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これから先、体験版はなくなってゆくのかもしれない

 さて、変な意味で話題の『海腹川背 Portable 』ですが、とうとうAmazonでも50%セールスとなりました(さすがにこれにリンクを張る勇気はない)。在庫過多のものがこうなるのは珍しくないですが(逆に言えば、セールスやワゴン品にも単純に在庫が多いだけで、良い作品はあると思っています)、発売から一週間でこうなるのは珍しい。ネットでの評判というものはその売り上げに影響があるのか見えにくいところですが、今回の場合少なからず影響はあったということでしょうか。
 さて、この『海腹川背 Portable』のバグ問題が発覚したのは、体験版からということですが、これ、結果的に体験版が製品の売り上げを押し下げてしまった、と言えるわけですよね。しかしこのような例は今までもなかったわけではないようです。実際コンシューマでも、そして体験版が当たり前になっているPCギャルゲーでも、たまにそのようなものが見られます。
 さて、体験版というのは、もともとその製品のアピール目的、つまり売り上げを増やすために作られるものですよね。しかしこれが全くの逆効果になる場合もあるということは、今回の件でも証明されているわけです。
 では、普通の体験版を出せば、その製品の売り上げはそれに見合ったものになるのでしょうか。実はこれ、NOなのですよね。いや、正確に言えば「わからない」とでも言うべきか。
 たしかに、それ自体が話題になるような(良い意味で)すごいインパクトのある体験版を出したなら、購買意欲は高まるかもしれません。そして体験版というもの自体が少なかったPS初期のあたりなら、そのインパクトはかなりあり、売り上げにも貢献したと思います。実際私の場合、『パラッパラッパー』や『XI』は体験版でプレイしたから買ったというのもありますしね。
 ただ、現在ではあまりにも体験版が増え、飽和状態になってしまったのではないかとも思うのです。つまり体験版を出しても目新しさになはならないと。それにただでさえゲームに関わる時間が減ってきている昨今、体験版を実際にやるかまで伸びるかどうか疑問ですし。
 しかしながら、体験版を作るのにはお金、そして時間がかかります。お金は媒体で出すものであればそのプレス代など。仮に配信の場合もその工数分人件費などがかかっていると考えます。さらに、体験版を作ることで、製品にかける時間を短くしている、とも考えられるのです。つまり、体験版はそれなりのリスクを背負って出されているわけです。
 現在の体験版に、そのリスク以上のメリットがあるでしょうか? これ、前述のようにわからないのです。ただ、出さないでマイナスを食らうよりは、出してプラマイゼロにしようという感じが今の風潮かなと。まあマイナスになるのがあるのはご愛敬。
 さて、今は惰性で作られている感のある体験版ですが、今後はどうでしょうか。わざわざ費用、時間面でのリスクを背負って、出たものが売り上げを下げる可能性があると気づいたら、体験版はこれから減ってくるのではないか、とも思えるわけです。これがユーザーにとってはよいのかどうかはわかりませんが。
 でも、体験版というゲームの一部しかない素材で、その製品の魅力をアピールするのはかなり困難だと思います。特に全体で判断するRPGやギャルゲーなどストーリー重視ものの場合、小説で言えば最初の数ページを読んで判断するようなものですよね。(あ、でもパズルやシューティングはそれなりによかったのがあるかも)。つまり体験版はそれ用によほど作り込んだもの(ほとんど独自コンテンツのもの)でないと、良きにせよ悪きにせよ、あくまで未完成品ということを忘れてはいけないでしょう。
 となると、ユーザーはどうやってそのゲームの善し悪しを判断すればいいか。究極的に言えば、製品をやるしか判断する方法はないのかと思います。ただ、その際、はずれをなるべくつかまされないための仕組みを開発する必要があると考えます。
 でも結局のところ、ゲーム業界にある初動主義、つまり発売週にほとんどの売り上げを占めて、それからどんどん下がってゆくという現象をどうにかしないといけないのかもしれません。これを克服すれば、発売日にどれだけ注目を集めたか(体験版もその手段のひとつ)、ではなく、製品の善し悪しで売り上げの差が今よりは出やすくなると思いますので。

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