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「中古ソフト問題」とは何だったのか

「カメレオンクラブ」を経営している株式会社上昇が民事再生法の適用を申請したそうです(帝国データバンクの速報ページより)。やはりゲーム市場の縮小の煽りを受けた形になるのでしょうか。そういえば近くにあったカメレオンクラブも数年前に居酒屋に変わってしまったし。

しかしこの会社名、私の場合過去に2度ほどよく目にした機会がありました。ひとつは就職活動の時、よく合同セミナーでブースを構えていたのでよく目にしたこと。そしてもうひとつは、今から5年前にゲーム業界を騒がせていたある事件、というか争いの時でした。それは、「中古ソフト裁判」。
5年も経つと知らない方もいるかもしれませんが、かつて、メーカー側と店側が中古ソフトの是非をめぐって真っ向から対立したことがあります。

経緯については、語るとあまりにも長すぎますので以下のリンクを参考にしてください。

テレビゲームソフトウェア流通協会 – Wikipedia
※Wikipediaなので、ソース内容が変化する場合もあります。

■ARTS

 (※2015/10/2 リンク切れ確認)

※「中古問題これまでの経緯」があります。ただし店視点でもあるので注意。

■プライム・ロー  中古ソフト問題

(※2012/12/4 リンク切れ確認)

 

今でこそ、新品を扱う店でも中古ソフトを扱っていたりしますが、当時は(流通会社、主にハード子会社の特約店となって)新品を扱うか、それとも中古専門の店になるかなんて2択状態になりかけてましたね(ここで独禁法違反とかまた複雑な要素も絡んできますが)。
それにソニーやセガハードのソフトに「中古売買禁止」っていうマークがついていたり、東京ゲームショウ(CESA主催)では「中古は違法です」みたいなのをアピールするキャラクターまで作られてましたからね。(あのキャラどこに行っちゃったんだろ?)

ともかく、紆余曲折を経た上、結局は最高裁判決で「中古販売は合法」という判決が出たわけです。

 

ちなみに私の考えでは、中古には賛成です。それは金銭的なものより、ちょっと前の新品が発売がされなくなったソフトを手に入れられなくなるというのであれば、辛すぎますので。メーカーの評価対象としての過去作の入手を難しくするというのは、ユーザーだけではなく、メーカーにとっても損失だと思いますし。ちなみに、同じ頃何人かゲーム業界の人(開発者等)と、この話題をしたことがあるのですが、「中古反対」と言っていた人が(聴いた範囲では)1人もいなかったのが印象的でした。(まあ偉い人には当然聞けてませんけど)

法律的な面で言えば、頒布権が製品を消費者に渡した後でもメーカーに残っているという考えも、どうも納得できませんでした。
もし頒布権がそこまで及ぶとすると、ゲームだけの話ではなくなり、CDや映画ビデオにも同じことが言えてしまうことになるので、レンタルビデオやCDレンタルはもちろん、中古ビデオやCDも違法となり、それらを扱う店が全て閉店することになるんじゃないか?と思っていたからです。

 

あと、万が一中古販売が違法で市場からなくなったとしても、それがメーカーにとって明るい未来だった、とばかりは言えない気がするのです。
当時から言われていたことですが、そうすると「中古を買わなくなる」のではなく、ゲームへの興味をなくして「ゲーム自体を買わなくなる」人が増えるのではないかという可能性を否定できません。まあifの未来となってしまった今となっては、何とも言えませんが。

 

ちなみにもこの裁判、一応和解を探る動きもありました。それが「中古還元制度」。
還元制度というのは今でもたまに言われますが、要は「中古取引が起きたとき、そのうち数%をメーカーに還元する」というしくみですね。

これは、店側からも構想があり、こんな発表もされていました。

CCC、TSUTAYAでの中古販売、メーカーへの還元率は2%

いちおう以下のような動きもあったらしいです。

CESA、「中古ソフト販売を条件付き許諾」に向けて行動開始

故に必ずしもメーカーはこれ否定していなかったようです。ですが、構想はあったもののこの制度は適用されることはなく、最高裁にまで持ち込まれてしまい、結審してしまいました。

 

しかしどうして還元制度をメーカーは受け入れなかったのでしょうか。突っぱね続けたメーカーのエゴなのでしょうか?

いや、たしかに比率でもめていたというのもあるでしょうが、ほかにも原因があったように思えます。

ひとつはどれだけ買い取ってどれだけ売れたかは、結局店側のデータに頼るしかないので、その数字を店側がごまかしてしまえば、還元はなされないということでしょう。それこそ全部が全部POS管理されている店ばかりではないのですから。
もうひとつは、もうひとつのメーカーとの話では後に引けない状態になっていたのではないかと。つまり、還元制度をある1つのメーカーに持ちかけても、裁判中は「切り崩し」としか思われかねないわけですね。で、結局最後まで争い続けるしかなかったのではないかと。

 

そして今でもごくたまに還元制度構想を聞くことがありますが、店はすでに「中古は合法」という錦の御旗を手に入れたわけですから、わざわざ還元する必要はなくなったので、もう出てはこないでしょう。
故に心情的には面白いゲームには対価をあげたいとは思うのですけど、現状では関連グッズを買うか、次回作を買うかくらいでしょう。(しかしそれを作って潰れたらあまりにもかわいそうですね)

 

最高裁の結審から5年、ゲーム業界はそれ以来縮小し、上がり続けると思われていたゲームの売り上げは減少し、メーカーだけではなく、数多くの小売店も潰れてゆきました。そして大手の上昇も会社更生法の適用申請となりました。
そして、インターネットが普及して、新品は小売り意外にもネットで販売し、中古は店よりヤフオクで売買なんてケースも増えてきました。

また、新世代記のネット配信ソフト(バーチャルコンソールなど)では事実上中古の売買というものが出来なくなっています。
今後、中古ソフト、そしてゲームの流通はどのようになっていくのでしょうか。

 

★追記

念のため。バックアップ自体は現在のところ合法ですが(コンシューマじゃバックアップとる人自体かなりの少数派でしょうが)、コピーしたものを売却時に破棄せずにとっておくと違法ですので。

あと、所持してバックアップを利用した場合でも、それをネットに繋ぐと、通信関連の法のところで色々引っかかってくる可能性があります。それ以前にメーカーが禁じている可能性もありますが。そのあたりは各メーカーの規約参照で。

 

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