昔、据置機はプレイをする時に電源を入れて、終わったら消すものでした。ファミコン時代は全部のコンセントを抜いて、箱の中にしまい直すよう言われた家庭も多いのではないでしょうか。
しかしながら最近は、ゲームを終えてもしまうことは少ないでしょう。それどころが電源、少なくとも待機電源は入れっぱなしことが多いです。というのはハード自体がそういうようにさせているのですよね。たとえばWiiでは「Wiiチャンネル」により、つけっぱなしにしておけば見たい時にニュースや天気予報が見られる仕組みになっています。最近だと「テレビの友」なんかもそうですよね。
おそらく、据置機はこの「電源をつけっぱなしにさせておく」という性質が強くなっていると思います。少なくとも開発側は、そうさせておきたいという感じ。
これはWiiに限りません。ちなみに私はまだ自分では持っていないのですが、X360もかなりそういう感じらしいですね。持っている人曰く、「あれは24時間つけっぱなしにしておいて楽しめるゲーム機だ」ということで。まあPS3もそういうところがあるかもしれません。
さて、メーカーがそうさせたいとしたら、その理由は何か。まずよく言われているのが「ゲームのホームサーバー計画」。これはすでにマイクロソフトがX-BOXで参入したあたりから言われていますね。つまりゲーム&テレビを家の中心にして、ゲーム機で家中の家電を操作しようという計画(つか、PCエンジンの「コア構想」もその先駆けかな)。マイクロソフトがゲームに参入したのも、その家電の中心的立場がパソコン以外となっても市場を守るためとも言われています。
この話はハード立ち上げ時によく言われますが、結局すぐに「これはゲーム機だ」という論調になりますね。そしてハード自体失速するか。で、10年以上経っても、家電の中心なんてものはありませんが(ごく一部、AV機器をリンクさせているというのはあるけど)。ま、そんな必要ないからでしょうけど。ともあれ、この場合だとつけっぱなしにさせておく必要がありましたよね。
しかし、今のつけっぱなしにさせたい意図はそうではないと思えます。実際に基本的にはゲーム産業以外に手を出さない任天堂もそうしているのですから。それは何故か。おそらく「据置機における起動時間の問題」があるからではないかと。
ファミコン時代は、起動すればすぐにゲームを始めることが出来ました。しかしディスク媒体に変わると、起動に時間がかかり、それから読み込みに時間がかかるようになります。おそらくスタートボタンを押すまで1分くらいは待たされることになっていたのではないでしょうか。
しかし、この1分何も出来ない当のは、場合によってはかなりいらいらさせられる場合もあります。おそらくこの起動時間で、近くのマンガを読んだ経験のある人もいるのではないかと。そう、つまりこの「すぐ、手軽に出来ない」というのは、娯楽過多でゲームの訴求力が昔より落ちた現代にとっては非常にハンデだと思うのですよ。前述のようにその一分を待つのを我慢できなくて、マンガやネット系の娯楽をされてしまう可能性も大きいですし。もちろんゲームが好きな人ならそれくらい待つでしょうけど、そこまでではない人を除外してしまうと。
前回、据置機と比べての携帯機のメリットについて「自由な姿勢で出来る」というのを語りましたが、実はもう一つ、この「すぐに出来る」というのが非常に大きなメリットではないかと。特にDSは設定次第では(メニュー選択スキップ)電源入れてちょっと触れればすぐタイトル画面になりますしね。脳トレなど知育系が流行った要因のひとつには、このすぐ、手軽に出来るというのが大きかったと思われます。正直Wiiで先に出ていたら、あそこまでにはならなかったかも。
つまり、据置機のハンデは、この「起動時間」にもあると思うのですね。そうしないと携帯機やほかのすぐ出来る娯楽に負けてしまうので。故に起動をさせておいて少しでもすぐ出来る体勢にしておきたいだのではないかと。そしてそのためのコンテンツが天気予報だったり、ニュースだったり。
しかし、この「つけっぱなし」を阻害する最大の敵はほかのコンテンツではなくて、人間の「つけっぱなしにすることへの抵抗感」かもしれません。つまりエコが叫ばれる以前から、どうも使っていない家電をつけっぱなしにするのは電気代もあるし無駄だという意識。それこそファミコンをいちいち箱にしまっていた時代からの名残。
でもWiiをつけっぱなしにしておいた時の電力は17Wらしいんで、まさしく豆電球程度くらいなのですけどね。
■参考:Wiiの驚くべき低消費電力
案外、次の任天堂の戦略は、エコに関連させて「Wiiの待機電力は豆電球分だけだ」というものだったりして。
とはいってももWiiをつけっぱなしにしておくということは、同時にテレビもつけっぱなしにしておくということなので、その分かかってしまうのですが。
結局据置機はこの「テレビの呪縛」がずっとつきまとっているのですよね。
でも、技術が進むとこの呪縛から解放される時代がくるかもしれません。それはすなわちモニタつきの、ノートパソコンのような据置機。まさしく光速線やらバーチャルボーイのようなもの。まあその時に生まれたものを「据置機」と定義するかは微妙なところですが。