馬の図書館でした。もちろん興味を惹かれましたが、発見した時は小学生で借りることが出来なかったので(当時レコードは中学生からという決まりだった)、友人の兄が借りてきたのを聴いてました。当時、ゲームでしか聞くことの出来なかったゲームの音(しかも据置機しかなかった時代)を、ゲームをしなくても聴けるというのはまさに極上の体験だったのです。それを聴いて自腹で買ったのが、『ドラゴンクエストⅢ』のレコード。これが初めての購入したサントラになります。

ドラゴンクエストⅢ レコード

 

再々々販というか永続的販売希望

ちなみに『ビデオ・ゲーム・ミュージック』においては後にアルファレコードからCD版がリリース。それも一時品切れになってプレミアがついていましたが、その後2000年代に新サイトロンが再版しました。現在サイトロンが消滅したために新品市場ではそれも品薄。

それぞれのゲームの単品曲としてはiTunesで出てはいるのですが、ゲーム音楽史的に貴重な存在なので、再版もしくはiTunesでアルバム単位で出して欲しいものです。
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ナムコ・ビデオ・ゲーム・ミュージック 

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