任天堂ハードのダウンロードソフトは何故不自由なのか

※この記事は2013年4月25日に書かれたもので、情報はその当時のものになります。

先日、任天堂の決算説明会がありました。

■ 2013年4月25日(木)決算説明会 任天堂株式会社 社長 岩田聡

3ページ目を見ると、ダウンロードソフトの販売が伸びているのがわかります。これは本文でも語られているように、『とびだせ どうぶつの森』爆発的人気で、且つパッケージ版の不足も相まってダウンロード版を購入する人が増えたからというのが主な要因でしょう。

しかし、今後このような爆発的人気のソフトですが、自分が今、3DSやWiiUにおいてパッケージ版とダウンロード版が両方発売された場合、多分迷いなくパッケージ版を買うと思われます。これは何も得るときのことを考えているというわけではありません。それよりも現行の任天堂ハードにおけるダウンロード販売には、ひとつの大きな不満、というか心配事があるからです。単刀直入に言うと、「3DSやWiiUは、ダウンロードの『保証』がかなり心配」ということ。

ダウンロードソフトソフトを遊ぶハードの制限

私は3DSとWiiUのほかに、PS VitaやPS3、それにスマートフォンではiPhoneを持っています(少し前まではAndroidスマホも持っていたのですけど、手放してしまいました)。そして、よくiPhoneでアプリを購入しているのですが、これに慣れてしまうと、どうも3DSやWiiUのダウンロード版では不安要素があるのですよね。 それは、ダウンロードソフトの移動が非常に不自由なこと。もっと具体的に言うと、現状その購入したハードでしか、原則遊べないことです。

たしかに一度ソフトを消しても、アカウントが同じなら再ダウンロードが出来るのですが、それは購入した本体と同じ場合のみです。たとえアカウントが同じであっても、登録した本体とは別のハードでの再ダウンロードは出来ません。別のハードでプレイするためには「ソフトとデータの引っ越し」を行い、完全にアカウントを移行する必要があります(3DS→3DSの場合は5回まで)。

スマホ、たとえばiPhoneなら同一アカウント内なら5台までほとんど自由にデータを行き来させられるのと比べると、かなりの制約を感じてしまいます。たしかにスマホとは違い複数台(MacやPCなども含め)使う人もあまりいませんし、普段ならそのハードだけ使っていれば問題がないのですが、 問題は故障や紛失が起きたとき。つまり今使っている本体が動かなくなったときにどうするか、です。それでも故障でしたら任天堂に送れば修理してもらえるはずですが、ハード自体、とりわけ小型な3DSを紛失した時はどうしようもありません。現状調べて分かっている範囲では、この場合の引っ越しも事実上不可能なようですし(むしろそれができたら、「なくした」と言い張って引っ越し依頼という名の事実上のコピーを依頼する人が出てきそうですし)。

公式では、ダウンロード版の利点として、ソフトの紛失の恐れがなくなる旨が書いてあるのですが、でも本体まるごと無くしてしまった時にはどうなるのか、ということまではないので。

ニンテンドー3DS|ニンテンドー3DSカードソフト ダウンロード版について|Nintendo

つまるところ「ダウンロードソフトを1つ購入しただけでは複数の所有機種にインストールできないし、それだけの移動も出来ない」&「紛失した時に入っているものを全部失ってしまう」という2点が、現状の任天堂ソフトのダウンロード版に関する大きな不満点となっているのです。特に前者はパッケージでは出来るのにもかかわらず、ダウンロードでは出来ない点が大きいです。

これが 10年前だったら、壊れてもなくしてもまあそういうものとして我慢ができたかもしれません。しかし現在、iCloudなどのクラウドがゲーム関連においても普及し、たとえ本体を無くした、壊したとしても、アカウントさえあればそのデータの多くが復旧できる仕組みが構築されているのにこの状態だと、どうしても不便さを感じてしまうのです。

ちなみにPSネットワークにおいては、2011年までは購入したソフトを5台まで認証できていてけっこうよかったのですが、それ以降はPS3、携帯ハード(PSP+Vita)各2台に減らされてしまいました。そのせいでうちで完全にあぶれたPSP goの存在意義が消滅してしましまいました。それでなくてもPSPは型番のチェンジがけっこうあったのでPSPを2台以上持っている人も多かったはずですから、これはきつかったのではないかと。

PlayStation®Storeでダウンロードしたコンテンツは何台までのPS3®・PSP®・PS Vitaで遊べますか? | PlayStation.com

X-360は事実上現行ハードが一台、しかも据置しかないので問題にあまりなりませんけど、とりあえず新ハードとアカウントに紐つけされていて、アカウントを新ハードに移すとそちらで今まで購入したもののダウンロードが可能だそうです。

