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モンスターメーカーの生みの親、鈴木銀一郎氏列伝

 いきなりですが、昔話。
 私の学生時代はちょうどライトノベルの発展期というのがありました。富士見書房(当時から角川グループ内の)『無責任艦長タイラー』がアニメ化されたのを皮切りに『スレイヤーズ』がライトノベル史上最大のブームを起こす頃ですね。その後、ちょっと冬の間を挟んで近年の盛り上がりに繋がることになります。
 さて、そんな発展期にひとつの作品がありました。その名は『モンスターメーカー』。スーファミ時代のユーザーにはいろいろなゲームが出ていたために、名前、もしくは九月姫さんのかわいらしいイラストくらいは知っている方も多いのではないかと。まあ一番名を広めてしまったのは、PCエンジンの『モンスターメーカー 闇の竜騎士』の未完成、およびサターンで出るはずだった『モンスターメーカー ホーリーダガー』の発売中止ではないかと。
 ただ、この作品はもともとゲーム用ではなく、前述のフリからわかるように富士見で出されたTRPGんのリプレイやラノベで人気があったためにゲームとして出されたものでした。そしてコミックは今のコミックビームの前身となる『アスキーコミック』で連載されていたりもしました。しかし本当の本家はそこではなく、実は最初はカードゲームだったのです。それもトレイ-ディングカードではなく、パッケージでひとまとめになっているようなもの。今で言うコンビニで売っているパーティーカードゲームのほうが近いでしょうか。そこから発展して、今で言うメディアミックス的な展開になった感じです。ある意味その先駆けでもありますね(当時はひとつの会社でそれがなされても、ホビージャパン、アスキー、角川というように跨ることは珍しかったので)。
 ■モンスターメーカー – Wikipedia
 さて、このモンスターメーカーの考案者は鈴木銀一郎氏。当時からインタビューなどに登場していたのですが、まだ基礎しかできていないこの業界にしては珍しい年輩の方(戦前生まれ)でしたので非常に目立つ存在でもありました。しかし、その物腰が非常に柔らかい方でしたので、読者にも人気がありました。
 しかし、近年調べてみると、この方、予想以上にすごい人だったということがわかりました。Wikipediaからの情報なんで信憑性はそれなりにですが、ちょっと見てゆきましょう。
 ■鈴木銀一郎 – Wikipedia
★日本での「ウォー・シミュレーションゲーム」の発展を担う
 これは本当。というか、その方面ではモンスターメーカーを除いても相当有名ということ。ちなみに検索書けてたら、最近の記事も見つかりました。
 ■4Gamer.net ― 日本ボードゲーム界の父,鈴木銀一郎氏が語る「ハーツ オブ アイアンII」のやめられない魅力(ハーツ オブ アイアンIIドゥームズデイ アルマゲドン【完全日本語版】)
★初期『女神転生』シリーズの鈴木一也氏が息子
 実子の鈴木一也(ダミアン鈴木)氏はゲーム業界で有名です、というのは『女神転生』シリーズの最初である『デジタルデビルストーリー 女神転生』から参加し、実質初期シリーズとなるスーファミ『女神転生』に深く携わっているため。これも一部では有名ですね。というか、一也氏はモンスターメーカーのゲームデザインの多くにも携わっていたようです。
★日本における「ゲームデザイナー」の先駆け
 Wikipediaには「、「ゲームデザイナー」を名乗り、(おそらく日本で初めて)」とありますが、これはさすがに確認できない。でも、ファミコンでさえ生まれていない時代からゲームデザイナーを名乗っていたというのは、注目に値します。
★伝説の雀鬼、桜井章一との関係
 今回、これが一番驚いたこと。
 「伝説の雀鬼こと桜井章一の著書にしばしば登場する「鈴銀」は、鈴木銀一郎のこと。」と書いてありましたが、どっかで見たような……と思って検索かけると、このマンガのシリーズに「鈴銀グループ」ってのが出てきました。
 ■Shoichi – Wikipedia
ショーイチ 1 (1) (近代麻雀コミックス)
 これは麻雀劇画の中でも実在の人物をモデルにしたフィクションタイプなのですが(麻雀劇画ではよくあること。別にフィクション色が薄い雀鬼ものもある)、つまりは、モデルとなるほど麻雀の腕があったということかと。少なくともざっと検索書けてみた感じでは、実際に桜井氏と交友があったようです。
 ※追記:コメントで頂きましたが、最後の鈴銀に関してはWikipediaからの情報なので、全く関係ない可能性もあります。桜井氏の著作に鈴銀が出てくるのはたしかみたいですが、それがイコール鈴木銀一郎氏の確定的ソースはありませんので、修正の注釈とさせていただきます。
 こんな感じで、あのアスキーコミックなどで気さくに読者の質問に答えていた人が予想以上にすごかったのだなあと。
 でも、氏が一番すごいのは、その活力さえあればたとえ何歳になろうとゲームの現場で活動していけるということを自ら示されていることかと。
 というわけで、まだ現役で活動されてほしいなと思ったりします。

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