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みんなのニンテンドーチャンネルは、既存ゲーム雑誌を喰らうか

こんなニュースが。

ゲームビジネスの常識を“みんなで”ひっくり返そう「任天堂カンファレンス2007.秋」レポート

ここで「みんなのニンテンドーチャンネル」というのが発表されましたが、これの主な点は3つ。

1・新作ソフトのプロモーション映像などの配信
2・ニンテンドーDSの体験版ソフトの配信
3・ユーザーによるゲーム評価システム

これは3がかなり斬新なものですが、実は1と2も他機種ですでに先行しているとはいえ、かなり画期的なものだと考えられます。

さて、今日はまず1と2の意義と、それが及ぼす影響について書いてゆきたいと思います。

まず「1・新作ソフトのプロモーション映像などの配信」ですが、これは各メーカーのホームページで行われているものと同じですね(残念ながらWiiではローカルへのダウンロードはメモリの関係で難しそうですが)。まあこれは今までは前述のようにインターネットのホームページや、雑誌付録や体験版ののCD、DVDなどであったものをそのまま実機で直接出来るという感じ。

そして「2・ニンテンドーDSの体験版ソフトの配信」というのは、今までは駅や販売店にあったものをそのままWiiを使ってダウンロードできるというものですね。まあDSに関しては体験版をつけるのは雑誌でも難しかったと思うので、これもけっこう新機軸だと思います。

 

ここで気になるのが「それなら既存のメディアはどうなるのか」ということ。特に今まで情報配信や体験版の配信をしていた雑誌の動向です。つまり、これらの情報を出すメディアがゲーム本体に含まれてしまったということは、有料でもあるこれらの雑誌の必然性というのはかなり下がってくることになりかねません。たしかに今までもPS3やXーBOXもすでにこれらの情報を出すということはすでになされてきました。しかし今度はトップシェアのハード2つでこれをやるのです。そうなると雑誌の必然性は薄れてくることが考えられるでしょう。これをすることに対して雑誌社からの反発はなかったのでしょうか。それについて考えられることは2つ。

ひとつは、任天堂の今の位置ではすでに雑誌社に配慮をする必要がなくなっているので、出版社に配慮をする必要がほとんど、少なくとも昔よりなくなっていると考えている可能性。

任天堂のシェアは、現在ソフトでもハードでもかなり圧倒的なものになっています(海外だとやや別)。つまり、現時点では任天堂のソフト、ハードを抜きにしてゲーム市場を語ることはほぼ不可能に近くなっており、こういう情報サービスを始めても逆らえるところがないという考え方。これら任天堂が出す情報というのはPS3専門誌やX-BOX360専門誌だとさほど影響を受けないでしょうが、ファミ通などの総合誌にとってはかなり被るところがあると思います。しかも速報性ではネットが圧倒的に有利ですし。だけどこれだけ任天堂がシェアを取っていると、「扱わないよ」というのは脅しにはならず、逆に「ああどうぞ。それならこっちも情報提供しないよ」といわれるような感じ。故に部数が減るのはわかっていてもこれを止めることはできないと。

WiiやDSの専門誌は、どちらかというと子供向けが多いというのは、みんなのニンテンドーチャンネルを使う層がやや大人向けとした場合、こちらの層と被らないためなのかもしれません。あと、日本では批評タイプの辛口雑誌はあまり見られませんが、海外では結構そういうのをシビアにしたり、独自の視点で紹介したりと個性を持っている雑誌が多いので、全部被ることはないと思います。

 

もうひとつは、別に任天堂も雑誌社も、みんなのニンテンドーチャンネルで配信される情報が、既存の雑誌と被ることはないと考えているということ。私としてはこっちのほうが有力だと思います。

つまり、ネットにはネットで出来る独自のサービスがあるけど、それは雑誌とあまり被らず、逆に雑誌の情報もネットと被らないところがある、またはネットを見る層と雑誌を買う層で棲み分けが出来ているのでそれぞれが食い合うことはないという考えです。そうでないと、インターネットがすでに似たようなことをしているので(少なくとも1は)、もう体験版のついている雑誌以外は不要になっているはずですから。だけどそうなっていないのは、まだ雑誌での情報を欲する人がいるからかと。

さらに、Wiiだけではなく、他のゲーム機にしてもネットへの接続率がまだまだそんなに高くないというのもあると思います。ただ、Wii、それにPS2やX360のネット接続率が高くなった将来にどうなるかはわかりません。

 

あと、接続率が高くなった時、雑誌だけではなくゲームのテレビCMも何らかの影響を受ける可能性があるでしょう。少なくともWiiでCmを流す場合、確実にハードを持っている人にその情報を知らせることが出来るのですから、高い金を出してCMを打つよりも、Wii内で確実に知らせた方がいいと任天堂を始め多くのメーカーが考えた場合、だんだんCMを打たなくなってくるかもしれません。

まあ、どっちにしても今のままだと1コンテンツにしかすぎないので、何か他を脅かすほどのものとなるには、何はともあれ注目度(接続率)を高めるための作業が必要でしょうね。となると、任天堂のイベントであるみたいに、みんなのニンテンドーチャンネルで限定ポケモンを配布するみたいなことをやってくるかもしれませんね。

さて「3・ユーザーによるゲーム評価システム」はWii独自のもの。さて、これについてはそれの影響やどれだけ適正に運用できるのかなど色々考えるところがありますが、これはまた後日。

 

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