ふと思ったのですがアニソンってのは「アニメソング」のこと。つまり”アニメの歌”なわけですよね?
これらは最近の涼宮ハルヒやらネギま!やらに見られるように、とてつもなく、時にはオリコンの上位に入るほど盛り上がることがあります。
しかし、ソング(歌)ではない、アニメの最中で流れるBGMなどの注目度はどうなのでしょうか?
ちょっと調べてみましたが、アニメソングのことは語っているサイトはそれなりにありましたが、それのBGMを語っているところはほとんどありませんでした。(特定の作品に対してのものは別として)
おそらくゲーム音楽とアニソンを比較した場合、注目度(それが気になっている人数)は前述の売り上げからもアニソンのほうが多そうですが、ボーカル無しのBGMで比較した場合、ゲーム音楽関連サイトのほうが多いと思われます。
当初、CD枚数の売り上げなどから、絶対数ではアニメ音楽ファンの方が多いんじゃないかなあと感じていた私としては、これはちょっと意外でした。しかし、よく考えてみると、アルバムを見てみてもたしかに収録の中に主題歌などのボーカル付き曲は多いですが、BGMはそんな扱いが大きくないように思います(例外はあり)。
それに何枚もCDが出ているアニメも、1枚だけがサントラで、その他はドラマCD、もしくはイメージソングアルバムなんてことが多いみたいです。
さて、何故そういう傾向になるのか、それの理由をゲーム音楽と照らし合わせて考えてみると、いろいろその要因が頭に浮かんできました。それをちょっと書いていこうと思います。
ちなみにこの場では便宜上、歌付きのものをそれぞれ「アニメソング」「ゲームソング」とし、全般を「アニメ音楽」「ゲーム音楽」とします。そしてアニメの歌なしのものを「アニメBGM」とさせていただきます。(これは今だけの括りで、普段はアニソンにBGMを含むこともあるでしょうから)
アニメ音楽の場合
アニメ音楽というのは、その黎明期から技術に関しては大きな制限がなく、音的には当時のテレビで流れているポピュラー音楽と同じものを流すことが出来ました。故に、歌を入れることには何の障害もありませんでした。ですので、オープニングで「主題歌」というものが使える以上、流れるのが当たり前だったのでしょう。
そして数々の曲が作られ、現在のアニメでも一部の例外を除いて、歌曲入りの主題歌というのは必須になっています。
つまりアニメの場合は、「歌」というのものがその発展の歴史と共にあり、不可欠なものだったのではないのでしょうか。
故にアニメ音楽は、成立過程的の大筋は「映画音楽」「ドラマ音楽」に近いような気がします。
ゲーム音楽の場合
ゲームに歌が入り始めたのはつい最近です。これは以前に『ボーカル付ゲーム音楽について』で書きましたのでそちらを参照していただくこととして、それまでは歌がゲーム自体に入ることはなく、歌曲入りのゲームが増えた現在でも必須のものではなく、歌が入っていないゲームはたくさんあります。
それは、ゲーム音楽が成立する歴史上、「歌」という要素が技術的に入り込む部分がなかったからでしょう。
ゲーム音楽というのはただのコンピュータのBEEP音から音楽の形をなし、マシンの進化に伴って音源や多様性を進化させていったという、独特の歴史があります(制約の中での技術的工夫による進化も含みます)
よって、歌の必要性を排除した形で発展してゆき、技術的に歌を入れられるようになった現代でも、根本ではそれを入れる必要がない分野となっているのではないでしょうか。
ちなみにゲームでもボーカル曲が特に多いのはギャルゲー方面ですが、アドベンチャータイプのギャルゲーの作りっていうのは、「観る」の度合いにおいてアニメに近いものがあるから歌曲が入るのがある意味自然なのかもしれません。
アニメ音楽とゲーム音楽というのは分野的に同一視、されることが多いですが、このように、その成立からして実際はかなり違うものだと思うのですよ。(というか、ゲーム音楽の進歩が他と比べて特殊な形と言った方が正しいですが)
もちろんそれまでになかったジャンルを使うなどという創意工夫的な面では共通する部分もありますけどね。
というわけで、ゲーム音楽の文化に関しては歌曲があっても目立つ一要素となっていても、全体的に大きく飛び抜けた存在ではないのに対して、アニメ音楽の文化では、アニソンこそがそのアニメの看板となっているために、ひときわ目立っているのではないでしょうか。
それゆえに、相対的にアニメBGMのほうがアニソンと比較して隠れがちになってしまっていると思うわけです。
ただ、目立たないというだけで、アニメのBGMにもかなりいいものは多いです。また、たまにはクローズアップされることもあります。
私はアニメ関係はそんなに知識がないのですが、今まで良かったと思ったアニメのBGMをいくつか紹介します。アニソンを含めるときりがなくなるので、ここではBGMのみということで。
灰羽連盟
テーマソングも弦楽曲です。全体的に流れる静寂感が、アニメの雰囲気とマッチして素晴らしいです。
作曲は大谷幸さん。『ワンダと巨像』作曲の人です。
エヴァ(鷺巣志郎)
もはや言うまでもなく。10年目はあまりの人気で入手が不可能な時がありましたね。
ちなみにサントラが3枚も出ているくらい、BGMにも力が入っており、どれもが素晴らしい出来です。
エルハザード(OVA版1の)
ちょっと(音楽的には)メジャーかマイナーかわからないところからも。クラシック的雰囲気がいい感じです。これも主題歌はノンボーカル。
ちなみに最終曲の「ちいさな花」という曲(歌・天野由梨)は、ボーカル曲ですがなかなか心に染みるいい曲です。
これに関しては、『神秘の世界エルハザード 音楽編』1・2というのが出てますが、だいぶ古いので、中古屋(ブックオフ)の割引棚探した方が早そう。
カウボーイビバップ
これも有名ですね。アニメ作曲家では有名な菅野よう子さんのバラエティに富んだ編成がかなりいい感じです。
アニメ中にも、歌曲が多いのが特徴ですね。(しかも全部日本語ではないもの)
こんなとこでしょうか。
やはりアニメも主題歌だけではなく、BGMでもすばらしいものが(私が知るだけでも)いくつもあるので、やはりそっちに注目してもらいたいなと思う次第です。何てったって、アニメの演出を担う重要な一要素なのですから。
ちなみに、アニメの作曲をしておられる方の中には、かなり多くゲーム音楽作曲者の方も混じっておられます。まあ、もっと広い括りである「作曲家」なら別に驚くことではないかもしれませんが。