何故任天堂はダウンロードに制限を設けるのか

さて、どうしてこのようになっているのでしょう。正確なことは任天堂でしかわかりようがありませんが、いくつか推測できることがあります。

アカウントシステムを作れない、もしくはわざと作っていない

任天堂製品においてIDを使うサービスとなると、以前から『クラブニンテンドー』というものが存在しました。しかしこれはゲームのため、というよりは、ポイントサービスに特化したものであったと思われます。故に最新のWiiUでは『ニンテンドーネットワークID』というものがありますが、これはPSNetworkやApple IDのようにアカウントを核としてそれぞれのハードを認証する形とはなっていません。故にダウンロードはアカウントが核ではなく、前述の通りダウンロードも所有しているハード依存となっています。

さて、こうなっているのは何故かというと、思い浮かぶ可能性はがあります。ひとつはアカウントの統合体系が複雑で、そのシステム、もしくは設備的に任天堂が構築できないこと。Web上でのアカウント一括管理であれば今日日どこでもやっていますが、機器との認証を複雑にからませる形であるとするなら、相当な技術も、システム(主にサーバ)も、そして費用も必要だからです。

しかし、もうひとつの可能性も大きいとも割れます。それはアカウントによる統合体系をあえてやらないこと。その大きな理由としては、セキュリティの問題があります。そしてその根拠となる事件は、一昨年、しかも同じゲーム会社のネットワークで起こっているからです。しかも現在も度々アタックされているというニュースが入っています。

■参考:PlayStation Network個人情報流出事件 – Wikipedia

アタックされてしまうと、その損失は膨大なものに登るのは、上の例を見ても明らかでしょう。しかもゲーム会社はそのアタックの標的に遭いやすいのも今までの例から明らかです。

このような事態はゲーム会社のみならず、世界有数のメーカーであるAppleだろうがGoogleだろうがMiclosoftだろうが絶対に起きないとは言えません。だって、技術に絶対はないのですから。故にハッキングされ、方々に膨大な非議を及ぼさないように、あえてアカウントでの管理をせずに、ハードに依存していると考えるのは不自然ではないでしょう。

コピー対策

任天堂のみならず、ゲーム業界はマジコンの件などコピー対策に非常にナーバスになっています。故にその可能性のあるものを一切排除している、もしくは広まっても被害が最小限になるようにしているという考えもできます。たとえば何らかの都合で偽装アカウントか何かをローカルで出来るものが発明されてしまったとしたら、ソフトの購入に多大な影響を与えます。が、ハードに縛りをかけておけば、その被害が最小で済むという感じ。まあ現時点ではそういうものはあまり見えていませんが、可能性をとってということもあり得ます。

ローカルでの回し遊び対策

他にありそうなのがコピー防止対策。まあつまるところカウントの認証最大数まで同じのを使って、購入したソフト1個をそれで遊ぶという感じ。スマホと違い、3DSなどは機会的に回して遊ぶことが多そうなのであり得る話です。兄弟とか友人同士なら特に。ただ、パッケージで同じようなことを長年出来ていたのですから、それができなくなると心理的にマイナスと思うのですけどね。

店舗対策

あと、もしかしたらずっと任天堂を支えてきた販売店に気を遣い、ダウンロードにいろいろな枷をつけることで、ダウンロードを広める体勢を整えつつもまだパッケージ中心で行きたい、と考えている可能性もあります。実際、ダウンロードソフトが売れたと言っても『とびだせどうぶつの森』だと、カード販売が半分以上だったらしいです(まあ既存店舗というよりは、大手チェーン中心だったようですが)。

細かいところまでいくと他にもいろいろ考えられますが、とりあえずこんなところで。

ユーザーに不便を強いることがないようにしてほしい

いろいろ考えられることがありますし、メーカーのほうでもいろいろ考えているところはあるでしょう。しかしながらユーザーとして見ればどんな理由があったとしても、それによって利便性を失わせているとなるといつまで経っても不便を強いられることになるわけです。したがって、問題を解決しつつもどうにかしてユーザーが不便を感じないような仕組みを構築してほしいと思います。セキュリティ上の不安だったら、例えばクレジットカードなどの登録をしなかったり、個人情報も必要最低限の入力にとどめさせればいいとかもあるでしょうし。

ま、自分としては数百円レベルのソフトなら別にしても、フルプライスならパッケージ版を買い続けるかな。上の様な問題もそうだけど、昭和からずっとゲームはパッケージでプレイしていた人間としては、やっぱり店のわっさわっさしている雰囲気で選んだり、最初買って手にとる時の感動を味わいたいと思うので。

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