スポンサーリンク

『ドルアーガの塔』における音楽とその使われ方における素晴らしさを再検証してみる

昨日はスィープレコードのサントラについて触れましたが、それから風桶的つながりで本日は『ドルアーガの塔』の音楽について語ってみたいと思います。
この音楽、ゲームファンなら多くの人が知っているでしょう。マリオやドラクエほどではないにせよ、これの「ちゃらららっちゃちゃらららっちゃら~」という音楽(文字で書くとなんだか間抜けだな)を知っている方はかなり多いと思われます。
最近では、話題の初音ミクで妙なアレンジをされているのが局地的に有名になってますね。

さて、この音楽がこれだけ有名になるように単体でも素晴らしい音楽であるのは言うまでもありません。しかし全体としてみた場合、この『ドルアーガの塔』の音楽にはまだまだすばらしさが隠れていると思うのです。
私はアーケードでリアルタイムで謎解きをしていたわけではなく、小学生でのファミコン版が初プレイで、しかもほとんど最初から攻略本片手だったのでそれら全部を楽しめたわけではないのですが、当時何も情報のない中で遊んでいた人たちは、以下のような点に驚きながらプレイしていたんじゃないかなあと思う点を挙げてみました。
■曲数が(当時としては)多い
このゲームは『ステージスタート時の音楽』→『メインテーマ(通常フロア)』→『フロアクリア時の音楽』の繰り返しで構成されていますが、それに加えて『ドラゴンのテーマ』『イシターのテーマ』『ドルアーガのテーマ』『オールクリア時のテーマ』『エンディング』、さらに短いのも加えると『ゲームオーバー時の音楽』、『やられた時の音楽』、『ZAPの時の音楽』なんてのもありますよね。今では短いくらいですが、1985年当時、この音楽の量はかなり多い方だったのではないでしょうか。そして増えた分だけ、効果的な演出がなされています(後述)。
ちなみに歴代のゲーム音楽を調べていると、ここ以降、ナムコを中心に一つのゲームにおけるゲームミュージックの数が急速に増えていくような気がします。
■曲がステージの内容を示している
基本ステージではあの有名テーマが流れますが、ドラゴンの登場する面ではあの『ドラゴンのテーマ』が流れます。あの長い炎を吐くドラゴンです。
今ではそのステージの雰囲気に合わせたBGMを作成してそれを使うというのは当たり前のことです。ですがメモリも少ない当時のゲームで、こんなことをしたのはかなりの贅沢だったのではないでしょうか。
そして雰囲気ばかりではありません。ドラゴンのテーマを聴けば、そのフロアでドラゴンが出てくるという記号にもなっているのです。
これはドルアーガのテーマにも言えます。つまりここでちゃんと倒してから行かないと大変なこと(ZAP)になるよと音楽も教えようとしていると。まあここではラスボスとの戦いの雰囲気作りという役割の方が大きいですけどね。
■音楽における「騙し」がある
さて、今までのものはそれまでの別のゲームにもなかったとは言えません。あまり調べてはいませんが、おそらくそこの雰囲気に合わせて音楽を変えるゲームはそれまでにもあったでしょう。しかし、ドルアーガの塔ではそれを逆手に取っていると思われるものがあります。それは57階。
ここではいきなり音楽が明るいものに変わり、なんだか女神っぽいキャラクターが出てきます。この音楽からして最初これが「イシターだ!」と思った人は多いのではないでしょうか。しかしこれは有名な「サッカバス(サキュバス?)」で、偽のイシター、つまりは敵です。だけどあまりに音楽が明るいために、これを味方が出るステージと勘違いした人はいるのではないでしょうか。
まあでも、それまでのステージでは全部剣を出しながら交差してもミスになることはなかったので、これを殺してそのままクリアしてもなんのおとがめもなかったことからあまり引っかかる人はいなかったかも。それよりも、57階でやったことを60階で本物のイシターにもやってしまい、ZAPを喰らった人の方が多そうです
このへん、リアルタイムでドルアーガを攻略していた人たちって大変だけど楽しそうだなあ……ってことを思います。
というわけで、アーケードゲーム、そしてレトロゲーム音楽の金字塔である『ドルアーガの塔』は、単体の音楽だけではなくて、ゲーム中での使われ方もかなり工夫されていたのでは、と今さらながら思うのです。当時は小学生でそんなこと全然考えていなかったですけどね。
ゲーム音楽が素晴らしいのは、単体の音楽の良さだけではなくて、こういった面もあるからだと感じるのは私だけではないですよね。

タイトルとURLをコピーしました