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『センチメンタルグラフティ2』が目指したかったと思うもの

前回『センチメンタルグラフティ』って今考えると鬼畜ゲーだったよね』で『センチメンタルグラフティ』のゲームシステムにおける鬼畜っぷりに触れました。

『センチメンタルグラフティ』って今考えると鬼畜ゲーだったよね
「空気を読まない中杜カズサ」のほうで、以下のエントリーを書きました。 要約すると、恋愛ストーリーは、主人公とメインヒロインが結ばれる話が大切なのと同時に、その恋愛にかかわってきた他の女性キャラをどう退場させるかが、後味の悪さを残さないかで重...

そこの最後で触れた続編、『センチメンタルグラフティ2』について、今日は語ってみようと思います。
センチメンタルグラフティ2

 

前作主人公死亡のインパクト(主に負の方向で)

前回も書きましたが、この『センチメンタルグラフティ2』というのは、いきなり前作の主人公が死亡するというとんでもない展開で幕を開けます。まあ、その後その傷を癒すということで、別の主人公が活躍(?)するのですが、正直、この最初の主人公死亡が尾を引いて、後のストーリーがあまり頭に入らないということにまでなっています(実際、ネットであちこち調べても、ストーリーについて触れているよりも、この最初のインパクトに触れている方がはるかに多い)。つまり、最初に潰されてしまったという感じですね(もっと正確に言えば、最初の設定を打ち破る力がストーリーになかったと)。

 

何故前作主人公は死んだのかの推測

何故こんな「主人公死亡」という、トンデモ展開を設定したのでしょうか、というのは、当時からの疑問でした。しかし前のエントリーを書いていて、もしかしてこれも酔った勢いの提案を誰も止めなかったのではなく、それなりに根拠はあったのかもと思います。

そのひとつは、このゲームの前年、1999年9月30日に発売された、今は会社としては亡きKIDの『メモリーズオフ』。このゲームは、いきなり最初にとある登場人物の死亡から始まり、それの克服がひとつのテーマになっています。そしてギャルゲー好きの人に話題となりました。可能性として、これを意識していた可能性はあります(ただ、このへんは非常に近いので、制作発表などの時期と会わせて考えると、微妙にずれている可能性もあります)。

さらに、2000年ちょっと前といえば、パソコン方面で「泣きゲー」が大ブームになりはじめていた時期でした。例として『ONE』『Kanon』ですね。ですので、この感動要素をこのシリーズにも入れたいと思った人がいるのかもしれません(可能性としては、こちらのほうが高いかも)。
ただ、間違いはその「感動要素」の分析がまるで出来ていなかったことではないかと。

 

コンセプト自体は間違ってはなかったと思うが

初代『センチメンタルグラフティ』にもこの2にも言えますが、コンセプト(日本のどこかに会いに行くとか、悲しみからの復帰とか)だけを見ればそんなに間違っていないとは思うのですよ(おそらくセングラも作り直せば、それなりの作品にはなるはず)。ただ、このシリーズではそれを実際にゲームとして構築する方法が著しく間違っていたと。もうちょっとこの手のゲームについてわかっている人がスタッフにいたら,違っていたのかもしれません(まあ、2000年前後なんて)。

 

「鬱ゲー」?

……いや、しかし全く別の可能性も浮かんできました。それはこのゲームが、その時代にはなかった『鬱ゲー』を目指していたというもの。この時代、ギャルゲーも飽和状態になっていました。ならば個性化するために、「鬱展開」を売りにすればよいと思ったと。他のゲームにあてはめるとすれば、『君が望む永遠』ですかね。あれはたしか、前半がひたすら明るく進みますが、後半一気にシリアスな展開になります。となると、その前半部分をセングラ1、そして後半を2とすることで、注目を集める方法をとったと。そう考えると、方向性だけは間違っていないかも。でも、前述の通りその運用が著しく間違っていたと。

 

まとめ

ま、今はギャルゲーに限らずほとんどのゲームでストーリーが定番化してきてしまいましたが、こういった雑多なものの中から野心作とか後の名作が生まれていることも否定できません。となると、こういったものが生まれていた時代は、決して悪くはなかったとも思います。

 

追記(2018/1/24)

まさかの記事を書いてから10年、発売してから20年でこのニュース。

これに伴い、10年ぶりに記事を見直してしまいました。

しかし、この後わかったことですが、この『センチメンタルグラフティ2』のシナリオ、1のシナリオライターである大倉らいた氏が主人公の死という原案を拒絶したために降板、そして結局シナリオは外部のメーカーに外注として出されたようですね。
そして、 その外部シナリオ会社でシナリオを担当したのが、のちに『迷い猫オーバーラン!』を発表するライトノベル作家の、故 松智洋氏。
2も最初の展開は批判殺到ですが、個別シナリオはわりと評価する声もあるのは、当時現場でこの原案をどうするか頑張っていたのかもなあと思ってしまいます。

 

さらに、以下の記事を書きました。

今、あえて『センチメンタルグラフティ』の長所を挙げる
ここ数日、何故かこのサイトで以下の記事のアクセス数が急に伸びました。 おそらくネット上で、『センチメンタルグラフティ20周年プロジェクト』というTwitterアカウントがいきなり登場したことによるものでしょう。 あなたに、会いたい… — セ...
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