ディスクシステムのビジネスモデルは、20年先を行っていたのか?

1986年2月21日、私がまだ小学生の時、「ファミリーコンピュータディスクシステム」は登場しました。これは当時「スーパーマリオブラザーズ」の大ヒットもあり、一人勝ち状態になったファミコンの周辺機器としてリリースされ、『ゼルダの伝説』『スーパーマリオ2』『パルテナの鏡』といった名作を生み出しました。あと、店舗の書き換えシステムを利用して、ゴルフやレースの全国大会なんてのも行われていましたね。ついでに『レリクス 暗黒要塞』みたいな読み込みだらけのクソゲーも生み出しましたけど。
ディスクシステムの利点は、当時出来なかった「セーブ」が可能だったことと、媒体が安価な上それまでのROMより容量が多かったこと、それにおもちゃ屋の「ディスクライター」で書き換えが出来たことです。ちなみに書き換えの値段は500円。今のバーチャルコンソールのファミコンと同じ値段です。(もちろん経年の物価変動はありますが)
あと、私的にはPWM音源が美しかったことも利点と思えます。(初代ゼルダのオープニングは感動ですよね)
しかし、セーブはバッテリーバックアップにお株を奪われ、ROMの容量も増大したため、そして一番の原因は読み込み時間のストレスのせいでその需要はだんだんと低下して、やがて市場から姿を消しました。(とはいっても書き換えはちょっと前までしていたのですけどね)
さて、このディスクシステムのビジネスモデルですが、今考えてみるとかなり進んでいたようにも思えるのです。それは特に「ディスクライター書き換え」の部分。
現在、PS3でもWiiでも、ネットでのゲーム配信が行われています。しかしながら、それはあくまで過去のゲームのみで、そのハードの新作は現在の所配信されていません。まあこれはインフラの問題やら本体側の保存メモリ容量の問題もあるでしょう。しかしもうひとつ、それらとは別に「既存流通&既存店に気を遣っている」というのもあると思うのですね。というのは、完全にネット販売に移行してしまうと、それまで何十年と世話になった既存店と流通が設けることが出来なくなってしまいます。となると、やはりそちらからの大反発もあるでしょうし、新作全てをネット配信、なんて方法は取れないでしょう。それこそソフトだけではなくて、ハードを扱ってくれなくなったらおしまいですし。
しかし、この方法ならば販売元だけではなくて店にも手数料として利益が入ってくるのですね。(まあ利益率はパケより低そうですが)
ちなみに先ほどディスクライターの利点として、「媒体の料金がかからないから安価」というものを挙げましたが、実はもう一つ大きなものがあるのですね。それは「値崩れが起きない」ということ。
値崩れは言うまでもなく供給が需要と差がついたときに起こります。そしてそれは発注をミスった店へのダメージにもなります。(ワゴンって多くの場合は損切りでしょうし)しかし、例のディスクライターのシステムならば、ものがデータですので在庫を抱え込むことはありません。そして値崩れすることも基本ありません。
このように今考えてみると、ディスクライターの方法、つまり既存店に書き換えに行くシステムは、「在庫の過多」と「店側への配慮」の両方を兼ねるかなり効果的な方法だと思うのですよ。
とはいうものの、今、これと同じシステムをやるといっても、ちょっと情勢が変わりすぎているので無理でしょうね。というのは光学ディスク時代になり、ROM時代ほど媒体の原価がかからないようになっているので、おそらくWiiがRAMになって同じシステムが行われていたのとしても、値段は既存パッケージを買うのとそんなに変わらないというのがひとつ。
あと、RAMにするってことは、違法なコピーも出来てしまう可能性があるってことで、20年前と同じような商売をすることは難しいでしょう。というか20年前も任天堂が認めていないディスクライターが本屋とかに置いてありましたし。
あとこれまでで、「データ販売がパッケージをつぶす」みたいに取られた方もいるかもしれませんが、パッケージソフトの需要ってのはたとえDLソフトが普及したとしても必ずあると思うのですね。実際DL販売が多くなったアプリケーションソフトでも、パッケ売りは依然としてありますし(フリーであるようなアプリまで売れてるし)。20年前当時も書き換えじゃなくて、ディスクゲームが入っているソフトを買う人間が大勢いましたし。(まあ説明書とステッカーの問題もあるんですけどね)
あと「店買いの信頼」みたいなものがあるんですよね。やっぱり。これは数年ではそうは変わらないでしょう。
そんなわけで、今後もしWiiやPS3で新作ソフトがDLできるようになったとしても、おそらく店舗でのパッケージ販売は生き続けると思います。
でも、あのおもちゃ屋でディスクライターを目の前にしたときのドキドキ感は、また味わいたい気がするなあ……
——————
◇本文に上手く入れ込めなかったので追記
余談ですが、ローソンでやっていた「ニンテンドーパワー」はどうしていまいち陰に隠れていたのか、といえば、そこでリリースされていたのが一世代前のハードであったからだと思えます。ちょうど技術の進歩が急激に進んでいた時期でもありましたしね。

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『ディスクシステムのビジネスモデルは、20年先を行っていたのか?』へのコメント

  1. 名前:無料オンラインゲーム 人気ランキング 投稿日:2007/08/27(月) 02:37:18 ID:126a03714

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  2. 名前:korgnao 投稿日:2007/08/28(火) 09:47:59 ID:589fc6ab0

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    ディスクシステムの音は素晴らしかったですね~独特のエコー感というかなんというかストリングス系の響き方がなんとも好きな音でした。
    ディスクシステムで書き換えたゲームではスーパーマリオ2とか鬼が島シリーズとか名作多いっすよね~
    個人的にディスクシステムの起動画面の音楽がお気に入りだったりします

  3. 名前:中杜カズサ 投稿日:2007/09/03(月) 22:22:18 ID:589fc6ab0

    SECRET: 0
    PASS: e8ba97729b80f2cccb477afd61f9fc92
    >korgnaoさん
    こんにちは。
    ディスクシステムの音って今でもけっこう耳に残っているんですよね。初代ゼルダとか。あとでFCでもゼルダ出ましたけど、音源が変わっていてがっくりしました。
    そういえばファミコンミニ(GBA)のディスクシステムソフトで、ディスクシステムの起動画面が見られる裏技があって、気づいたあと何回もやりました。