大昔から「キャラゲー」というものは存在しました。思いつくのは、アニメやマンガのキャラクターを前面に押し出したものでしょう。しかし、中には実在の人物を使っているものもあります。それは、芸能人を使った「タレントゲー」とでも言うべきもの。これはファミコンの時代から存在しました。そういったゲームの存在はどういったものだったのかというのをちょっと回想してみたいと思います。
ただし、その道のプロが出てきたり、監修しているゲーム(スポーツ選手が登場、監修するスポーツ系ゲームや、料理人の出てくる料理実用系ソフトなど)は、ちょっとニュアンスが異なるので、ここでは別扱いとします。
まずは、個別のゲームで印象に残っているものから。
■たけしの挑戦状(タイトー・ファミコン)
おそらく、タレントゲーと言ってこれを連想する人はかなり多いのではないかと。とはいってもこのゲーム、実は監修タイプで、たけしはあまりゲーム中に出ては来ないのですよね。そういった意味でも特殊なソフトだったなと思います。
ついでに同じくタイトーから出た『たけしの戦国風雲児』というテーブルゲームは、普通にキャラゲーだったような気がします。
■さんまの名探偵(ナムコ・ファミコン)
ナムコファミコン時代中期の名作。これも有名。ちなみに私自身、これを超えるタレントゲームは未だに出ていないと思いますこれ、ギャグとシリアスのバランスがよくとれている上に、各種謎解きも適度。しかもキャラクターも活きているという感じで、タレントゲーのみならずキャラゲーとしても理想の形のひとつだと思えます。でも、リメイクしたら、滅茶苦茶版権代高くなるんだろうなあ。
■オールナイトニッポンスーパーマリオブラザーズ(任天堂タイアップ・ファミコン・非売品)
一部では伝説になっているディスクシステムのソフト。文字通りスーパーマリオがオールナイトニッポンのパーソナリティに一部替わっているもの。ちなみにあのクリボーの代わりのはタモリのように見えて、サンプラザ中野だそうです。
■中山美穂のときめきハイスクール(任天堂・ファミコン)
上のは非売品ですが、これはれっきとした任天堂の製品。今考えれば、キャラゲーが全体的に少ない任天堂にしては、これは貴重な存在かも。
■カトちゃんケンちゃん(PCエンジン)
ほぼPCエンジンの発売と同時に出されたソフト。加藤茶と志村けんですね。実はこれもけっこうおもしろい。個人的にはタレントゲー2番目の出来。
■電気グルーヴのグルーヴ地獄V(キューンソニー・プレステ)
これも、ピエール瀧や石野卓球が出てくるわけではなく、監修型。
「クソゲー」と銘打たれているわりに、実は人によっては意外と遊べるのがこれ。つか、暇な時にやるとそれなりに時間がつぶせる感覚っていうのは、案外その時代の重厚ゲームに疲れた人にのぞまれていたものではないかと。というか、音作り好きな人にはかなり上質ゲーではのでは。以下のようなこともできたし。
ちなみにこのゲームのバイト部分の発展系が「バイトヘル2000」としてPSPで復活しています。
バイトヘル2000 PSP the Best
……って、製品紹介だけで終わりそうな勢いだからここまで。ほかにもファミコン時代だけでも『ラサール石井のチャイルズクエスト』『田代まさしのプリンセスがいっぱい』『カケフくんのジャンプ天国スピード地獄』『所さんのまもるもせめるも』なんかがありましたね。それ以降も一定の数で出続け、この前紹介したのTMネットワークや光GENJI、安室奈美恵、布袋寅泰なんかの歌い手系統を加えれば限りなくなります。キワモノとしては『ゴルビーのパイプライン』のような政治家ものまで(まあこれはほとんどキャラクターでしょうが)。
このように、「監修型」と「キャラ使用型」の2種類、もしくは両方ともありというパターンですね。ただ、タレントを使う以上は多くがそのキャラを押し出していて、監修のみで全然出てこないというのは希だと思われます。
さて、これらのメリットはアニメやマンガのキャラゲーと同じく「その当時の人気キャラクターを出すことで、その人気をソフトにおいても取り込んで売り上げを伸ばそう」というものが多いと思われます。昔はそれでたしかに売り上げが伸びたことでしょう。しかし最近では、必ずしもそうではないかと。
理由はいくつもあります。もうすでにそこまで力を持つ芸能人がいなくなってしまったこと。大御所はすでにゲーム化されているのも多いですし、かといって若手でそこまで獲得できる人はそうそういないでしょう。いても許可が下りないとか。あと、芸人は最近サイクルが早いので、ゲーム開発中に過去の人になっている可能性もあります。半年前にブームだったエドはるみのゲームを作り出しても、今売り上げにつながるかどうか……
それ以前に、もうゲームにおいては芸能人の利用は飽きられてしまったのかもしれません。数年前、『ナイナイの名探偵』というのが作られましたが、キャラは豪華なのに内容の評価が余り高くなく、目立たずに消えていった記憶があります。つまり、ソフトの内容がよくなければ、どのみつ売れないと。
これはアニメなどのキャラゲーにも言えますが、タレントゲー=クソになりやすいということで警戒されている面もあるでしょうね。
あと、監修型においても、ゲームの規模が大きくなりすぎて、とても芸能人がまるまる監修できる量ではなくなったと。
それに加えて版権問題もあるでしょうね。少なくとも高い金を払うに値する効果が今はあるかと。それに加え、この手のソフトはもし再版等を行う時も、版権問題がかかわってくるために困難になりがちです(ほとんどのタレントゲームはバーチャルコンソールで出てないですしね)。ですので、この手のゲームは実数はは数えていませんが、今では相当減っているのではないでしょうか。というか、1990年前後が出過ぎだったと言えます。まあゲームの発展期における試行錯誤の一つでしょうね。
今後も、よほど条件(人気、版権代)が合わない限り、出なくなるのではないかと。それに芸能人を前面に押し出すのではなく、歌でタイアップしたり、CMで使うなんて方法はのほうがポピュラーになってきましたしね。
ま、結局の所おもしろければタレントゲーであろうがなかろうが関係なく売れて、逆ならそれなりってのが、健全な形なのだと思います。