ここ数年、同人ソフトの勢いがかなり増しているように思えます。最近では東方Projectや、『ひぐらしのなく頃に』などが同人ゲームからスタートして、他のメディアまで進出していたりします。ただ、同人ソフトの歴史は今に始まったことではなく、まだWindows以前の時代からパソ通やパソケットなどの場があり、歴史は古いです。ただ、ここ数年でそれらが目だち始めてきたのは主に3つの理由があると思います。
1つは「発表(購入)の場が広がったこと」。なんといってもインターネットの普及ですね。これらは主にフリーのゲームですが、100M程度のゲームならダウンロードで手に入れることも難しくはなくなりました。
あと、媒体(CDとか)として売られる同人ゲームも、とらのあな等の同人専門店の増加によりわざわざコミケやその他同人誌即売会に行かないでも手に入れられるようになったというのもあります。
そして2つめは、「広報の場が広がったこと」。これもインターネットの普及によるところが大きいですが、昔は実際にパソケなりで手に入れないとわからなかったものが、現代ではインターネットでも同人ソフトを扱っているサイトは数多くありますし、それを参照すればどんなソフトかがわかります。それを特集している雑誌も数多くありますし。
ただ、数が増えすぎてしまっているために、ひとつあたりの注目度が減り始めているのかもという現象はあると思いますが。
そして3つめは「技術がコンシューマと大差なくなってきたこと」だと思います。一昔前は、同人ソフトのトップクラスの作品でさえ、商業ソフトの差は歴然としたものでした。それはグラフィックやサウンドにおいてもその他いろいろな技術面においても同人で作れるゲーム開発環境が貧弱で限界があったからです。それに昔はゲーム製作のためのツールもまだまだ少なく、プログラムも技術が蓄積されていない状態で一からする必要があったと思います。また、同人ソフトの場合はほとんどがパソコンゲームですが、そのパソコン自体の性能がコンシューマゲームに比べてゲームをプレイする環境としては劣っていたと言えます。
しかし現在、ゲーム製作のための開発環境はかなり整備されてきており、プログラミングが分からずともゲームを製作できるツールも数多く出ております。実際、パソコンゲームなどで使っているスクリプター(スクリプトで動くアドベンチャーゲーム作成ツール)と、同人で使っているスクリプターが同じなんてこともあります。まあたいていはそれ以外の面で同人と商業ソフトの差がついているのですが、中には『ひぐらしのなく頃に』みたいに同人でも並外れたものが出てくることがありますね。
たしかにコンシューマのトップクラスのゲームにはグラフィックなどあらゆる面でかないません。しかし、コンシューマでもそれほどでもないソフトと比べた場合、あまり見劣りしないレベルまで上がってきていると思います。
しかしこれは、何も商業ソフトの技術進歩が止まったわけではないのですよね。今ではユーザーの方がそこまでの技術を必要としなくなったというほうが大きいでしょう。これは性能で上をゆくPS3よりもWiiが売れたり、携帯ゲーム機で十分だという人が増えたことと無関係でもないでしょう。つまり、多くのユーザーにとって、必要レベル分のものを同人ゲームの製作環境で作ったものでも満足できるようになってしまったと。
さて、これらの結果、まだまだ商業ソフトのトップには及ばないものの、一部の人気ソフトは商業ソフトの売り上げを上回るくらいに売れてしまっていたりします。
それでも、おそらく市場規模としてはまだまだ商業には及ばないでしょう。東方やひぐらしがかなり目だっているので売れているように思いがちですが、実際はかなり多く出ているものの中からごく一部が目だっているのであって、多くが馬鹿売れしているわけではないでしょう(まあエロありだとちょっと話が変わってくるとは思いますが)。どんなにコンシューマ市場が縮小しているとはいえ、同人市場は思っているほど大きくないと思います。そもそも販売の場が天と地の差がありますしね。
でも個人的には「同人は趣味のカテゴリで、好きなものを作るべき」で、「それで多くの人にプレイしてもらえば尚OK」だと思っていますので、売れる売れないは二の次だと思います。前述の東方やひぐらしなども、趣味から作り始めたものでしょうし。まあこの考え個人個人の主張によって違うと思うので押しつけるつもりは毛頭ございませんが。
しかし、このような同人市場でも、今後大きくコンシューマやその他ゲームの制作に与える影響があるのではないかと思いました。それは製作の面において。もっと言えば。製作の人員面において。
次回は、この点について語りたいと思います。
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■おまけ
個人的にすごいと思ったフリーソフトのゲームを3つばかり。
・TUMIKI Fighters:操作していて楽しいシューティング。
・ディアボロの大冒険(ダンジョンRPG):まさかこれがフリーだとは。 ※現在公開終了
・BraveGear ~ Tribute ~ (アクションRPG)
・TOMOSHIBI.NET:これはグラフィック的にも驚いた。ちなみに6章まである。