※この記事は2007年8月に書かれたものですので、当時と違っている点がある可能性もあります。それをふまえてお読みくださいませ。
CDの売り上げ低下でたまに「レンタル屋が増えたから」みたいな意見が聞かれますね。まあそれは「一因としては」あり得ると思います。(それが100万枚減らしたか1枚だけしか減らしてないのかなんてのは誰にもわからないですが)
じゃあ何でレコード会社や著作権団体は、かつてのゲーム業界にあったみたいな中古裁判みたいにそれをつぶしに行かなかったのか。それは、ちゃんとレンタルからもレコード会社や著作権団体にお金が渡っていたのですね。(厳密に言えばかなり前に問題となりましたけど、両者協議の末にこうなったってところです。これも以下のサイト参照)
■CDV-NET・レンタルと著作権について
http://dp37021551.lolipop.jp/modules/rental/ (リンク切れ)
上はレンタル店の協会みたいなところですが、ここのQ&Aにはそのレンタルのしくみについていろいろ書いてあります。
ここで一番重要なのは、レンタル屋で借りてきたCDをコピーしても、私的に使用する分には合法、ということ。どうもコピーのイメージは「犯罪」みたいな先入観がありますが、レンタル屋で借りたCDをコピーする分には、実は合法なのです。
これは著作権法第30条(私的使用のための複製)において、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」は認められているんですね。
そして前述したように、レンタル時にはその著作権分の料金が権利者に支払われています。払われる先は、作詞、作曲家への分として(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)に、実演家分は(社)日本芸能実演家団体評議会に、レコード制作者分は(社)日本レコード協会に払われます。(途中何らかの組織を挟むこともあるみたいですが)
上記リンク先によると、その金額は
◇CDレンタル1回あたりの使用料
・作詞・作曲家:アルバム<70円> シングル<15円>
・実演家:アルバム<50円> シングル<15円>
・レコード製作者:アルバム<50円> シングル<15円>
とのこと。
追記:ちなみに近所のレンタル店では新作アルバムが当日返しで260円でした。ってことは260-170=90円が店の儲けってコトになるってことかな?ま、170円より下がることはないんでしょうね。
ついでにレンタルは
□邦盤:アルバム:発売日から3週間のレンタル禁止。シングル:禁止期間なし
□洋盤:アルバム、シングルともに発売日から1年間レンタル禁止
という規制があります。
というわけで、すでに著作権使用料が払われており、これに基づいて「私的利用の上で」コピーをしても、それは合法となります。これは法律(著作権法)にも明記されています。(一番最後に転載)
ただし、全てOKというわけではありません。まず、そのコピーしたものを他人に(有償無償問わず)譲渡したら違法です。(当然P2Pに流したり、譲渡目的でサーバにアップロードしても違法)あくまで持っているのはコピーを私的に視聴できる権利であって、コピーを自由に出来る権利ではないのです。
あと、コピーガードがかかっているものからのコピーも不可です。 もしかしたら一時期問題になったCCCDってのは、購入したユーザーよりこのレンタル対策をするという意図があったのかもしれません。まあ失敗しましたけど。
ちなみに、30条2項の規定により、原則劣化しないデジタル方式でコピーするときは「補償金」が必要となります。しかし、ユーザーサイドではあまり気にする必要はありません(後述の媒体の違いくらい)。というのは、実はデジタル方式の媒体、つまりCD-RとかMDにはすでにそのメディアに著作権料が上乗せされて販売されているのですね。
CD-Rには「データ用」と「音楽用」の2種類があります。(ちなみにDVD-Rでも「データ用」と「ビデオ用」ってのの2種類が売ってましたよね。こっちのほうが有名かな?)これ、要は前者はその著作権料が加算されて無くて、後者は加算されているっていう違いなのですよ。まあもっとも最近では後者の生産が多くなったせいか、料金が同じ、場合によっては後者のほうが安いなんていう現象まで出てきましたが。両者の価格差がないなら、迷わず後者を買っておきましょう。
追記:ここもパソコンは30条で定めるデジタル機器に相当するか、ってので(相当しないならデータ用でも合法の可能性がある)話が複雑になっているのですが……まあ音楽用のほうが安全でしょうね。
最近ではmp3エンコード→iPodなどでのリスニングが主流になってきたため、そっちはどうなのか、というのが現在議論の対象になっています。が、現在のところはハードディスクとiPodは私的録音・録画補償金制度の対象になっていないため、まだCD-Rと同じような私的利用の分には、違法の範疇に入っていないみたいです。(裏付け、反論とも確証的データあれば、教えてください)。ただiPodやパソコンのハードディスクにも課金とかいう動きがありますね。その動向にも注目です。
ま、このへんで「著作権料の二重取り」問題とか「iPod普及による情勢の変化(上記の取り決めがなされた時は、mp3のような形式の普及は想定外だった)」ってのが出てくるのですが、それについては非常~に長くなるので日を改めて。
■参考・iPod課金は先送りに決定–文化審議会著作権分科会が報告書を承認
ま、要は別にレンタル屋で借りてきてコピーしても、その行為=犯罪じゃないってことをいいたかったわけですね。ちゃんとお金払ってるんですし。
でもまあ、個人的には気に入ったCDがあったら、それ自体を手に入れた方がいいかなと。後にいい音響機器買うと、エンコードした音質だと満足できなくなり、CD(WAVデータ)を欲するようになることはよくありますので。(そういえばわたしも128Kbpsでとっといたmp3に満足できなくなって、持ってるCDを192Kbpsにエンコードし直したことがあったなあ……)
あと、ゲーム音楽はレンタルあんまりないし、見逃すと市場からなくなっちゃうし(泣)
以下法律引用(元:法庫さん)。面倒な人は読み飛ばしてもOKです。
(私的使用のための複製)
第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
1.公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
2.技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第1号及び第2号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。