前回、ちょっと知育、実用系ソフトについて触れましたが、最近それについて思ったことでも。
『脳トレ』『えいご漬け』『お料理ナビ』の大ブーム以来、知育、実用系ソフトと言われるものがゲーム全体に増えてきました。特にDSは、そっちのほうが種類的には多いのではないかと思うくらい。この理由はある程度察しがつき、作るのにそんな苦労がいらないし、開発費もかからない上、当たれば『脳トレ』のように大きいからでしょう。
しかし、売り上げを見てみるとトップ30などに入ってくるものはごく限られたものしかありません。というか任天堂製を除いて大当たりしたのは『漢検』くらいかも。
さて、ここで思うに、これらが売れない理由はいつくかあると思われます。ひとつはよく言われていますが、知育系、実用系自体が出過ぎて、『脳トレ』時代のような目新しさがなくなったこと。それに加え、このジャンル自体が競争過多になってしまったこともあるでしょう。さらに、こういうのを求めるライトユーザーは、積極的に広報が行われているもの、すなわち任天堂製だけ買って、マイナーなものは買わないという可能性も考えられます。もひとつ言えば、過去に外れをつかまされてしまったライトユーザーが、ゲーム自体から離れてしまったという可能性も考えられます(誤用といわれるのを承知で他の表現がないので書きますが、世間一般的に言われている「アタリショック」的なもの)。
しかし、それよりももっと根本的な原因があるのではないかと思えるのです。それは、そもそも知育、実用系ソフトというのは、競争相手が既存ジャンルのソフトよりもはるかに多いのではないかということ。それはゲームの枠のみならず、雑誌やテレビなどのメディアにおいても。
たとえば、前回書いた『岡田斗司夫のいつまでもデブと思うなよ DSでレコーディングダイエット』ですが、これはAmazonにおいて、「紙で記録できるのならば、これはいらない」と書かれていますが、これはこのソフトだけに限ったことではないでしょう。つまり実用系では本を読めば足りることは、それで十分なのですから。しかも本の場合、たいていゲームより高価です。つまりホントゲームの利点が同等、もしくはゲームがちょっと上程度では、本を買う人のほうがはるかに多いのではないかと。少なくともゲームにそんななじみのない人にとっては。
さらに、ゲームには欠点があります。それは「起動からその目的の所にたどり着くまでに時間がかかる」ということ。つまりちょっと見たい時でも、本のページをぺらぺらめくるスピードにかなわないと。
しかし、DSにはない利点はあります。それは携帯性だったり音声だったり、辞書的な検索機能だったり。ですのでそういうものを生かし、本など他のメディアに勝ちうるものならば、それなりにヒットする可能性もあるでしょう。しかし、そういう需要が多い層は、先行した任天堂がとっていってしまったのではないかと。故に残るのは、微妙な分野のものだったり、二番煎じだったり。それでは売れないですよね。
ま、この現象はファミコンで『スーパーマリオ』が流行ってからアクションが大量に出たり、『ドラゴンクエスト』ブームの後にRPGが大量に出た歴史と重なるのではないでしょうか。そしてそれらにも、外れて歴史に埋もれたものが大量に出たと(一部「クソゲー」として目立ったものもあるけど)。
おそらく、そろそろ知育、実用系というものは無くなりはしないまでも、少なくなってゆくと思います。でも、次にどっかのジャンルが大ヒットしたら、またその歴史は繰り返すのかもしれません。